15: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:59:23.63 ID:apyY2YgH0
  
 ひと通り今日のデートへの意気込みを伝えていた。 
  
 そうだったんですか。と彼女は目をまるくした。 
 そして、ちひろさんに酒のせいではない頬の紅潮が見て取れた。 
16: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:59:49.79 ID:apyY2YgH0
  
 それから3日経った水曜日のことだ。 
  
 あのデートの後から、ぼくはちひろさんと話していない。 
 互いに忙しく、時間がとれなかったのだ。 
17: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:00:33.52 ID:apyY2YgH0
  
 以前より、ちひろさんの態度はさらに軟化していた。 
  
 交流を深めた結果もあったのだろう。 
 けれど、どこかその両肩は落ち着いていない。 
18: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:00:59.68 ID:apyY2YgH0
  
 そこから土曜日までもちひろさんと話さなかったが、満足していた。 
  
 ぼくは、前述の仕事の企画のため、朝の11時には営業に向かった。 
 担当アイドルの名を伝え、企画の再確認などを行った。 
19: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:01:28.28 ID:apyY2YgH0
  
 『それでは、すみません。失礼します、社長』 
  
 ちひろさんはそう挨拶をし、ぼくと共に事務所を出た。 
 これからのことで頭がいっぱいだ。 
20: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:02:05.56 ID:apyY2YgH0
  
 小さなネックレスだった。 
  
 1万円くらいのネックレスで、ハート型をしていた。 
 彼女は愛でるようにそれを見て、ぼくに気がついた。 
21: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:02:31.81 ID:apyY2YgH0
  
 『今日は私が出します。これだけは、譲りませんから』 
  
 彼女はちょっと困ったような表情で、ぼくにそう告げた。 
 ネックレスのことなら、気にしなくてもいいのに。 
22: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:02:58.98 ID:apyY2YgH0
  
 次の月曜日、それは大騒ぎになった。 
  
 ちひろさんがネックレスをしている。 
 これ、どこで買ったの。みなも一斉に食いついた。 
23: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:03:43.80 ID:apyY2YgH0
  
 それから4日後の木曜日、ぼくたちは集まっていた。 
  
 アイドル合同ライブの成果が、あまりにも大きかったのだ。 
 以前話したディレクターや、スタッフのみなを集め、酒の席についた。 
24: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:04:19.85 ID:apyY2YgH0
  
 『はい。お付き合いしている方はいません』 
  
 「なら、俺!…俺とか、どうですか」 
  
25: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 15:04:46.10 ID:apyY2YgH0
  
 8月20日。 
  
 あの日から、ぼくはちひろさんに声をかけるのを躊躇った。 
 大人げない嫉妬が、ぼくのそれを妨げていた。 
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