978:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/10(日) 12:03:21.25 ID:59rXRImJo
続きは次スレか
>>1000なら今回Hシーン有りで
979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:03:51.43 ID:nQ4y3AGI0
上原絵梨果(女子2番)は全くしゃべらなかった。喋る気力がないのだ。元々、気の小さい絵梨果は、仲良しグループの中でも最もおとなしい存在であった。そんな絵梨果がこんな殺し合いゲームに放り出されて、まともに喋ることなど出来るはずがなかった。
完全に怯えきった絵梨果は意気消沈していた。
「絵梨果、大丈夫?」
すぐとなりに座っていた眼鏡をかけた女生徒、石川直美(女子1番)が心配して話しかけてきた。
「う、うん…。だいじょうぶ…」
980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:04:29.01 ID:nQ4y3AGI0
「あたしはすかさず淳子に歩み寄って言ったの。『一緒にみんなを探そう』って。でも淳子はそれに応じなかった…。淳子は私達と行動することを拒否したの…」
直美は当然のことながら、智里もその話を聞いて呆然としていた。もちろん絵梨果もだ。
「なんで…? 淳子はなんで、私達と一緒にいたくないって思ってたの?」
直美が美咲にくってかかるようにたずねると、美咲は再び絞り出すように話し出した。
「あたしももちろん淳子にその理由を聞いたよ。そしたら淳子こう言ったの。『彼を探しに行く』って…」
981:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:42:27.01 ID:nQ4y3AGI0
ああ、そうだ、私のまわりには、こんなにも優しい仲間がいるんだ。確かに淳子に、私達よりも彼の方を選ばれてしまったことは残念だけど、私はそれでも淳子のことが大好きだ。直美だって、いつも私と仲良く優しく接してくれた…。そうだ、悲しむことなんて何もない。私はもう大切な物は手に入れているのだ。
「ねえ。直美が帰ってきたら今度は忍を探しに行かない?」
智里が新城忍(女子9番)の名前を出した。今のところ、このグループのメンバーの中で彼女だけは唯一、出発以降の消息が全く不明のままなのだ。
「見つかるかな…?」
絵梨果はちょっと不安だった。移動する途中、だれかと遭遇する可能性が高いからだ。他の生徒との遭遇は戦闘になる恐れもあり、あまりにも危険だ。
982:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:43:14.45 ID:nQ4y3AGI0
絵梨果たちにはトイレに行くと言ったが、別にトイレに行きたくなったわけではなかった。少しの間、一人になって考えたかったのだ。淳子のことだ。
淳子と中学一年の時から、一番仲が良かったクラスメイトは直美であった。もちろん直美は他の友達も大切だったが、その中でも淳子は別格だったのだ。
直美と淳子は毎日のように一緒に行動を共にしてきた。大好きだったのだ。淳子のことが…。
だがある時、淳子に彼氏が出来た。塔矢である。
直美は淳子に彼氏が出来たということはなんら不思議に思ってはいなかった。淳子は積極的で明るくて行動力がある。自分なんかよりもずっと異性に好かれるタイプであることは理解していた。だからいつかこんな日が来るかもしれないと、かなり前から考えたことがあった。
983:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:44:28.64 ID:nQ4y3AGI0
「智里ぉ!!」
直美は智里の体を抱き上げて泣きついたが、智里はもう直美には何も言い返しては来なかった。
「絵梨果ぁ!! 美咲ぃ!!」
首だけになってしまった絵梨果や、頭が完全に陥没してしまっている美咲にも近寄って泣きついたが、当然3人とも二度と口を開くことはなかった。
984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:46:53.87 ID:nQ4y3AGI0
分校の場所から、林を南西に歩き続けていると、緩やかな坂が現れた。女生徒は迷うことなく、その坂を登り始めた。するとその先に、大きな洞穴の入口らしき空間が現れた。
ここに隠れよう。
ほんの少しポッチャリとした顔をこわばらせながら、南条友子(女子16番)は懐中電灯で中を照らしながら穴の中に入っていった。この中に隠れていれば、誰にも見つからないかもしれないと考えたのだ。
私は殺し合いなんてしたくない。もちろん死にたくもない。
元々気が弱い友子の目からは、常に涙が溢れ続けていた。分校を出発してから、この涙は一度も止まったことはない。
985:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:47:22.84 ID:nQ4y3AGI0
いつも明るく、どんなときでもお調子者で、クラス内でも人気者の透は、今まで学校内で泣くことなど無かったのだ。いや、もしかしたらあったのかもしれないが、少なくとも友子はそんな光景を見たことはなかった。いずれにしろ透が泣くことは珍しいことなのだろう。
逆に友子自身は自分でも自覚していたが、どちらかというと泣き虫であった。もちろん今も涙は流れ出し続けている。
向かい合って、そしてお互いに泣いているその光景は、もし別の誰かが見ていたとしたら奇妙な光景にしか見えなかったであろう。
「今まで一人でずっと不安だったんだ。頭がどうにかなってしまいそうなんだよ。頼むから一緒にいててくれないか」
友子に頼み込むように言った。泣いているのにもかかわらず、不思議と透の声はしっかりとしていた。
986:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:48:42.71 ID:nQ4y3AGI0
男子生徒は友子の首に突き刺さっている鎌を抜いた。瞬間、友子の首からはおびただしい量の血液が飛び、男子生徒の制服にかかったが、その生徒は特にそのことは気にしなかった。
中の上くらいの高さの身長で、二重まぶたと、冷たい視線が特徴的なその顔。それは狩谷大介(男子5番)であった。
大介はヒュッと一度鎌を振り、刃の部分に付いた血を軽くとばした。
実にラッキーであった。とにかく自分以外の邪魔な生徒達を殺していこうと思っていたところに、出くわした友子が、大介に全く気が付いておらず、無防備な背中を見せていたのだ。このチャンスを逃すわけがなかった。
鎌に付いた血を制服の袖でふき取った大介は、地面に倒れている友子の体を蹴り飛ばした。友子の体は2メートルほど転がったが、そこで岩にぶつかって止まった。友子の体中に新たに出来た傷から血がにじみ出していた。
987:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:49:23.10 ID:nQ4y3AGI0
坪倉武(男子13番)は、近くに誰もいないか警戒し、辺りを頻繁に見回していた。そして辺りに誰の姿も見えないことに安心した武は、茂みの中をゆっくりと進んだ。
武が進むたびに、茂みがガサガサと大きな音を立てていたのだが、武は緊張のあまりそのことに気がついていなかった。誰かが付近にいたとしたら、茂みの音のせいで武のいる場所はバレバレである。それに気が付かないほど、武は放心状態であったのだ。当然自分の近くに、ついさっき殺人を終えたばかりの大介が潜んでおり、次に武を狙っているなど、知る由もなかった。
次の一歩を踏み出したとき、茂みの中の枝の一本がデイパックに引っかかった。
くそっ!
武はあせりながら引っかかっている枝をデイパックからはずした。はずした弾みで再び茂みからガサッと大きな音をさせてしまった。だが案の定武はそのことに気がつかない。
988:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:49:53.93 ID:nQ4y3AGI0
突然武の背中に何かが当たった。驚いて振り向くと、そこには一本の大木が立っていた。背中にあたったのが人間ではなかったことに少し安心したが、すぐに視線を目の前の大介に戻すと、再び恐怖が舞い戻る。
「待ってくれ!止まってくれ!こっちに来ないでくれ!」
武は両手を前に出して、とにかく大介に近寄ってこないように頼んだが、そんなことで殺意を持っている大介が止まるわけがなかった。
「武。お前さっきからうるせえよ。そんなに怖いんなら一思いに殺ってやろうか?」
口調はおとなしかったが、恐ろしく顔歪ませながら大介が言った。そう、ここへ来てついに大介が本性を見せたのだ。
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