166:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:24:54.55 ID:veqilnkN0
「あ……あなたが、もっと上手く治療できるなら、その方がいいですけれど……考えてる風だったので……」
「精神中核を触れるの?」
「はい。私、そのためにこのダイブに参加しました」
167:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:25:46.86 ID:veqilnkN0
理緒が精神中核から引き抜いた黒い筋が、途中から千切れてポタリ、と地面に落ちた。
途端にそこがボコボコと沸騰をはじめる。
「トラウマ……?」
168:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:26:27.50 ID:veqilnkN0
『回線を遮断するぞ!』
「駄目! 今遮断したら、中核を置いてトラウマを残しちゃうことになる!」
『乳幼児の頭の中にトラウマがあるわけが……ザザ…………ブブ…………』
169:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:27:22.20 ID:veqilnkN0
しかし、マインドスイーパー達は、とっさの事態に対応できないのか、迫ってくる黒蛇に背を向けて逃げるのが精一杯だった。
近くにいた女の子の胴体が、半ばから噛み千切られる。
噴水のように辺りに血が飛び散る。
鞭のように、蛇が体を振る。
数人のマインドスイーパーが、数十メートルも吹き飛ばされ、頭から落下して動かなくなる。
170:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:28:14.32 ID:veqilnkN0
「赤十字も、ピンポイントで僕が、『偶然』選ばれた患者の中に隠れてたなんて、思ってもみなかっただろうね」
「ナンバーX? あの人……!」
理緒が悲鳴のような声を上げる。
171:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:29:00.20 ID:veqilnkN0
汀はそれより一瞬早く地面を転がり避けると、男の子に駆け寄り、殴りつけた。
彼はそれを軽くいなして、銃口を汀の頭に向けようとする。
何度か、その応酬が繰り広げられ、今度は汀が男の子の頭を殴りつけ、後ろ蹴りを彼の腹に叩き込んだ。
地面に叩きつけられた少年は、しかし笑いながら、弾倉を回して銃の引き金を引いた。
172:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:29:29.23 ID:veqilnkN0
銃声がして、男の子の眉間を弾が貫通した。
崩れ落ちた男の子を蹴り飛ばし、汀は荒く息をつきながら立ち上がった。
小白が駆け寄り、よろめいた彼女を支える。
「凄い……精神世界で、あれだけ動けるなんて……」
173:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:30:24.59 ID:veqilnkN0
*
「あーあ、負けちゃった」
雑然とした部屋の中、マスク型ヘッドセットをむしりとり、少年……ナンバーXは悔しそうに口を開いた。
174:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:34:13.62 ID:veqilnkN0
「いいか、よく聞けよ」
女医はナンバーXの頭を掴んで、自分の方に向かせた。
「お前をあそこから助けてやったのは、こうやって好き勝手暴れさせるためじゃない。私達の『理想』を実現するための駒として、お前を『使ってやろう』って考えの下、手間隙かけて助けてやったんだ。お前、何か勘違いしてるんじゃないだろうな」
175:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:35:06.90 ID:veqilnkN0
*
びっくりドンキーの店内で、汀はぼんやりとした表情のまま、チビチビとメリーゴーランドのパフェを口に運んでいた。
その前でステーキを切りながら、圭介が口を開く。
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