過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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名無しNIPPER
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2016/04/01(金) 22:32:41.45 ID:4bekVCDt0
「成果主義、実力主義は、常務が先般の会議で披瀝されたことでもあります。同期として酷な言い方に聞こえるかもしれませんが、率直な意見を申しますと、彼は常務の求める有為な人材ではなかったのではありませんか」
慶はここで一度言葉を切り、常務の表情を窺った。常務は無言で先を促した。
「むしろ、ここで泣いて馬謖を斬り、全体の弛緩した空気を引き締めるという常務の判断は、統括重役として称賛に値するものだと思われます」
以下略
68
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/01(金) 22:34:06.28 ID:4bekVCDt0
美城常務は暫く思案しているようだったが、顔をあげると、
「君の意見はわかった。では、清川君が担当していたアイドルだが……」
清川を切り捨てることは、決定したかのように話を進めた。
以下略
69
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:46:35.63 ID:zCk6PcLr0
◆
数日後、正式に神谷奈緒の担当プロデューサーとなった慶は、空いていた部屋を貸し切り、奈緒に指導を行っていた。
以下略
70
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:47:28.38 ID:zCk6PcLr0
人間は、パーソナルスペースというものを持っている。ニュアンスとしては、縄張りやテリトリーという言葉が近いだろうか。簡単に言えば、他人が近づいてきて不快に思う距離のことだ。
例えば、電車に乗る想像をしてみれば、理解しやすいかもしれない。他に座席が空いているのに、おそらく殆どの人は、見ず知らずの他人の真横に座ろうとは思わないはずだ。
つまり、自分から手を差し出すということは、相手のパーソナルスペースを侵害することになり、無意識のうちに相手に不快感を与えてしまう。
「相手が手を差しだしたら、相手の手を下から掬い上げるように両手で持つ。そして、相手の目を見ながらとびっきりの笑顔をし、一言二言、言葉を交わす。些細なことだけど、こういう細かいことに留意することによって、他のアイドルと差をつけられるぞ」
以下略
71
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:48:10.07 ID:zCk6PcLr0
習うより慣れろ、ということで、さっそく奈緒に握手の練習をさせてみた。
「ほら、俺が客の役をするから、やってみようか」
「うん……えっと、お客さんが手を差し出してから……」
以下略
72
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:49:02.82 ID:zCk6PcLr0
慶は、奈緒の握手会を三日後に設定している。地味かもしれないが、無名に等しい奈緒には、ファンと身近に接するイベントは何よりも大事である。
基礎をしっかりと築いていれば、その上にどれだけ物を載せても揺るがない。しかし、基礎を堅牢にしないうちに上に積み上げてしまうと、累卵の危機となってしまう。そうなると、後から基礎を築きなおそうをしても遅い。
百人のファンを千人に増やすのは厳しいが、千人のファンを一万人に増やすのは難しくないし、一万人のファンを十万人に増やすのはもっと容易いということだ。
「いいか、奈緒。どんなトップアイドルだって、最初から万人に知られた人気者だったわけじゃない。地道に仕事をこなし、下積みを経験したからこそ、今日に多くのファンを勝ち得ているんだ。今はどんな仕事も、将来の自分の糧になると思って全力でやれ」
以下略
73
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:49:34.88 ID:zCk6PcLr0
握手会当日、会場にはそれなりの数の客が詰めかけていた。
「し、新人アイドルの神谷奈緒です。よろしくお願いします!」
奈緒は、慶の指導通りに客の一人ひとりと握手を交わしている。しかし、あまりスムーズとは言えない。
以下略
74
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:50:21.16 ID:zCk6PcLr0
二人連れの客の会話を盗み聞きし、慶はやはり自分の計算は間違っていなかったと思った。
アイドルという仕事は、夢を売る仕事である。余程目の肥えた者でない限り、殆ど笑顔で騙されてくれるから安いものだ。
客と握手を続ける奈緒を見つつ、慶は今後のプロデュース方針を決めあぐねていた。
奈緒と加蓮は一歳違いだが、346には同時期に所属している。二人の関係はいたって良好で、ユニットを組ませるのという手もある。いや、ソロで活動させるより、そちらの方が良いだろう。
以下略
75
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:51:03.60 ID:zCk6PcLr0
◆
ある日の夕刻、慶は自分のデスクルームで、書類に目を通していた。美城常務からメールで送信されてきたデータを、印刷したものである。
以下略
76
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:52:04.42 ID:zCk6PcLr0
それは、ささいなボイスレッスンだった。奈緒と加蓮は自主練として、シンデレラプロジェクトに所属している、new generationsというユニットの曲で練習していたのだ。
そこを、当のシンデレラプロジェクトの、渋谷凛というアイドルが通りかかり、周囲の勧めもあって三人でレッスンしたという。
「シンデレラプロジェクト」とは、346が企画したプロジェクトである。アイドルを目指して応募してきた少女たちの中から、有望な原石を選び出し、新たにデビューさせようというものだ。
今年の春に発足したばかりであるが、夏ごろにはプロジェクトの全員がデビューし、定例行事のサマーフェスにはプロジェクト全体の新曲を披露し、成功を収めている。
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