過去ログ - 海未「サナギシェルター」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:15:08.10 ID:lE2tgw5So

「作詞の方法なんて、私にも分かりません。もっとうまい人がいますよ」

 でも、わたしたちは海未ちゃんの詞じゃないとダメなんだよ。

以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:15:34.67 ID:lE2tgw5So

「じゃあ海未ちゃん、ことりも洗ってよ」

「はいはい。髪は洗ってましたから、」

以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:16:01.23 ID:lE2tgw5So

 私はため息を魂が抜け落ちるほど長く吐いてから、ボディソープを手に取った。

 フランス語のラベルに描かれた
 貝殻の中のヴィーナスがやけに挑発的な笑みを見せている。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:16:27.81 ID:lE2tgw5So

 肩胛骨のくぼみが造るわずかな影をなぞって、
 ことりの形を崩さぬように
 指を動かしていく。
 手のひらを広げて、背筋に白い泡を広げていく。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:16:54.41 ID:lE2tgw5So

 もう一度肩に手を添えて、右腕からすくい取ってゆく。
 か細いながらも薄く肉の付いた腕に泡を通してゆく。
 少し力を込めても受け入れてしまう柔肌は、
 ほとんど髪の毛を梳くのと変わらないほど指を滑らせていく。
以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:17:20.99 ID:lE2tgw5So

 ことりはいま、何を見ているのだろう。

 ちらと見えた顔は目を閉じたまま、
 フェルメールが描いた女性たちのように、安らかな表情をしている。
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:17:47.54 ID:lE2tgw5So

 では、あとはどうぞ、と手を引くのを今日のことりは許してくれない。

「海未ちゃん。こっちも」

以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:18:14.09 ID:lE2tgw5So

 見上げると、覚悟を決めたのか、
 ことりは目をつむったまま少し上半身をそらしてみせているようだった。

 両腕はだらりと下がったまま、膝だけ寄せた脚もその先は広げたまま。
以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:18:40.69 ID:lE2tgw5So

 鼻がぶつかりそうなほど、
 唇や肌から立ち上るかすかな熱気すら感じる場所まで。
 閉じられた瞼にさらに力がこもって、睫毛の一本にまで緊張が伝わる。
 前髪から落ちた水滴が涙のように頬を伝っていく。
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:19:07.29 ID:lE2tgw5So

 しないの? ――ことりが言う。

 わかりませんか。 ことりは応えない。

以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:19:33.84 ID:lE2tgw5So

 指を離した途端にことりが呼んだ。
 目を閉じたまま私に手を伸ばそうとして空を切っている。

 半ばに泡をまとったあの子は毛を刈られかけた仔羊のようで、
以下略



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