過去ログ - 加賀「反転電波を浴びたから提督を搾首手ポキするわ」 R-18G
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:38:47.44 ID:xh8SUIpPo
月明かりは差し込まない。ただ、ライトの光が下からその端正な顔を照らし出している。
色も形も普段と何ら変わりはない。ただ表情だけがある種の残酷さだけを湛えて微笑む。
何がそんなにうれしいのだろうか。聞いてみても返答はなく、静けさを保ったままで傍らにまで歩いてくる。

 「……提督、私、感情表現が、上手ではありません」
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:39:54.31 ID:xh8SUIpPo

 橙色の朝日、総員起こしの少し前である。太陽の昇る東の空を見ると雲一つなく、
今日も晴天になりそうだった。西は見なかったのだけれども。
身支度を整えて、遠征に出ていた部下たちを迎えに行く。白い軍服には皺はよってなさそうだった。

以下略



4:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:40:37.13 ID:xh8SUIpPo
 トイレの鏡で自分の姿を確認する。別に染みもついていないし、値段シールがついていることもない。
朝から出会う駆逐艦たちは、怯えるか睨むかすると、遠巻きになってそのまま逃げてしまう。
何かあったのだろうか。心当たりはほとんどないが、気に障るようなことでもしてしまったのか。

 肩を落としながら化粧室から出ると、今度は一つくくった吹雪が見えた。
以下略



5:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:41:48.30 ID:xh8SUIpPo
 幾らの精神的動揺があったとしても、それでも執務はとらねばならない。
入った執務室はいつもと変わらず、左側から日光が差し込んでいる。鏡の世界に来たわけでもなさそうだ。
ならば、あまり考えたくもないことだが、今までの対応は不快ながらも上官であるからで、
表面の裏に貯めてきた不安がついに爆発した。……そこまでの演技ができるとは思えないな。

以下略



6:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:42:48.61 ID:xh8SUIpPo

 流石に面と向かって、あの書類は、この鎮守府の運営における提督の必要性の証明です、と言われると、
突き刺さるものがある。これから会議に出席してもらう必要もありません。ただできる限り速やかに、交代の人員を、
未だに現状が把握できていない。もしかしたら、幻覚か何かをみているのではないか。

以下略



7:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:43:37.19 ID:xh8SUIpPo
 隼鷹の表情は、いつもと変わらないようだ。いつものような快活さで、いつものような軽口を叩く。
持ってきてくれた料理はカレーだった。漂ってくる匂いは、こちらの気分を少しは上向かせてくれた。
しかし、それ以上に、隼鷹が変わらぬ態度で接してくれたことが喜ばしかった。

 銀色のスプーンを手に取り、少し躊躇した後、ひとすくい掬って口に運ぶ。隼鷹の表情は変わらない。
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:44:09.48 ID:xh8SUIpPo

 草木も眠りこけた深夜。にわか雨がしとどに鎮守府を濡らしている。異変が起きてから数日が経過した。
この間、間宮も影響を受けていたようで、隙を見て持ってきた食事に下剤を仕込まれた。
幸い最悪の事態は免れたものの、それから売店でも仕込みが見えて、食事を口にできていない。

以下略



9:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:44:43.39 ID:xh8SUIpPo

 実感として変わることはあっても、本来時間の流れは一定のものである。
この鎮守府に調査員が到着するまで、何らかの糸口がつかめるまで、依然として数時間残っていた。
鎮守府の運動場、周囲のライトは深夜も点灯していたそこをのなるべく潜むように歩き続ける。

以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:45:42.59 ID:xh8SUIpPo
 振り返った先には、殺意を今にも振り下ろそうとする龍田。寸でのところで背後に飛びのけた。
まったく気がついていなかった。休息を求めている頭がふらふらと揺れて、思わず倒れこみそうになる。
龍田は冷たい笑みを浮かべながら、動きを休めず凶器を振りかぶってきた。

 「あは、躱さないでよ〜。皆のために、害虫を駆除しないといけないんだから」
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:47:20.99 ID:xh8SUIpPo
 ふたりとも責任感は強い方だった。だから率先して行動に出たのだろう。
もはや、どこで思考しているかもわからなくなりながら考える。二人の足がすぐ近くにまで来ていた。
摩耶がこちらの背中を踏みつけ、龍田が凶器を振り下ろそうとする。

 やっと気がついた。圧のかかる胸中を後悔が満たす。こいつらが洗脳か、それに等しいものを受けていると考えていたのだ。
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:48:39.84 ID:xh8SUIpPo
今日はこれで終わります。続きは後日投下させていたただきます。二三回で終わります。


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