2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:32:29.95 ID:Mi8zjoZEo
――しとしとと降る雨が、ささやかな音と共に湿度を届けている事務所。
ここ最近は降水確率が常に半分を超えているようで、水音を聞かない日は無い。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:33:37.16 ID:Mi8zjoZEo
「…学校の宿題か?」
雨でさぞ不快だろうと思ったので、お茶と共に事務所に常備しているタオルを翠に手渡そうして近づくと、翠はソファ前のテーブルに出したプリントを見て悩んでいるようだった。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/27(木) 22:34:27.93 ID:Mi8zjoZEo
「雨の色、か」
しかし先生も難しい問題を出す。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:35:13.61 ID:Mi8zjoZEo
ではどんな回答が国語的かという事について翠と話し合っていると、聞き慣れた扉の音が再び事務所内に響き渡る。
「おはようございます…と、翠さんも来てらしたんですね」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:36:07.17 ID:Mi8zjoZEo
「ああ、いや。思った事が一緒だったな、ってなったらつい…な」
不思議そうな表情で俺を見るゆかりに対して弁明をする。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:36:36.53 ID:Mi8zjoZEo
「まず、先生がわざわざ『雨』の色、と限定したことから考えます」
「水でもなく、雨だからなあ」
顎に手を当てて、ゆかりの言葉に従って思考を連鎖させる。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:37:04.67 ID:Mi8zjoZEo
「…でも、そのまま意見をもらうのは何だか卑怯ですね」
しかし翠はすんなりと記述はしなかった。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:37:30.33 ID:Mi8zjoZEo
「ありがとうございます、プロデューサーさん」
翠にもしたように、お茶と、ついでにもう遅いだろうがタオルを渡すと、ゆかりは柔和な笑みを浮かべる。
まだまだ風貌は幼いが、言動や思考といった面では少女の範疇を既に超えている。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:37:57.98 ID:Mi8zjoZEo
「二人とも、よく思いつくな」
凝り固まった頭ではその回答へ到達できそうにない。
改めて二人の若さを感じるとともに、俺も歳をとったかなあ、とひとり息を吐いた。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:38:25.66 ID:Mi8zjoZEo
「翠、携帯電話のカメラを貸してくれるか?」
「カメラですか? ……はい、大丈夫ですよ」
突拍子もないお願いに、翠は疑うこと無く俺に携帯電話を差し出した。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:38:54.44 ID:Mi8zjoZEo
「要はさ、本質は変わらないのに、見る人によって感じた事がそれぞれ違うというのを言いたい訳だ」
傷を付けないように、スマートフォンを丁寧に翠に返して言う。
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