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2011/09/05(月) 01:04:48.15 ID:wbDVTs5Go
◆
待合室に戻る。風邪が治ってからは、思考が妙な方向に流れ出すことはなくなった。
彼はそのことを不思議に思わなかった。たぶん、それは当然のことなのだ。
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2011/09/05(月) 01:05:10.86 ID:wbDVTs5Go
それでも、彼女は沈黙を繰り返すことだけはしなかった。
「学校」
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2011/09/05(月) 01:05:37.03 ID:wbDVTs5Go
◆
彼は公園のベンチに座っていた。寒空の下で何もせずぼーっとしていると、自分がなぜこんなことをしているのかが不意に分からなくなるときがある。
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2011/09/05(月) 01:06:04.05 ID:wbDVTs5Go
「俺はおまえが大嫌いだ」
吐き捨てるように彼が言うと、隣に座る男が驚いたように顔を上げた。
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2011/09/05(月) 01:06:30.40 ID:wbDVTs5Go
×××は何を言い返せばいいのか分からないような表情でぼんやりと彼を見ていた。
彼にとってはその変化ももうどうでもいいことだ。どうでもいいことだ、と彼は頭の中で繰り返した。
その場を立ち去ってから、しばらくあてどもなく歩く。
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2011/09/05(月) 01:06:55.96 ID:wbDVTs5Go
◆
ヤマトから連絡が来たのは、体調がよくなった数日後、自動車学校に行った翌日のことだった。
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2011/09/05(月) 01:07:22.46 ID:wbDVTs5Go
「なあ」
少ししてから、何の前触れもなくヤマトは口を開いた。
彼はその声音に恐怖を抱く。この感覚はなんだろう?
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2011/09/05(月) 01:07:50.71 ID:wbDVTs5Go
「俺はおまえが大嫌いだ」
少しの沈黙のあと、ヤマトは吐き捨てるみたいに言った。その言葉自体よりも、それを言ったヤマトの表情がひどく苦しげであることが、彼の胸を強く締め付けた。
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2011/09/05(月) 01:08:25.51 ID:wbDVTs5Go
少しして、ヤマトは立ち上がった。さっきまでとはうってかわってすっきりとした表情をしている。
彼はその顔を見て何も言えなくなった。ヤマトの背中にのしかかっていた重く冷たい氷が、今融けて消えてしまったのだ。
ヤマトは何かを思い悩んでいたのだと、彼は今更のように気付く。
そしてそれはたった今なくなってしまった。
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2011/09/05(月) 01:08:52.35 ID:wbDVTs5Go
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2011/09/05(月) 01:09:19.14 ID:wbDVTs5Go
とにかく少しずつ方向を正していかなければいけないのだ。
少しずつ。世間から白い目で見られても仕方ない。それはもう自業自得なのだ。
やがて彼が帰る時間になった。立ち上がると、ムラサキはそれを追って顔を上げる。
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