78: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:06:55.57 ID:y3rgRIdpo
見覚えのある景色だった。
それは本来のものとは微妙に異なっているが、どこが間違っているかは解らない。
79: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:08:32.51 ID:y3rgRIdpo
「こうなったら直接聞いてみましょうか、プロデューサーさんに」
食堂で二人と朝食を取り、事務所へ向かう途中のことだった。幸子と蘭子の後をボクが追う形で歩いていると、前触れもなく幸子が同意を求めてきた。
もしかしなくても昨日の議題、彼の好みなタイプについての続きだろう。
80: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:10:20.28 ID:y3rgRIdpo
「俺に聞きたいこと? なんだ?」
「えー、そのぅ……」
81: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:11:51.24 ID:y3rgRIdpo
「水を入れて……と。あとは作動させて抽出してくれるのを待つだけだ。簡単だろ?」
「ふむむ、手間が掛かるんですねぇ。ボタン押すだけで出てくるようなのはないんですか?」
82: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:13:29.70 ID:y3rgRIdpo
「ほらな。だから言ったのに」
「……ほんの少し熱かっただけさ。キミが飲めるのなら、ボクにだって」
83: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/05(日) 22:18:29.30 ID:y3rgRIdpo
「……えっ?」
不意に名指しされ、間の抜けた声が出てしまう。
ボクを、何だって?
84: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2016/06/05(日) 22:20:28.87 ID:y3rgRIdpo
今日はここまで。
思ったより進みませんでしたが、佳境ではあるのでちょこちょこ更新していきたいです
85: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/08(水) 23:36:28.80 ID:6KGN/Wqko
そうして行き着いた先は……屋上だった。
こんな時間だ、ひと気もなくて都合が良い。懸念事項として探し当てられやすくはあるが、どうでもいい。いっそのこと雨にでも打たれたい気分だ。空は真っ白な雲が優雅に青い海を泳いでいて、降ってきそうにもなかった。
86: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/08(水) 23:38:47.99 ID:6KGN/Wqko
「……」
静けさが心に突き刺さる。
彼と過ごすセカイに、こんな痛みが伴うなんて。
87: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/08(水) 23:50:12.24 ID:6KGN/Wqko
見つけてくれるって、言ったのに。
自ら隠しておいてどの口が、とキミは思うだろう。でもボクは見つけて欲しかったんだ。伝えることも出来ない、この想いを秘めてしまったボクのことを。仮面の下のボクを。
キミなら解ってくれると期待して。
キミとなら解り合えると、勝手に勘違いして。
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