過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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2014/09/14(日) 03:34:30.65 ID:tIovdjLJ0
生徒指導室の前で少女と別れた教師は、事務員に少女の荷物を持って来させるように再度言い付け、単身で職員室に向かった。
教師(今対応しているという教頭たちがどういう方向性に立っているのか、ある程度打ち合わせてから少女の母親と対決したほうが得策だ)
教師は当たり前のようにそう考えたからこうして職員室に向かっているのだが、はたと、事務員は一言も職員室で詳しい説明を受けるようにとは言わなかったことに気が付いた。
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2014/09/14(日) 03:35:42.01 ID:tIovdjLJ0
喧騒に沸き返る職員室に入るやいなや、教師はドア近くに座っていた、妙にそわそわしている同僚をつかまえて面談の諸注意を尋ねた。しかし同僚はまるで信じられないものを見るような目つきをして、そんなものはないと言った。
教師「――ない? なにも?」
そうだが、と当惑した表情で同僚は答えた。一瞬、言葉を失った教師に、同僚は嫌悪感もあらわに顔をしかめた。
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2014/09/14(日) 03:39:16.93 ID:tIovdjLJ0
爆発的な大笑に沸く部屋のドアを閉める。それでやっと教師は息をついた。
数歩後退って、教師は自分が閉ざしたドアを呆然と見つめる。
静寂に満ちた廊下と熱気に包まれた部屋、両者を区分しているのは薄い木の板だけだった。しかしこちら側とあちら側、教師と同僚たちの間にはそれ以上の、超えようもないほど深い断絶が横たわっている。
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2014/09/14(日) 03:39:43.57 ID:tIovdjLJ0
だが、と教師は拳を握りしめた。
だからどうした。それが何だというんだ。
教師は目の前のドアを強く見据える。
教師が周囲から迫害されているからといって、それは教師が自分の役目を放棄していいという免罪符にはならない。そんなことをすれば、教師はどうして教壇に立っていられるというのだ。
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2014/09/14(日) 03:40:33.57 ID:tIovdjLJ0
職員室から応接室は比較的近い。階段を上がって左に曲がり、突き当りを右に曲がればすぐそこだった。
「……! ……!」
階段を上がった時には、廊下まで女性特有の甲高い怒声が漏れ聞こえていた。この距離で聞こえるくらいなのだから、その音量たるや凄まじいものがある。
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2014/09/14(日) 03:41:06.28 ID:tIovdjLJ0
教師(これが少女の母親か)
挨拶をした教師は立ったまま、不躾にならない程度に母親を観察する。
白を基調にしたスーツは細身の体によく似合っていた。床に投げ出すほど長い足はしなやかに組まれていて、踵の高いピンヒールまで伸びている。
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2014/09/14(日) 03:41:43.32 ID:tIovdjLJ0
少女母「――それで? あなたがあの子の担任というわけね」
明らかに険を含んだ母親の言葉に、沈思していた教師はやや慌てて返答した。こうして所構わず考え込んでしまう癖は何とかしないといけないな、と反省しながら口を開く。
教師「申し訳ありませんが、私は途中からお母様へのご説明に参加することとなりますので、我々があなたにどのようなお話をしたのか、まず確認したく思います。少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか――」
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2014/09/14(日) 03:42:24.77 ID:tIovdjLJ0
音を立てないようにドアを閉める。瞬間、教師は間髪入れず教頭に振り向いた。
教頭は面食らったような表情だが、時間がない。口調は矢継ぎ早に問い質すものになった。
教師「どういうことですか」
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2014/09/14(日) 03:43:25.33 ID:tIovdjLJ0
児童虐待が恐ろしくデリケートな問題であることは論をまたない。それは被害者である子供だけでなく、その親と学校においても同様だ。
世間体や執着・依存心など理由はいくらでもあるが、古今東西を問わず、親なら誰しもが子供との別離を拒絶するものだ。
もし虐待が疑われる家庭に対して、自分たちが矢面に立って相対することを怖れた学校側が、教員の中の誰かを悪役に仕立てあげたら?
虐待への疑惑は学校側の総意ではなく、特定の誰かの強硬な主張によるものだ、と弁明してしまったなら――事態の収拾はほぼ不可能だ。
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2014/09/14(日) 03:50:43.48 ID:tIovdjLJ0
激情に呑まれたまま糾弾してやりたかった。この男だけではない、室内の主任も副担任も、この学校に関わる者全員の罪を明らかにしてやりたかった。
だが、今は母親への対応策を思案することのほうが先決だ。
感情を胃の底に押し込める教師の目の前で青くなっている中年の男は、いっそ哀れになるほど情けなく映った。男は言葉にならない呻き声を上げて、ひっきりなしに視線が泳いでいる。
二回りも年下の若輩者になにをそんなに脅えることがあるのか、とも思う端、対母親の思案を止めることはしない。
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2014/09/14(日) 03:51:32.32 ID:tIovdjLJ0
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