過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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42: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:21:03.37 ID:Fg9GCM/jo
『……運動、しとくべきっ、だったかな』

 ただの小走りでも、体に乳酸がたまってきているのがわかる。本格的にジムへ通うことを検討するべきかもしれない。そんなことを考えているうちに、あのバーの看板が見えてくる。

 私は少し息を整えると、邪魔をしないようにゆっくりと扉を開ける。その向こう側には、夜の時には閉められている防音扉があるはずだったが――それは既に、開いていた。
以下略



43: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:21:32.52 ID:Fg9GCM/jo
 ライブが終わった後、マスターが掛けただろう、ゆったりとした悲壮感漂うクラシックが、なんとなく私の心を表しているように感じる。

『はは、少し残業が長引きまして……。楽しみにしていたのですが、残念です』

 私は苦笑しつつ、愛想笑いを浮かべて、ちょうど空いていたカウンター席に着いた。あまり酒は嗜まないが、今日は少しだけ飲もう。そう思い、ブランデーを注文する。
以下略



44: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:21:59.37 ID:Fg9GCM/jo
『ところでマスター、”変わり種”というのは、どちらの方だったので?』

 私は、気になっていたことを聞いた。マスターはカウンターの向こう側に戻ると、ちょうどステージの傍にいる集団を見た。

「ああ、そこにいるよ」
以下略



45: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:22:29.21 ID:Fg9GCM/jo
『あの、黒髪の女性ですか』

「おっ、良くわかったね。もおやおや、しかして、タイプの子だったかな?」

『はは、御冗談を……。楽器を持ってらっしゃらなかったので、少し気になっただけですよ』
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46: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:22:55.24 ID:Fg9GCM/jo
「隣、空いているかしら?」

 そう、声を掛けられた。私は特に気を払うこともなく、書類の枚数を確認しながら、

『ええ、どうぞ』
以下略



47: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:23:21.51 ID:Fg9GCM/jo
「……どうかしたかしら?」

『……え、あ、ああ。いえ、これまたお美しい方が、お隣に座られたのだ、と思いまして』

 私はとっさに、そんなお世辞を並べる。いや、生憎お世辞と言うわけではなく、実際の所本心ではあったが、あくまで平静を装ってのことだ。
以下略



48: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:24:16.05 ID:Fg9GCM/jo
「あなた、つまらない人ね。でも、悪くはないわ」

 彼女は、あって間もない私のことを、つまらないと見抜いた。彼女は間違いなく聡明だろう、と私は一人自虐する。

 ただ、悪くはない、という意味は少し分からなかった。
以下略



49: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:24:41.58 ID:Fg9GCM/jo
「ご丁寧に、わざわざありがとう。それと、千秋でいいわ。あなたの方が年上であることよ」

 やはり、クールビューティと表現するに相応しい女性だろう。それに、言葉づかいや振る舞いから、良家の子女の様なものがにじみ出ている。

 ただ、深窓の令嬢というよりも、高嶺の花、という表現が似合うかもしれない。私はそう思った。
以下略



50: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:26:10.40 ID:Fg9GCM/jo
「お客さん、千秋ちゃんのこと、楽しみにしていたんだよ」

「あら、そうなのかしら?」

 告げ口をするように、マスターが千秋さんへと喋りかける。彼女は、それを聞いても表情を変えることなく、余裕を浮かべたまま私に視線を投げかけてくる。
以下略



51: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:26:58.67 ID:Fg9GCM/jo
今回の更新は以上です。ペースを上げていきたいですね。
読んでくださり、誠に有難うございます。


52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/05(月) 01:33:24.50 ID:r2PhNO2eo
乙乙


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