過去ログ - 真「ボクは雪歩の何になれるのか」
1- 20
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/16(水) 21:32:00.87 ID:2tUqkwsno
そこそこ、多少、あまり、少しは、いやまったく無名の芸能事務所、
765プロダクションに所属してから三か月ちょっと。

そこそこ有名な他の事務所のアイドルのバックダンサーや、ドラマのエキストラなど、
小さい仕事をコンスタントにこなしている。
アイドルらしい仕事はまだしたことがない。

もう少し仕事っぽい仕事は無いんですか?
質問すると、『無いことも無いけど、後々、楽だから』と短く返ってきた。

ちっともアイドルっぽくないです。
口を尖らせてみるけど、プロデューサーは取りあう気が無いらしく、
あーとも、うーともつかないうめき声を一度あげて、後は黙り込んだ。

プロデューサーはいつもこんな調子だった。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:33:04.88 ID:2tUqkwsno
ボクはレッスンは休まず受けるし、バックダンサーもエキストラも小さくたって立派な仕事だから全力を尽くす。
だけど、何となく先の見えないアイドルとしての活動に、
早くも不安というか焦りというか、怯え始めていた。

プロデューサーにちゃんと訊いてみよう。返答によっては、
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:34:39.09 ID:2tUqkwsno
プロデューサーは机の上に広げられた企画書の一つ一つを指差して、丁寧に説明をしてくれた。
無口で無愛想で大雑把っていうのが、ボクの中のプロデューサーのイメージだったから、ちょっと意外だった。

ボク一人でデビューするんじゃなくて、二人組としてデビューするらしい。
プロデューサーにボクと組む予定のもう一人の娘のことを聞いた。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:35:35.16 ID:2tUqkwsno
彼女がやってくるまでの二日間は色々想像を巡らしていた。
ボクも両親とは揉めたけど、黙って面接を受けるような無鉄砲なことはしなかったし、
取り消されても改めて再面接を受ける根性は正直敵わない気がした。

当日、プロデューサーに連れられてきたその娘は、ボクの考えていたような娘じゃなくて、
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:39:02.40 ID:2tUqkwsno
「こちら萩原雪歩さん。君とコンビ……って言うと芸人みたいだな。
 この間話した、ユニットを組んで一緒に活動する予定の子。萩原さん、うちの事務所の菊地真」

「は、は、は、はいぃ……よ、よ、よろしくお願いしますぅ」

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:41:52.71 ID:2tUqkwsno
それから簡単に自己紹介を済ませ、彼女はプロデューサーから色々と説明を受けた後、
ボクのレッスンの見学を見学していった。

彼女が帰ってから、ボクはプロデューサーに文句を言った。主に彼女の態度とかについて。
男に間違えられるのは今まで珍しくは無かったけど、彼女には殊更腹が立った。なんとなく。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:42:33.15 ID:2tUqkwsno

次のレッスンから、萩原さんは練習に参加し始めた。
基礎の練習は教わりつつ、ボクと一緒に。曲に合わせて踊ったり、歌ったりはまだしない。
ダンスは未経験、歌はカラオケ程度、ということだったらしいけど、何より基礎体力の無さが問題だった。
トレーナーさんの呆れ顔が印象的だった。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:44:30.67 ID:2tUqkwsno
萩原さんがレッスンに参加し始めて、三週間経った。
いつものレッスンをこなした後、二人で事務所のソファーでくつろいでいた。

「菊地さん、っていつもあれくらいできるの?」

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:45:10.50 ID:2tUqkwsno
「……お茶でも飲む?ボク、淹れるよ」

どんよりとした萩原さんの周りの空気に居心地が悪かった。
彼女は顔を上げた。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:45:39.07 ID:2tUqkwsno
「茶葉はこれ……急須どこに置いたかな」

「あ、これだね。ポットのお湯、空になってるから沸かさないと」

萩原さんは手慣れた様子でやかんに水を注ぎ、火にかけた。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:46:43.54 ID:2tUqkwsno
急須にお湯を注いでからすぐに湯呑に注がないこと。茶葉が開くまで待つ。
濃さが偏るので少しずつ注ぎまわすこと。一つ一つ、注意と説明を交えながら。

ボクのいつものお茶の注ぎ方を見たら、卒倒するんじゃないかってくらい丁寧だった。

以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:47:14.87 ID:2tUqkwsno
「熱いから気を付けて」

「わかってる」

ふーふーと息を吹きかける。淡い緑の水面に波紋が起きた。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:48:53.57 ID:2tUqkwsno
「味が何て言うか、濃すぎず薄すぎず……淹れ方も全然違ってたし」

「菊地さんはよくお茶淹れるの?」

「うん。暇なときは。でも、薄かったり濃かったりするんだよね。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:49:51.34 ID:2tUqkwsno
「あ、ご、ごめん。嫌だった……?」

「嫌とかじゃなくて……初めてちゃん付けで呼ばれたから、あはは」

「そっか、なら良かったぁ。じゃあ、真ちゃんも私のこと名前で呼んでね」
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/16(水) 21:56:39.66 ID:2tUqkwsno
後は不思議と会話が続かなくて、お互いにお茶を飲み終わるとすぐ帰った。
帰り道、一人で真ちゃん、真ちゃんと雪歩の声を反芻して、また苦笑いをした。
次に雪歩の名前を頭の中でなぞると、その苦笑いは歪む。
可憐な名前だ。ボクとは違う。

以下略



16: ◆ueTY3VLB/s[sage]
2013/10/16(水) 21:59:20.71 ID:2tUqkwsno
今日はここまで。
遅筆だけどなるべく早く完結できるよう努力します。
プロデューサーは終始空気だと思います。
酉つけます。まこゆき。


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/16(水) 22:17:47.12 ID:LG+Ntvqzo
乙したー

まこゆきは良いものだ・・・


18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/17(木) 01:08:54.86 ID:KrUgXZ9To
待ってるよー
どことなくアンニュイな雰囲気がいいな


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/17(木) 15:51:50.78 ID:IITNBL8Jo



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/18(金) 15:00:34.50 ID:CntNRIzDO
乙なの


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/18(金) 15:43:42.16 ID:PLhwc9jDO
ゴミスレ。さっさとゴミ箱すてとけks


43Res/23.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice