過去ログ - 木場真奈美「木場サンタ?」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:32:53.86 ID:ciVG5wjy0
「そのままの意味だよ。ただ、行くか帰るかと聞いたんだ」
「私、行くといっても……」
「もう、どこも行くところがないってことはないだろう?」

きょとんとするイヴの言葉を遮って私は続ける。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:34:36.61 ID:ciVG5wjy0
「アイドルもサンタも同じだ。悩んで自ら夢をすり減らしているうちは、人に夢を配る仕事なんてできっこない」
「……!」
「だから、こうして私に出来る形で、君が進める道を照らして示させてもらった。しがない一アイドルからのクリスマスプレゼントだ」

言いたいことを全て吐き出し、私は出口に向かった。イヴの表情が何を表しているのかはわからないが、もう私に出来ることはない。
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:36:17.19 ID:ciVG5wjy0
私の腰に巻きついたまま、イヴが言う。

「あ、そうです!さっき『困ったことがあったら頼っていい』って言ってくれましたよね〜?」
「あぁ、いつでも言ってくれて構わない」
「いま、一つだけお手伝いしてもらいたいんです〜!お願いしてもいいですか〜?」
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:39:07.88 ID:ciVG5wjy0
ガタンガタンと、音はなおも近く、大きくなって、イヴもざくざくと雪を踏みしめながら屋上へと舞い戻ってきた。
そして私の手を取り、屋上の真ん中まで引っ張ってくると、おもむろに言う。

「私が合図をしたら、いっせ〜のせ、でソリに飛び乗ってください〜! 木場サンタさん、今日はよろしくお願いします〜!」
「……おい、ちょっと待て。これが君の言う『手伝って欲しいこと』か? なぁ、言いたいことは山ほどあるがまずはこの手を離してくれないか、おい、ちょっと」
以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:42:19.71 ID:ciVG5wjy0
当惑というか、すでに混乱の極みにある私を気にする様子もないイヴ。
――とうとう、ソリを引きながら階段を駆け上がり、ブリッツェンが突進してくるのが見えてきた。
両開きの扉を勢いよくぶち破って飛び出してくる。軽トラックばりに大きいソリに山盛りいっぱい積まれたプレゼント袋……
あれ、足りないんじゃなかったか。あれでも足りないのか。いや、そんなことはもうどうでもいい。
そして、飛び出した勢いのままふわりと浮き、そのまま空に向かってまっすぐ突き進むブリッツェン。
以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:45:45.33 ID:ciVG5wjy0

          ※         ※         ※


「うぅ、怖いよぅ…… やっぱり早苗さんにでも連絡すれば良かった……」
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:48:17.73 ID:ciVG5wjy0
「おいイヴ!落ちる!いったんブリッツェンを止めてくれ!」
「は、はい〜!ブリッツェン、ストップですよ〜!ストップ〜!」

屋上に踏み入った私の目にしたものは、空を飛ぶトナカイとソリ。それに乗るイヴちゃんと、ぶら下がる真奈美さんでした。

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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:50:02.45 ID:ciVG5wjy0
イヴから渡されたサンタ服を着込むと、極寒の冬空にも何のことはなく耐えられた。
普段より近い雲と舞い散る雪、眼下に広がる光あふれる街と、思わず息を呑むような絶景がみるみるうちに流れていく。
普通に生きていては味わえない感覚にしばし感動を覚える……
が、今は少々イヴと話したいこともあったので、私は意識を現実に引き戻し、前方の座席に座るイヴに声をかけた。

以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:51:50.93 ID:ciVG5wjy0
「私も一応は自分の意志で付いて来たからな。とやかく言うつもりはないんだが」
「う〜ん。木場さん、夢を届けるって言ってたじゃないですか〜」

速度が収まったので、荷台を移動してイヴの横へと座る。
典型的なサンタのイメージである、恰幅の良い男性のサンタ用に作られているのか、私たちは二人並んでちょうどよく収まった。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:54:09.65 ID:ciVG5wjy0
輿水。表札にはそう刻まれていた。

「幸子か…… 確かに苦労人な感はあるし、割と良いチョイスだとは思うが……サンタを信じているような年か?」
「どうでしょう〜。まぁ、まずは幸子ちゃんの寝室を探しましょう〜」
「……ところで、仮に彼女へのプレゼントが決まったとして、どうやって置くんだ?」
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:58:26.88 ID:ciVG5wjy0
イヴが音もなく窓を開け、注意深くカーテンをずらす。私はいざというとき見つからないよう、脇に隠れている。

「……ビンゴです〜。手紙と大きめのサンタ用靴下を確認しました〜」
「おいおい……」

以下略



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