過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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698: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:18:18.70 ID:OdbudYhc0

 ……その時だ。フォウフォウと奇怪なキネシス干渉音を従え、VTOLめいて降下してくる物体あり。クジラかカツオブシを思わせるシルエットの輸送ツェッペリンだ。

「ウンパンマンか。あのサイズを寄越すのは、要するに残骸も持って帰れってことだよな?」

以下略



699: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:21:08.86 ID:OdbudYhc0

 カエン索敵視界には、寄せ木細工めいて入り組んだ透明感のある赤と黄、そして黒ずんだ濃い桃色が映し出されていた。即ちヒーローと、色欲のカースドヒューマン。
 次の瞬間、ヒーロー色が桃色に覆われて見えなくなり、洋子は己の判断が間違っていなかったことを知った。
 カエン視界を朱色のジャベリンが無数に飛び去っていく。洋子自身もヒーロー脚力をフルに発揮し、投槍の群れを追って色の元へと向かった。

以下略



700: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:23:57.54 ID:H+PnEL/o0
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 アケグチの最期を見届け、イツキは腰に提げたヒョウタンの中身で口を潤した。良質なアルコールと薬効成分がケミカル反応を起こし、思考を加速させる。
 賊軍は王軍を数で上回り、王城にまで迫りながらも攻めきれなかった。六戦士の各々が自ら王にならんと望み、互いに連携しなかったことが理由に挙げられよう。
 だが、先の戦いが真の理由を明らかにした。焼かれて死んだアケグチと、飛行機の中から死臭を放っていたトホツグ。いずれも六戦士のツワモノであった。
以下略



701: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:25:43.01 ID:12lMyB4a0

 生温かい吐息に、イツキは全身をこわばらせた。発情を理性で抑制できぬ、単なる獣に等しい下賤の者を目の当たりにした時と同様の不快感がある。

「……ッ! 離してっ!」

以下略



702: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:27:39.36 ID:12lMyB4a0

 見上げた鉛色の空を、朱色の光が横切った。イツキは首を動かし、朱色の動きを追う。獣人の動体視力は、舞台装置めいて空中を舞う女の姿を捉えていた。
 猥褻存在が次々と繰り出す触腕は、女に届く前に空中で爆ぜ、灰となる。さらには黒い泥の本体らしき部位さえも次々と爆ぜ、黒ずんだ桃色の球体が露わとなった。

「……ハイイーッ!」
以下略



703: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:29:50.86 ID:12lMyB4a0

 ……30分後! 洋子は獣人イツキを背負い、事務所への帰路を急ぐ。ひとまず信用を得たか、洋子はイツキから獣人界の現状を打ち明けられていた。
 特に洋子が目をつけたのは六戦士の反乱だ。それは多分にイツキ自身の推測を含んでいたが、一連のオルトロス改造獣人事件と奇妙な符合を見せた。

(プロデューサー、もう帰ってるかな。この事件、解明にはイツキちゃんの力がきっと必要になる……)
以下略



704: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:32:49.06 ID:H+PnEL/o0

#2

「……スウウーッ……フシュウーッ……」

以下略



705: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:34:36.86 ID:12lMyB4a0

 例えるならドアやハシゴが設けられ、しかし同時に電流鉄条網やタケヤリ罠が仕掛けられた、越えるは容易いが致命的事態を招きかねない壁だ。
 そうしたデリケート問題を解決するにあたり、獣人でありながら人間の荒くれヒーロー達と接し続けてきたシロクマPの知見は大きな武器となるのだ。

「『新年早々に猛獣の咆吼』『ケンカ? 一時期頻繁』『都会的でないニオイ』『ヒノワ・ストリート』『最近サル族が増えた気がする』……この辺りが臭うな」
以下略



706: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:37:21.78 ID:OdbudYhc0

 聞き慣れぬ声。黒衣Pは目を開いた。裸身にバスタオル一枚を巻いただけの見知らぬ女がデスクトップ情報端末に両手をかけ、身を乗り出していた。
 後ろで一つに纏めたさほど長くない髪はオーカー色。その顔を注意深く見れば、産毛めいてうっすらと生えた毛が光を反射していることに気付くだろう。
 視線を下げていけば、同様の薄毛は胸元や腕にも認められる。それら体毛の分布から、おそらくは何らかのサル種の獣人であると推測できた。

以下略



707: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:39:14.21 ID:OdbudYhc0
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 事務所の一画、金のタテガミを持つ黒いライオンが描かれた衝立に仕切られた応接スペースは、にわかに人口密度を増していた。
 天然木材と職人手製ガラスで構成された応接机の上には、シロクマPより受け取った資料の中から選りすぐられた特に重要そうな20枚。
 机を挟んで向き合うソファのうち、玄関に背を向ける方に半ば飲み込まれるように座り、イツキは微妙な居心地の悪さを味わっていた。
以下略



708: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:40:56.04 ID:H+PnEL/o0

「エボニーレオは引退した。今から一年ほど前だ。奴はもう誰の力にもなれない」

 獣人の瞳に失望の影が差した。だが彼女は首を横に振ってそれを払いのけると、決然たる眼差しを黒衣Pに向けた。

以下略



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