過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:16:12.03 ID:kiKX5uP40
――屋敷前・広場の北――

外套=侍従E「始まるようです。王が姿を見せました」


以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:16:45.21 ID:kiKX5uP40
【……だが、神は我々を見捨ててはいなかった。絶望の淵でまさに息絶えなんとする我々に、救いの手を差し伸べてくださった。――魔王を打ち倒すべく祝福を授けた、奇跡の申し子を地上に遣わされたのだ!】


侍従D「勇者伝説……」

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:17:30.24 ID:kiKX5uP40
【……魔王はまだ滅んではいなかったのだ! 狡知に長けた魔王は今でも、人界に魔の瘴気を放っている。瘴気に蝕まれ、心身を消耗させて、心に魔を宿らせてしまった者は後を絶たない。近隣の異族の動静も近年になって活発化している。先だっては天地が胎動する災異さえ起こった】

【勇者による封印は不完全だった。魔王を弱らせはしたが、その悪しき魂までを消し去ることはできなかったのだ】


以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:17:58.50 ID:kiKX5uP40
【はい。必ずや魔王を打ち倒してみせます】


(広場からひときわ大きい歓声。人垣が割れた先には四人。一人=壇上の男=王。三人=壇下――跪く鎧兜姿が一人、他、女が二人)

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:19:06.20 ID:kiKX5uP40
――
――――

『じゃあ、行ってくる』

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:19:39.30 ID:kiKX5uP40
柔らかな声=頭上「……起きて。起きて」

「ん……?」

女=法服=教団の神官「着いた、から。国境。……どうか、した?」
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:20:32.42 ID:kiKX5uP40
領主「ようこそ我が都市においでくださいました、勇者様」

中性的な声=勇者「はい、お久しぶりです、(…)殿。魔王討伐の神託に従い、この地にやって参りました。どうぞ、お力をお貸し下さい」

領主「もちろんでございます。さあさ、どうぞこちらに。長旅でお疲れでしょう、ひとまずごゆるりとお身体をお休めなさるといい。祝宴の準備も整っておりますゆえ」
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:21:38.29 ID:kiKX5uP40
――領主私邸=都市西端――

勇者「さあ、横になって。どこか痛いところはない? 欲しいものは? ああ、飲み物がいるかな、待ってて、すぐに用意させるから」

神官「え……ぅ……」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:22:04.20 ID:kiKX5uP40
(騎士が腰の剣に触れる。勇者が何事か言おうとして、神官が起き上がるのに気付く)

勇者「大丈夫だよ、心配しなくてもいい。少し揉めているだけだから――」

(神官がこちらを見る。ただでさえ白い顔が蒼白だった)
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:22:38.38 ID:kiKX5uP40
(通りに添って歩く)

(角を曲がって路地に入る。入り組んだ道は進むほどにうらぶれていく。物乞いとすれ違いざま硬貨を渡す。物乞いはこちらを見ない。記憶している道を進む)

(この都市は領主のために設えられた庭だ。城門から領主宅まで、そして東端の港まで繋がる大通りは、王都のそれと見紛うほどよく整備されている。だが、一本道を逸れれば、この有様。この都市の縮図)
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:25:22.76 ID:kiKX5uP40
(侍従Eの先導で路地を進む。進路は東)

(侍従Eは一週間前から、この都市入りしていたらしい。今さら追い返すわけにもいかない。仕方なく、詳しい情報を聞く)

侍従E「近日中に、領主所有の例の超大型船が出航いたします。詳細な日程は不明ですが、明日にも出航できる状態です。おそらく『荷』を待っているものと」
以下略



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