過去ログ - 星の声が聞こえている
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/15(日) 21:33:34.47 ID:5+LUo+t4o

 ムロイは次に「君の名前は?」と訊ねてきた。
 よく知りもしない人に明かすのはためらわれたが、上手く拒否することもできず結局は教えることになった。
「なるほど、ケイね。いい名前だ」
 彼はそう言ってもう一度うなずいた。
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/15(日) 21:34:03.92 ID:5+LUo+t4o

「その……あまり気にしないでください。自分のせいって部分も大きいですし」
 早く切り上げて帰ろう。そう思った。
 事務的なこと以外で人と話すのはなんだか久しぶりで、居心地の悪さが胸のあたりに溜まっていくのを感じる。
 ちくちくと不快で、できることならすぐにでも逃げ出したい気分だった。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/15(日) 21:34:47.38 ID:5+LUo+t4o

 その携帯ラジオらしきものからはノイズのような高い音が聞こえる。
 まさにラジオのチューナーがうまく会ってない時に出るあの耳障りな音。
 昼間も聞いたあの異音だ。

以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:39:19.56 ID:kSjeRAO4o

……

 星の声を聞くための装置、と彼は言った。
 それは今、ケイの手の中にある。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:39:46.40 ID:kSjeRAO4o

(本当になんなんだろう)
 手の上のそれを見下ろす。
 携帯ラジオ。
 見た目はそれ以外の何物でもないが、星の声を聞くための装置と言われると何やら重量がある気がしてくる。
以下略



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:40:40.11 ID:kSjeRAO4o

 スイッチに指をかけ、しばらく迷った末にオンにする。
 しかし何の音も聞こえてこない。
「あれ?」
 おかしいなと耳を近づけた。
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:41:12.56 ID:kSjeRAO4o

 風の吹き渡る砂漠が頭に浮かんだ。
 晴れ渡って強い日差し照り付ける黄砂の海。
 強風が砂の粒を乱暴に転がす。
 もみくちゃにされてぶつかり合う粒が奏でる音、それに似ているような。
以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:42:00.18 ID:kSjeRAO4o

 装置から耳を離す。
 いつの間にか閉じていた目を開く。
 イメージの中よりもだいぶ優しい日の光に照らされる校庭に戻ってきた。
 装置のスイッチを切った。
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:47:11.04 ID:SRH5G3sNo

……

「こんばんは。あれは気に入ってもらえたかな」
 先に来ていたらしいムロイは、丸太に腰かけたままこちらに笑いかけてきた。
以下略



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:48:24.75 ID:SRH5G3sNo

 彼はケイの手から装置を受け取ると、立ち上がってスイッチを入れた。
 さああ、と木々のざわめきのような潮騒のような音が流れ出す。
 昼間よりも大きくはっきりと聞こえた。
 その音と夜の闇をバックにムロイは口を開く。
以下略



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:49:07.63 ID:SRH5G3sNo

「もう二つ疑問があります」
 ケイは消え去った流星の跡から視線を下ろしてムロイに言った。
 ムロイはどうぞと微笑んだ。
「その装置が星の波……その、電磁波をきちんと拾えてるって保証はあるんですか? 他のものを拾っている可能性は?」
以下略



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