過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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527:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:02:05.76 ID:KVRRLmPoo



 屋上から見る空は鮮やかだった。雲は青紫で、空は橙で、夕陽は黄色。絵に描いたような光景。
 風が少し強かった。こんなところにいたら、また風邪を引いてしまうかもしれない。
以下略



528:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:02:47.28 ID:KVRRLmPoo

「おまえは彼女を傷つけたんだ」と俺は俺に向けて言ってみた。
「そしてもう二度とやり直すことはできない」

 言ってしまうと後は簡単だった。同じ言葉を頭の中で何度も唱えるだけだ。
以下略



529:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:03:29.10 ID:KVRRLmPoo



「何してるの?」と彼女は言った。
 直前に口にした言葉を忘れたみたいに自然な声音で。
以下略



530:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:03:59.24 ID:KVRRLmPoo

「……ごめん。嘘かも」

 彼女はそう言って肩をすくめた。俺はその言葉をうまく理解できなかった。

以下略



531:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:04:32.89 ID:KVRRLmPoo

 俺はそれ以上深くは考えずに、適当に言葉を返そうとしたけれど、思いつかなかった。

「きみに謝るべき?」

以下略



532:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:05:28.24 ID:KVRRLmPoo

「だってそれ、いまさらなんだもん。それに、覚えてなかったのはべつにあんたの責任じゃないでしょ。
 そりゃショックだったけど、だからってあんたを責めるのは違うでしょう?
 そんなのは、もうわたしは一年以上前に通り過ぎたし、とっくに納得してたんだよ」

以下略



533:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:06:42.89 ID:KVRRLmPoo

 俺は枝野の顔をじっと見つめた。彼女も負けじと俺の顔を見た。でも結局、目を逸らしたのは枝野が先だった。

 必要とされたかった、のだろうか、俺は。
 よくわからない。そんなふうに逃げ出そうとする俺の思考を、
以下略



534:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:07:09.35 ID:KVRRLmPoo

「中学のとき、俺のことを好きだと言ってくれる人は一人しかいなかった。
 ひょっとしたら、一人いたというだけでも、十分すぎるくらい幸福なのかもしれない」

「そうだよ。存分に後悔したまえ」
以下略



535:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:07:35.48 ID:KVRRLmPoo

「嘘だ」

「本当に。といっても、今はその内容をほとんど覚えてないけど。俺はそれからきみのことについてある程度調べた。
 どんな部活に入っていて、どんな友達と付き合っているのか。調べたというより観察したという方が近いか。
以下略



536:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:08:17.13 ID:KVRRLmPoo

「そんなに先のことまで、普通、考えないよね」

 彼女は真剣な声音でそう言うと、遠くの空をじっと睨んだ。

以下略



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