20:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:22:49.98 ID:Csg2FCKN0
「あの…… あの」
可哀想に。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:26:31.23 ID:Csg2FCKN0
何故こんな無駄知識を持っているのかというと―― 俺も過去に勧誘された経験があるからだ。
あれは大学時代…… 同じクラスにAくんという人がいた。
特に親しかったわけでもなく、会話も数えるほどしか交わしたことのない、そんな「同じクラスに所属している人間」という程度の間柄だった俺たち。
22:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:29:01.34 ID:Csg2FCKN0
「僕たちは彩音ちゃんに幸せを分けて、彩音ちゃんは仲間に幸せを与えることができるんだ!」
こんなのは全くの嘘。
23:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:34:03.61 ID:Csg2FCKN0
「あの、ほんとに通して…… ください」
可哀想に…… こんな人間たちに絡まれて。
24:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:38:05.18 ID:Csg2FCKN0
「うぅ…… 嫌」
ああ、ほら言わんこっちゃない。
25:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:41:34.99 ID:Csg2FCKN0
「あ、あの……」
「どうかなされましたか?」
「会計ではないんですけど―― あれ」
26:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:44:08.30 ID:Csg2FCKN0
何やってんだ、俺は。
騒ぎのど真ん中へ、体が勝手に乗り出していた。
ちっぽけな良心を埋めるだけじゃ飽き足らず、遂には押し付けがましくはりぼての正義を振りかざしに行ったのだ。
27:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:47:56.45 ID:Csg2FCKN0
「ふむふむ、あそこか…… 素晴らしいじゃないか」
「あ、ありがとうございます」
「でも―― 知っているかね?」
28:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:51:49.99 ID:Csg2FCKN0
「君たちの階層で、働かなくても食っていけるようになるためにはどれくらいの『努力』が必要か分かるかね?」
「それは……」
「勧誘で得た報酬が仕事なりバイトの給料を上回るまでに、どれほどの商品を売らなければならないか考えたことはあるかね?」
29:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:57:20.80 ID:Csg2FCKN0
「君たちも分かっているのだろう―― 真面目に働くのが一番だということに」
どの口が言うのだ。
30:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 05:01:04.80 ID:Csg2FCKN0
こっそりと喫茶店を出て―― 時刻は13時を少し過ぎていた。
ため息を一つ吐いて、また当てもなくさ迷い歩く。
「あの…… すみません!!」
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