過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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51: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:51:36.61 ID:Joyq1BtQ0
 この会話から三分後、スポーツカーは大きなビルような建物が立っている場所に向かって走っていった。先ほどまでの運転とは打って変わって非常に緩やかな動きと丁寧な移動だった。というのが、今までとは事情が少し違っているからなのだ。

 今まで無茶な運転をディーが行えたのは周りに人の気配がなかったからである。無限に広がる道だけの異界でしかも事故の危険性が限りなく低かったために四桁近い速度で移動ができていたのだ。

 しかし、ここからは違う。ここからは人がたくさん集まってきて、スピードを上げすぎると事故が起きる可能性が高くなる。それはとても困る。
以下略



52: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:56:39.49 ID:Joyq1BtQ0

 京太郎がだずねるとベンチに横たわったおっさんがこういった。

「大丈夫だ。すまねぇな。ちょっと車酔いしただけだ」

以下略



53: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:02:01.24 ID:Joyq1BtQ0
サガカオルが自分の首にかかっているタオルと空になったビンを見せるとパイナップルみたいな髪形の女性がこういった。

「あらまぁ! 親切な子ね! もう、本当にごめんなさいね、この人自分の年を考えずに飲みすぎちゃって、それで車酔いなんてしちゃって。

 でもよかったの? マッスルドリンコは結構使うでしょう、自分の分がなくなっちゃうわよ。それにそのタオルもおっさんくさくなって使えなくなるわよ」
以下略



54: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:06:58.77 ID:Joyq1BtQ0

 すばやいサガカオルを見て京太郎が呆然としているとパイナップル頭の女性がこういった。

「急に元気になっちゃって。ごめんなさいね。本当に」

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55: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:12:14.37 ID:Joyq1BtQ0
 ディーの運転する車に戻ろうとしたとき、京太郎は立ち止まった。きょろきょろとあたりを見渡していた。

誰かが自分を見ているような気がしたのである。しかし、危機感というのは京太郎からは感じられない。

どこからか視線を感じるけれども、その視線に悪意のようなものが混じっていなかったからである。
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56: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:17:16.96 ID:Joyq1BtQ0
休憩を終えた車はするすると道を進んでいった。今までのような道を飛び越えたりはねたりするような動きはほとんどなくなった。

それというのも、ハギヨシから送られてきた情報のおかげである。完全な異界の地図を手に入れられたわけではないのだが、それでもどこに進めばいいのかわからない状況よりはずっとましだった。

 この不完全な地図のおかげで、異界物流センターまでの道のりはかなり普通のドライブになっていた。
以下略



57: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:21:09.62 ID:Joyq1BtQ0
 ディーに質問を飛ばされた京太郎は間を空けて答えた。

「わからないですね。少なくともあの山よりは大きいんでしょうけど」

 ものすごく困っていた。富士山サイズの悪魔がいるということだけでも相当とんでもないことである。しかしそれでもまだまだ足りないというのだから、どのくらいなのかがわからない。
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58: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:25:32.41 ID:Joyq1BtQ0

 異界物流センターの内部に入り駐車場に車をデーが止めた。シートベルトをはずしたディーは京太郎にこういった。

「それじゃあ、俺は荷物を引き取ってくるから、須賀ちゃんは買い物しててよ。大体十五分くらいで済むと思うから、急がなくていいよ。

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59: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:29:13.39 ID:Joyq1BtQ0
 本屋のカウンターにはどこからどう見て魔女という姿をしたおばあさんが座っていた。いったいどこで売っているのか、昔話の魔女が来ているようなローブ姿である。

 そしてその隣にはスーツを着た女性が立っていた。髪の毛を肩辺りできれいに切ったおかっぱのような髪型である。スーツの女性は実に整った容姿をしていた。左右対称で、まったく無駄がないように見えた。

名札には
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60: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:33:38.40 ID:Joyq1BtQ0

 京太郎が商品を渡すとすさまじく滑らかな動作で商品のバーコードを造魔花子は読み取った。

すでに構えていたバーコードリーダーを使い、あっという間の作業だった。これもまた教えられたとおりの動作である。

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61: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:38:48.90 ID:Joyq1BtQ0

 今回の目的だったマンガ本を手に入れた京太郎は物流センターの中をぶらついていた。さっさと駐車場にもどってもよかったのだがあまりにも早くことが済んでしまったので暇なのだ。

そもそも車に戻ったところで鍵がかかっている可能性が非常に高いのだ。待ちぼうけなどということになっても面白みがない。ということで初回限定版の漫画が入ったビニール袋を片手に京太郎は歩き回るのだった。

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