過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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43:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:46:45.54 ID:JH8XbMho0


これは、彼女の記憶のレールの続き。
八月二十一日の、終わってしまった御噺だ。

以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:48:39.41 ID:JH8XbMho0
10032号の首が飛んだあと。
その全てを見終わって。

「……あ」

以下略



45:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:50:23.61 ID:JH8XbMho0

そんなことにすら、美琴は気づかなかった。
美琴の視界には、“10032号だったもの”しか映っていない。
長い長い数センチを超えて、ようやく10032号の体に辿り着いた。
鬱陶しい程重くなった自分の体に鞭をうち、上半身を起こしてまだ温かいその体を掻き抱く。
以下略



46:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:52:34.33 ID:JH8XbMho0

一つだけ、彼女の「悪」が届くものがある。
絶望的に。けれど絶対的に。
だから彼女は再び刃の柄を握る。

以下略



47:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:53:29.49 ID:JH8XbMho0

「……私も、一万人を殺した、犯罪者なんだから」

そう、ぽつりと呟いて。
彼女は、自分だけの現実を振りかざす。
以下略



48:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:54:43.40 ID:JH8XbMho0
裁かれなければならない罪が、ここにある。
ならば、その内の一つだけでも、冥土の土産に。
あの子たちに、私の血で手向けの花を咲かせよう。

そうして、御坂美琴は自身を拒絶した。
以下略



49:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:56:00.73 ID:JH8XbMho0

落雷。雷神の天罰が下り落ちる。
天災とは違うのは、それはただ一人に向けられていることだ。
容赦なく振り落とされた雷は、美琴の体を焼いた。
彼女の体を消滅せんと、主人に牙を突き立てる。
以下略



50:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:57:32.05 ID:JH8XbMho0
黒い嵐が美琴を中心にして巻き上がり、彼女の姿を一瞬で闇の中へと閉じ込める。
それは、空に伸びる一本の柱。
普段なら、盾となり剣となり、彼女の身を守る騎士である砂鉄の集合体は、
――果実を絞るように、その身をせばめた。

以下略



51:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:58:39.43 ID:JH8XbMho0

苦痛を、悲痛を、惨痛を。
痛みという痛み全てを舐め回すように味わえ。
それがお前の課された罰なのだから。

以下略



52:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 22:02:04.15 ID:JH8XbMho0

痛みで演算がままならず、赤い嵐が力を失い集結を辞める。そして地へと帰っていった。
ふわりと、彼女の体が地面に倒れこみそうになったが、突き刺さった街灯が突っ張り棒のような役目をして、それすら許されない。

(ああ――、そろそろ、ね)
以下略



53:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 22:04:29.82 ID:JH8XbMho0

きっとそれが、御坂美琴の最期の言葉。
ぞわりと、絶望が形を伴って現実を侵食した。
最後の力を振り絞りコンテナを持ち上げて、それを自分の頭上へと、ゆっくり移動させた。
ああ――ギロチンにかけられた王妃も、こんな気持ちだったのだろうか。
以下略



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