2: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:10:39.70 ID:58E1B54qo
 その日も、いつも通りだった。 
 銃で武装した集団がドアを蹴破ってくることなどなく、他愛もない会話で時間が過ぎてゆく……そんな日常。 
 たくさんの時間と、いくつもの思いの上に成り立った世界。 
 その日常を俺は、謳歌していた。 
  
3: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:11:46.03 ID:58E1B54qo
 「どうしたの、岡部。私の顔になんか付いてる?」 
  
 気づくと、紅莉栖がこちらの視線に気づいたらしく怪訝そうなまなざしを向けている。 
  
 「いや、何でもない」 
4: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:13:07.58 ID:58E1B54qo
 「っ!?」 
  
 ―――ドクン 
  
 視界が大きく揺れる。 
5: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:14:50.32 ID:58E1B54qo
 「……あちぃ」 
  
 うだるような夏の暑さに、俺は思わず呟いた。 
 べたつくTシャツが最悪の目覚めを演出してくたようだ。 
 ここまで酷い目醒めも久しぶりかもしれないな…… 
6: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:15:45.17 ID:58E1B54qo
 『まぁいいわ。その様子だとどうせ暇なんでしょ?』 
  
 こいつがこういう風に言うときの次の言葉は大体予想が付く。 
 だから俺は電話を片手に外へ出かける準備を始めているわけなのだが。 
  
7: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:17:13.98 ID:58E1B54qo
 「……っぁ!?」 
  
 激しい耳鳴りと頭痛に思わず嗚咽が出てしまった。 
 前のめりに倒れてしまいそうになる体をすんでのところで支える。 
  
8: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:18:38.88 ID:58E1B54qo
 「……大丈夫?オカリン……」 
  
 叫びだしそうになる俺を、聞きなれた優しい声が引き留めた。 
 自分でも驚くような勢いで振りむくと、心配そうなまゆりが俺の顔を覗き込んできた。 
  
9: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:19:05.56 ID:58E1B54qo
 「……これから、俺たちはどこへ行くんだ?」 
  
 俺の質問に、まゆりの目が丸くなる。 
 ダルはまゆりよりは軽く、だが少し心配の色を表情に出しながら答えてくれた。 
  
10: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:20:07.63 ID:58E1B54qo
 携帯をしまい、二人に向き直る。 
 ダルは、「いつものオカリンじゃまいか……」と小さくつぶやきため息をついている。 
 まゆりはというと相変わらず心配そうだったが、俺がそれ以上何も言わないところを見ると再び歩き出した。 
 そのあとに俺とダルも続く。 
 二人の歩みに合わせていれば、そこまで違和感も感じさせなくて済むだろう。 
11: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:21:53.32 ID:58E1B54qo
 急いで自転車を走らせて、集合場所へ急ぐ。 
 腕時計を確認すると、ハルヒの電話から五〇分ほど時間が過ぎていた。 
 時間に余裕を持たせて出てきたはずなのだが、そういう時に限って予想以上に信号で足止めなどを食らってしまう。 
 その結果が、この有様だ 
  
12: ◆rVDRt1VsVI[saga sage]
2011/06/09(木) 17:22:19.39 ID:58E1B54qo
 「団長の私よりも遅れてくるっていうこと自体が、ナンセンスなのよ!考えを改めなさい!」 
  
 そんな思考が、ハルヒの大声によって中断される。 
 いい知れぬ不思議な感覚に、脳の奥深くのあたりがチリチリと痛む。 
  
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