13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:48:40.47 ID:4dDXRU7No
「あ……と、遅かったみたいですね」
がたこん、という何度目かの音を立てて、部屋の外から翠が現れた。
14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:50:10.78 ID:4dDXRU7No
「あ、いや、気にしないでください! 普段のお礼ですから!」
翠は中腰になっている俺の肩に手を触れて抑えようとする。決して強い力ではないが、その顔を見ると言葉は冗談ではなさそうだ。
「とはいってもな……アイドルに奢られちゃ立つ瀬がないぞ」
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:52:01.24 ID:4dDXRU7No
「覚えてますか、私が初めてPさんの家に行った日のことを」
遥か遠くの世界に思いを馳せるような、僅かな笑み。
もはやそれだけではっきりと世界が変わるのを感じた。
16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:54:17.67 ID:4dDXRU7No
心音が更に時を刻む。
刻めば刻むほど、過去の情景が網膜を支配していった。
17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:55:02.31 ID:4dDXRU7No
もしかしたら、彼女は俺の考えている過去よりも更に昔の自分を悔いているのかもしれない。
俺の不意な言葉に反応した翠の顔に、どこか昔の香りがしていたからだ。
18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:56:20.02 ID:4dDXRU7No
「思い出すとさ、昔みたいなことはしなくなったよな」
右隣にいる翠に近い俺の右手を広げて見つめてみる。
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:57:24.83 ID:4dDXRU7No
無責任。そう、無責任だ。
背負うべき物を背負わず、他者の運搬を待つだけの存在。
そして一度背負った物を落としてしまうのも、ある種の無責任なのだろう。
20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:59:50.22 ID:4dDXRU7No
その昔、俺は近づくことは許されないのだと信じていた。
上司と部下という仕事の関係であり、そしてアイドルという偶像に実像は不必要だと思っていたからだ。
21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 23:01:01.84 ID:4dDXRU7No
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22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 23:02:09.55 ID:4dDXRU7No
「昔に戻ったみたいだ」
この静寂は何となく昔を想起させる。
現在が賑やかになってきているからこそ、それは鮮やかに思い出された。
23:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 23:03:21.52 ID:4dDXRU7No
しかし、昔には戻れない。
例え戻ったとしてもそれは昔の形をした未来であり、それとは似て非なるものなのである。
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