24:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:43:28.61 ID:zW0LuoBg0
「しかし懐かしいな、本当に……ここには俺とお前がいつもいて、隣の机にはちひろさんがいた」
そう、そしてその机の下には隣人がいて、他に空いていた何個かの机には皆の私物が入れてあったり、台本やプリントが散らかってたり。
25:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:46:27.92 ID:zW0LuoBg0
「ごめんな」
「……なんで、なんで、謝る?」
26:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:49:32.29 ID:zW0LuoBg0
今更になって後悔する。何で私はここに来たいなんて思ってしまったんだろうか。
何もかもが終わってしまったこの場所に。
ここにはもう、なくしたものしかなかったはずなのに。
27:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:50:34.69 ID:zW0LuoBg0
「なぁ輝子、俺はさ、ここに来れてよかったんだ」
嘘だ。
28:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:52:59.79 ID:zW0LuoBg0
「でもさ、確認出来たんだ……終わらなかったものもあるんだよ」
「……お、終わらなかった、もの?」
29:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:00:05.79 ID:zW0LuoBg0
「昔も、こんな感じだったな」
手を差し伸べたまま、彼が言葉を紡ぐ。
30:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:05:14.95 ID:zW0LuoBg0
「皆は、ここで活動出来たことは自分の糧になってくれたって、そう言ってくれる」
「でも俺は怖かった、ずっとずっと怖かった、だから今のあいつらと会いたくなかったし、会わなかった」
31:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:05:48.81 ID:zW0LuoBg0
彼はまた息を吐く。
溜息のような、深呼吸のような。
それはでも谷のように深く暗いものではなく、洞窟のような道を連想させる。
32:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:08:04.51 ID:zW0LuoBg0
やっぱりここからだと彼の顔は見えない。
見えるのは、差し出された彼の手だけ、それは暗闇に伸ばされた一筋の光みたいで。
私は今の今になって気づく。
33:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:12:16.95 ID:zW0LuoBg0
……けど、一つだけやっぱりわからない。
私が終わらせたいのは、何だろうか。
34:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:14:04.52 ID:zW0LuoBg0
感じたのは、トんでしまいそうなあの感覚。初めてのライブで叫んだ、とても気持ちよかった、あのイメージ。
でもこれはあれよりも甘く、一秒ごとに脳が痺れて蕩けていくみたいだ。
親友は戸惑っているのか、全く微動だにしない。
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