過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:05:45.26 ID:O6N65gcso
「シートベルトしろよ」
プロデューサーは言いつつ、サイドブレーキを下ろした。
シートベルトをかちりと身体に巻きつける。車が動き出して、それから、やっと目をつむった。
以下略
8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:06:21.83 ID:O6N65gcso
「疲れたか、律子」
声にまぶたを上げて、運転席の方へ目を向ける。
プロデューサーはカーステレオのボリュームを絞っているところだった。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:06:52.92 ID:O6N65gcso
私が車を降りる頃には、とっくに歌は終わっていた。
プロデューサーは、ゆっくり休めよ、と言い残して車をUターンさせた。
きっと、コンサートの準備を進めるんだろう。
人には休めと言っておいて、自分は頑張って――それは仕事だから?
以下略
10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:07:25.87 ID:O6N65gcso
3
朝から雨が続いていた。
アスファルトに灰色の根を伸ばすような空はいかにも憂鬱だったけれど、
レッスンへ集中できない理由とするには弱々しい。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:07:51.82 ID:O6N65gcso
最近、ずっとこんな調子だ。集中しようと必死になるほど、気持ちが離れていく。
結局、今日のレッスンもどこか浮いたような感覚をこそぎ落とせずに終わった。
着替えを済ませてから、荷物と傘を取ってスタジオを出ると、プロデューサーが待っていた。
以下略
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:08:19.13 ID:O6N65gcso
「あのぅ、プロデューサー。今日は私、一人で帰ります」
「どっか寄って行くのか?」
「まあ……、そんなところ。せっかく迎えに来てもらって、申し訳ないけど」
以下略
13
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:09:00.01 ID:O6N65gcso
私は水辺の道を、よたよたと歩いて行く。
ふと、今日が私の誕生日だったと気づいた。私は十九歳になったらしい。
「また、忘れたのね」
以下略
14
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:09:49.57 ID:O6N65gcso
4
「そういえば、この間、私の誕生日だったんですよ」
プロデューサーとの軽い打ち合わせを終えてから、私は不意にイジワルをしてみたくなった。
以下略
15
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:10:29.76 ID:O6N65gcso
わざわざ、気を使わなくてもいい――心からそう思っていたら、口に出すものか。
本当は気を使ってほしい、贅沢を言えば忘れないでいてほしかった。
私のファンや、以前に仕事をした人、学生時代の友だち、家族――色んな人が私の誕生日を祝ってくれた。
以下略
16
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:10:56.29 ID:O6N65gcso
「私、なんだか、おかしな勘違いをしちゃったな」
ほろ苦さにもう一度笑う気力はなく、今日まだ途切れない雨を傘で断つ。
踏みつけた水たまりは思ったよりも柔らかく、スニーカーの布地に染みる冷たい感覚が足を引っ張った。
以下略
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