過去ログ - わんっタイムファミリー
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:48:53.30 ID:x68eWxlN0
急いで顔を洗って制服に着替えると、短い髪を左右に結んで部屋を出る。短い廊下を歩いて居間の前に立ち一度短く息を吸い込んで、私は「おはよう」と扉を開けた。
「おはよう」と返事をしたのは朝食をとり終えて優雅に朝のコーヒーをすすっているお姉ちゃんだった。

姉「さっさと食べないと遅刻するわよ」

以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:49:40.02 ID:x68eWxlN0
姉妹の仲は別段悪いというわけではない。むしろ私が中学に上がってからはほとんどケンカはしなくなったし、良好と言えるだろう。
けれど、私はお姉ちゃんとの間に確かな距離を感じていた。というよりは、一方的に私が避けてるといえた。
昔はお姉ちゃんの後にばかりついていっていたのに、今じゃそんなこともなく、今年の春、たった数ヶ月前に入学した高校もお姉ちゃんとは違う学校で。

けれどお姉ちゃんの学校での様子は、私が聞かずとも勝手に耳に入ってきた。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:50:55.57 ID:x68eWxlN0
姉「ん?ああ、今日はあんたの当番なのに起きるの遅いからやっといてあげた」

朝食を食べ終えたお皿を重ねこちらにやってきながら、お姉ちゃんが言う。

私の前には二人分のお弁当箱。一方はピンクの花柄のナフキンに包まれ、もう一方はただおかずが詰め込まれただけで放置されてある。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:51:56.71 ID:x68eWxlN0


お姉ちゃんと一緒に登校しなくなったのは、いつからだっただろうか。少し焦げたトーストに、薄くマーガリンを塗りながら私はふとそんなことを思った。

テレビは今、つけっぱなしにしていったお姉ちゃんが嫌いらしい可愛らしい動物の話題だった。昨日パンダの赤ちゃんが生まれたというニュース。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:53:08.83 ID:x68eWxlN0
トーストの最後のひとかけらを噛み砕いて、冷蔵庫からパックのコーヒーを取り出して、コップに注ぐ。

思えばこの家に越してきて今年で三年目。備え付けられていた小さな冷蔵庫は、この三年の間にかなり痛んでいた。
テレビだって元々あったもので、だいぶ古い型だ。おまけに冷蔵庫と負けず劣らず小さい。私たち姉妹の部屋は別々にあるものの、お風呂や洗面所だって狭い。
よくもまあ、こんな古いアパートの一室で満足できたものだと自分を褒めてやりたくなるほどに。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:53:55.55 ID:x68eWxlN0
この性格だけではない。全部において、私はどうしても、普通とは違った。特別でもなかった。ただ、私はおかしいのだ。
だからきっと、お姉ちゃんも私を置いていきたかった。そうに決まっている。

きみわるい、もんなあ。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:55:01.07 ID:x68eWxlN0
私は、おかしいのだ。小さい頃はよく動物と会話していたことを他人に話した。家族にも、話した。
けれど人と違うことを自覚してからはなにも言わなくなった。それでもお姉ちゃんにだけは伝えた。お姉ちゃんならわかってくれると思っていた。
でもある日、私は母親にこっぴどく叱られた。もうやめて、と。見たことない顔で、声で、言われた。その後ろには、お姉ちゃんの怯えた顔があった。

たぶん、私たちの間の距離が遠ざかり始めたのは、その頃からだった。そのことがあっても変わらずに接してくれるお姉ちゃんに、私も変わらず
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:55:35.80 ID:x68eWxlN0
こんな感じで続けます
今日は以上、それではまた


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/08/30(木) 00:06:34.94 ID:7Q3UU2wIO
一瞬糞スレかと思ったがなかなか面白い

もっと改行した方が良いのでは?


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:09:32.22 ID:i6e9y6l20


妹「……うわ、降りそう」

教室の寂れた窓の桟に手をかけながら見上げた空はどんよりとした曇り空で、今すぐにでも雨粒がぽとぽとと落ちてきそうだった。
以下略



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