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2013/03/23(土) 20:50:25.65 ID:sFFUNv8Z0
「どうしたよ、姉ちゃん?」
男の一人が律子に声をかけた。
下劣な視線に、律子は決して動じる素振りは見せまいと思った。
「電車の中は公共の場であり、禁煙です。
自分達の行いを振り返って、人として恥ずかしいと思わないんですか?」
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2013/03/23(土) 20:53:19.42 ID:sFFUNv8Z0
その時、電車はいつの間にか浜松町に着いたようだった。
扉が開き、一人の少女が乗り込んできた。
「あふぅ、何か変な人だったなぁ」
少女は、喧嘩沙汰で騒然とする車内の空気などお構いなしに、ブツブツと独り言を呟きながら、先ほどまで男達が座っていた優先席に腰を下ろした。
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2013/03/23(土) 20:54:26.74 ID:sFFUNv8Z0
「よぉ、そこの彼女。何それ、あぁ、かわいい携帯だね〜」
男の一人が、少女の携帯を見て声をかけた。
少女は顔を上げ、不思議そうに男達の顔を順番に見た。
「でもさ、知ってた? 優先席って、携帯使っちゃいけないんだよ」
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2013/03/23(土) 20:56:03.70 ID:sFFUNv8Z0
「だってミキ――あっ、ミキっていうんだけどね?
ミキ、あまりお兄さん達みたいな人って好みじゃないもん。
タバコ臭いし、服も顔も何か汚いし、ちょっと一緒に歩きたくないって思うな。
だから、携帯返して」
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2013/03/23(土) 20:57:10.42 ID:sFFUNv8Z0
少女は、男が投げ捨てた携帯を手に取った。
そして、角についてしまったキズを見てガッカリした後、再び元の席に腰を下ろした。
「お嬢ちゃん、ありがとうねぇ」
つまらなそうな顔をしていた少女に、隣に座っていた老婆が優しく声をかけた。
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2013/03/23(土) 20:59:00.57 ID:sFFUNv8Z0
少女は品川で降りた。
二駅分しか電車に乗っていなかったが、その短い間に彼女が他の乗客に与えたインパクトはあまりにも強烈だった。
律子と雪歩も同様だった。
自分が絡まれた時に助けが無かったことを思い出し、少しムッとしたが、今はそれよりも、律子は天真爛漫な少女の事で頭の中がいっぱいだった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:01:00.16 ID:sFFUNv8Z0
翌日、新しいアイドル候補生をスカウトしたと、プロデューサーが鼻息を荒くして律子に話した。
その名前に聞き覚えがあったため、律子はどんな子なのかと問いかけた。
「金髪ロングでスタイル抜群、でもあどけなさが残る顔が印象的だったなぁ。
昨日、浜松町を歩いてたところを見かけてさ」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:02:49.56 ID:sFFUNv8Z0
「先生に会いに行ってたの」
星井美希は、昨日事務所に来なかった理由を律子が聞くと、そう答えた。
学校の先生かしら。
「ううん、違うよ。カモ先生なの」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:05:13.38 ID:sFFUNv8Z0
美希はおそらく、アイドルという職業に興味があった訳ではないらしい。
一昨日プロデューサーに声を掛けられ、たまたま暇だったから今日来たということだろう。
律子は、15分程度の面接を経てそう解釈した。
ならば、興味を持たせてやろうではないか。
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2013/03/23(土) 21:07:19.52 ID:sFFUNv8Z0
タクシーを捕まえて向かった先は、地元の自治会館だった。
既に事務所の車が駐車場に停められている。
ちょうど、あずさとやよいの出番が始まる時間であった。
受付を済ませ、美希の手を引き、律子は庁舎内の2階にある大会議室へと向かった。
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