2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:47:38.44 ID:UHZTgUVzo
いつものように、ふふん、と鼻を鳴らし、プロデューサーさんの顔を覗く。精悍な顔立ちとはほど遠い、男性にしては少し幼気ある顔立ち。長い前髪、黒ぶちのメガネ、その奥にある疲れきった瞳。そして決してかっこよくはない風貌。
プロデューサーさんは不機嫌そうな顔をしてようやくこちらを向いた。
「……だから?」
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2013/12/26(木) 02:48:06.74 ID:UHZTgUVzo
「そんなに気にすることですか?」
「気にするものだ」
「いいじゃないですか――」
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2013/12/26(木) 02:49:01.82 ID:UHZTgUVzo
「――ボクから見てもカワイイと思いますよ、154cm」
「だからぁ!!」
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2013/12/26(木) 02:50:20.78 ID:UHZTgUVzo
――――
――
―
「プロデューサーさんは小さくて困りません?」
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2013/12/26(木) 02:51:01.91 ID:UHZTgUVzo
「それで、一体何が聞きたいの? からかってるだけならもう付き合わないよ」
「ああごめんなさい、ただわからないんですよ」
「わからないって、何が」
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2013/12/26(木) 02:51:41.47 ID:UHZTgUVzo
プライド、自信、そんな言葉をボクの前で言いたくは無かったのだろう。だけども、ボクにとってはちっぽけなものでも彼にとっては大きなものなのかもしれない。
「身長にプライドを割くなんて、可哀想ですね。ボクのプロデューサーとして自覚ないんじゃないんですか?」
「ご、ごめん」
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2013/12/26(木) 02:52:07.57 ID:UHZTgUVzo
そう言うとプロデューサーさんは立ち上がり、話が長くなりそうだからといって給湯室に入っていった。紅茶で良いかという少し張った声に、反射的にお願いしますと答える。
プロデューサーの淹れる紅茶は嫌いではない。昔に齧った程度の知識らしいのだけど、普通にボクが淹れるよりかは美味しい。それがまた、女の子としても悔しいところだったりする。
ソファーにもたれかかりながら、プロデューサーさんを待つ。部屋の中は暖かい。冬のこんな時期だというのに、暖かいというのは幸せなことなのだろう。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:52:35.29 ID:UHZTgUVzo
「何やってるの?」
「ひゃ、ひゃい!?」
突然かけられた声に素っ頓狂な声をあげて、後ろを振り向く。盆の上にポットとカップを載せ、俄然悠然と立っているプロデューサーさんだった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:53:02.50 ID:UHZTgUVzo
カップに紅茶を注ぎながらぽつりぽつりと話しだす。紅茶が入る前のカップは、ほんのりと温かかった。
「営業先の人とかにね横柄な態度を取られたり。まぁ理由は言わなくても、幸子ならわかるよね」
その言葉に胸を詰まらせる。今はもうないけれども、ボクがデビューし初めの頃なんかは、その、言葉に表したくないことだってあった。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:53:51.40 ID:UHZTgUVzo
「まぁ纏めるとね、仕事柄ナメられるってのはあってはならないんだよ。それが自分の身長のせいになるのは申し訳ないところが、ね?」
「……見返せばいいじゃないですか」
「幸子みたいに?」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:54:19.96 ID:UHZTgUVzo
「自覚は足りなかっただろうね。でも幸子、考えてみてよ」
「……何がですか?」
「今こうして、みんなが事務所から出払っているわけかな」
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