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2013/03/23(土) 22:16:04.22 ID:sFFUNv8Z0
沖縄生まれだという響は、美希の良い遊び相手になっていた。
もとい、おもちゃという表現が正しいのかも知れない。
響にその気は無いのだが、一方的に美希に振り回される事が多いようだ。
今日も美希は事務所のソファーに腰掛け、響の長い黒髪を撫でながら恍惚とした表情を浮かべている。
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2013/03/23(土) 22:17:40.67 ID:sFFUNv8Z0
「もし、萩原雪歩」
穏やかで丁寧な声に、雪歩は振り向いた。
見ると、貴音が湯のみと急須を持って立ちつくしている。
「響にお茶を淹れてあげたいのですが、お茶っ葉はどこにあるのでしょう?」
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2013/03/23(土) 22:19:47.56 ID:sFFUNv8Z0
人数分の湯飲みを用意し、ソファーにお茶を持っていく時には、雪歩の顔は既にほころんでいた。
「あっ、雪歩、お茶ありがとう! でも何で笑ってるんさー!」
「あわわ、響ちゃんごめんね! つい――」
「雪歩もこっち座るの! 響の髪、半分あげるね」
「ふふっ、この指触りは真、癖になりますね」
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2013/03/23(土) 22:22:01.77 ID:sFFUNv8Z0
「あれっ、何で他の人達が使ってるの? 律子、場所合ってるよね?」
さん付けで呼びなさい、と美希に注意するのも忘れ、律子はジュピター三人の顔を一人一人順番に見た。
金の短髪で長身の男は伊集院北斗、反対に小柄で幼い顔をした少年は御手洗翔太。
そして、律子達から見て一番奥にいた青年が、彼らのリーダーである天ヶ瀬冬馬だ。
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2013/03/23(土) 22:23:39.11 ID:sFFUNv8Z0
響は、顔がカァーッと熱くなった。
自分の落ち度を指摘されたせいもあるが、貴音のことも責められるのは我慢できなかった。
「違う! 自分はちょっと寄り道しちゃったから遅れたんだけど、貴音は違うさー!
貴音は――」
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2013/03/23(土) 22:25:35.22 ID:sFFUNv8Z0
「そうは言っても、どのように行えば良いでしょうか」
961のレッスンを行っていた男性のコーチは、少し困惑した表情で律子に聞いた。
突然の提案に戸惑っていたのは律子も同じであったため、どう返答して良いのか律子は迷った。
「そうですね―――基礎練は、私達も一緒に参加できると思います。
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2013/03/23(土) 22:27:45.33 ID:sFFUNv8Z0
「曲名は『The world is all one !!』という曲です。
本当は、五人くらいのユニットで本日お披露目できれば良かったのですが――」
律子が曲を簡単に紹介する。
ここしばらく、765プロのアイドル皆で練習をしている、明るい曲調のナンバーだ。
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:30:32.14 ID:sFFUNv8Z0
「んな訳ねぇだろ。レベルの低いダンス見せやがって」
開口一番、冬馬が悪態をついた。
「一人を除いて、それなりに実力があるのは認めるよ。
だが、センターで踊っていたヤツにレベルを合わせてたんじゃ、このユニットじゃあトップに立てねぇ」
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:32:36.78 ID:sFFUNv8Z0
「では、『Alice or Guilty』という曲です。ご覧下さい」
961のコーチがジュピターの曲を紹介する。
765側を含め、不思議な緊張感が部屋の中を包んだ。
曲の振り付けは全体的にゆったりしているものの、ジュピターのダンスは一挙手一投足に隙の無さを感じさせた。
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:34:22.98 ID:sFFUNv8Z0
「ちょっと待つの」
美希が突然ジュピターに言い寄った。
「レベルの低いダンスを見せてるのは、そっちだって同じじゃないの?」
美希はそう言うと、突然その場でメロディを口ずさみながらステップを踏み始めた。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:36:29.29 ID:sFFUNv8Z0
「良くやったぞ、美希! あの連中の呆気に取られた顔ときたら、もう最高だったさー」
帰りの車内で、響は大声で笑いながら美希の肩を叩いた。
美希も誇らしげな笑顔を浮かべつつ、胸を張っている。
「美希の飲み込みの早さは真、目を見張るものがあります。
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