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2013/03/23(土) 21:01:00.16 ID:sFFUNv8Z0
翌日、新しいアイドル候補生をスカウトしたと、プロデューサーが鼻息を荒くして律子に話した。
その名前に聞き覚えがあったため、律子はどんな子なのかと問いかけた。
「金髪ロングでスタイル抜群、でもあどけなさが残る顔が印象的だったなぁ。
昨日、浜松町を歩いてたところを見かけてさ」
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2013/03/23(土) 21:02:49.56 ID:sFFUNv8Z0
「先生に会いに行ってたの」
星井美希は、昨日事務所に来なかった理由を律子が聞くと、そう答えた。
学校の先生かしら。
「ううん、違うよ。カモ先生なの」
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2013/03/23(土) 21:05:13.38 ID:sFFUNv8Z0
美希はおそらく、アイドルという職業に興味があった訳ではないらしい。
一昨日プロデューサーに声を掛けられ、たまたま暇だったから今日来たということだろう。
律子は、15分程度の面接を経てそう解釈した。
ならば、興味を持たせてやろうではないか。
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2013/03/23(土) 21:07:19.52 ID:sFFUNv8Z0
タクシーを捕まえて向かった先は、地元の自治会館だった。
既に事務所の車が駐車場に停められている。
ちょうど、あずさとやよいの出番が始まる時間であった。
受付を済ませ、美希の手を引き、律子は庁舎内の2階にある大会議室へと向かった。
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2013/03/23(土) 21:09:34.02 ID:sFFUNv8Z0
「あふぅ。この人に連れられたから来ただけなの」
それはそうなんだけど―――。
何か言い返したくなるのを我慢して、律子は美希にライブの感想を聞いてみた。
「うーん、ちょっと想像してたのと違うってカンジかな」
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2013/03/23(土) 21:11:46.73 ID:sFFUNv8Z0
プロデューサーから半ば強引に事務所の車の鍵を受け取り、律子は第二京浜を北へ向かった。
五反田駅を過ぎ、品川にある衆議院の議員宿舎へ向かうよう交差点を右折すれば、通り沿いに765プロ御用達のレッスンスタジオがある。
およそ10分ほど車を走らせ、ダンスレッスンが行われている部屋の扉を開けると、春香と雪歩、真が休憩しているところだった。
真の姿を見て、律子はしめたと思った。
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2013/03/23(土) 21:14:01.79 ID:sFFUNv8Z0
「ダンスの練習風景をこの子に見せてあげたいの。一度、通しでやってみせてちょうだい」
律子の目線は、真と美希の方へ交互に向けられていた。
三人は元気良く返事をすると、音源をセットし、配置についた。
「真を良く見ていなさい。あの黒いタンクトップの子」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:15:58.07 ID:sFFUNv8Z0
少したどたどしくはあるが、美希は一度見たダンスの振り付けの前半部分を、ほぼ間違えることなく踊ってみせた。
765プロ関係者以外の誰かに披露したのは、今回美希が初めてのダンスである。
「えっ!? す、すごい! 今の見ただけでもう覚えちゃったの?」
春香は動揺を隠せなかった。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:17:39.09 ID:sFFUNv8Z0
しばし呆然としていたが、すぐに我に返り、律子は美希を素直に賞賛した。
「まさか私の方が驚かされるなんてね」
美希は、もう動きたくないと言った様子でその場に座り込みながら、めんどくさそうに律子の顔を見た。
「アイドルって、大変だね」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:20:02.18 ID:sFFUNv8Z0
扉を開けると、千早はコーチと共に熱心に発声練習を行っていた。
来室にしばらく気づいていない様子だったが、コーチが律子達に挨拶すると、ようやく千早も向き直り丁寧にお辞儀をした。
「お疲れ様です、秋月さん」
「律子で良いと言っているでしょう? 敬語とかも、別に気を使わなくていいわよ」
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2013/03/23(土) 21:23:03.52 ID:sFFUNv8Z0
『蒼い鳥』は、まさしく千早のためにある曲だと律子は感じていた。
十分な声量に加え、ビブラートを利かせた伸びのある千早の歌声は、765プロでも随一である。
それに加え、どことなく悲壮感を漂わせるこの曲は、時折影を見せる千早のイメージにも合っており、ある種の完成形に達しているとさえ思った。
通しで歌い終えて、千早は少し首を捻っていた。
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