過去ログ - オリジナル小説【現代ファンタジー】
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10:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:25:21.37 ID:FkLb1xlW0
 翌日昼間。マートは『町』の前で人を待っていた。
 魔術士同士でも、協力することがある。
 当然のこと、一人あたりの報酬は減るが、生存確率は大きく上昇する。
 マートも、何度か他の魔術士と共闘したことがある。
 しかし今回は、見知った顔ではなく、初めて会う相手だ。
以下略



11:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:26:47.79 ID:FkLb1xlW0
 二人は『町』へと入る。
 魔術士はこの時、妙な感覚に襲われる。
 落ち着かないような浮翌遊感。気持ち悪いような、そうでもないような、どっちつかずの感覚。
 それらが体から完全に消え去った時、街から『町』へ、あるいは『町』から街への移動は完了する。

以下略



12:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:27:30.44 ID:FkLb1xlW0
 しばらく、二人は索敵を続ける。
 それなりに時間が経ったころ、今回の獲物が見つかった。
 ベースは獅子。背中からはワシの翼。そして、尻尾代わりの蛇。
 おそらく、もっとも良く知られる合成獣・キマイラと酷似した姿を持っている。

以下略



13:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:28:09.28 ID:FkLb1xlW0
 マートにとって目下気になるのは、スケアクロウの実力。
 腰の鞘からのぞかせる刀は、それなりに立派なものに見えるが……。
 死角回避の場所は用意できていないものの、獲物は見つかったのだ。やるしかない。
「ごぁぁぁぁ!!」
 見つかった。というよりは見つけさせたのだ。
以下略



14:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:28:43.54 ID:FkLb1xlW0
 ぶぉん。
 そんな風切音を発して、キマイラの爪がマートの頬をかする。
 あと一歩で、マートの片目はつぶされていただろう。
 冷や汗が頬から出た血に紛れて流れ落ちる。
 スケアクロウはスケアクロウで、数の多い猫サソリに苦戦している。
以下略



15:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:29:17.03 ID:FkLb1xlW0
 キマイラを一時スケアクロウに押しつけ、距離を取る。
 マートの目の前に、廃屋のガレキが佇んだ時、その身はキマイラの方へと翻された。
 そして、マートは風の刃をキマイラの体にぶつける。
 これは、殺傷を目的とするものではない。
 キマイラの注意を自分に向けるためのものだ。スケアクロウとは十分に距離が離れている。
以下略



16:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:29:52.97 ID:FkLb1xlW0
 合成獣には、もちろん知能がある個体もあるのだが、彼らの本能には”近くにいるものを襲え”と言う命令が深く刻まれている。
 その命令に従い、猫サソリはスケアクロウの方へと向かっていった。
 猫サソリ程度なら、スケアクロウでも大丈夫だろう。
 肝心のキマイラはというと、ガレキの中に首を突っ込み、もがいている。
 ただ、蛇の部分だけは強くマートをにらみつけていた。
以下略



17:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:30:33.45 ID:FkLb1xlW0
 風の刃が一つ触れるたび、蛇の付根は確実に削られていく。
 ぼたぼたと蛇の血が流れ落ちる。
 それは、赤い水たまりを地面に描いた。
 一段階目の終わりが近づいている。
 蛇が切断されたのは、ちょうど、獅子の頭がガレキから抜け出た瞬間だった。
以下略



18:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:31:27.07 ID:FkLb1xlW0
 風の刃。
 さきほどから使っている、唯一マートが使える攻撃技。
 シンプルだが、それゆえに強力。
 動きの鈍ったキマイラの眼を、風の刃は打ち抜いた。
 そして、視界を失ったキマイラの爪は、闇雲に宙を切る。
以下略



19:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:32:09.07 ID:FkLb1xlW0
 結局のところ、普通の人間も、魔術士も、居場所は日常の中に回帰するのだ。
 そして、マートにとっての居場所とは、メロがいる場所。
 その場所を守るため、今日も戦い抜くのだ。
 いつもと変わらぬ日常を守るために。
 ……だが、運命なるものは皮肉だ。
以下略



20:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 19:32:51.41 ID:FkLb1xlW0
 大は小を兼ねるという言葉がある。
 星すらも射程に収めた運命は、人々の生活など、容易く破壊するだろう。
 だが、それらに民衆が気づくことはない。
 当然だ。理解せずともその運命に挑む魔術士でさえ気づいていないのに、戦わぬ彼らが知りえるはずはないのだ。
 魔術士は、戦う。
以下略



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