11:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:25:23.39 ID:BFmKl9Djo
咎めはするものの、彼に喫煙癖があろうと飲酒癖があろうと本心ではどうでもいいし、
彼の肺が何色をしていようとわたしの肺とは関係ない。
むしろ彼が煙草に火をつけて、その煙をたっぷりと吸い込んで、
12:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:13.17 ID:BFmKl9Djo
ケイくんは煙草の灰を空き缶の縁で落とすと、足元にその灰皿を置いた。
「ゴミ収集の人が困るよ」
13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:51.19 ID:BFmKl9Djo
「……だけど?」
言葉に詰まったわたしを見て、ケイくんは続きを促したけど、わたしは何も言わずに、かわりに景色を眺めた。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:28:19.04 ID:BFmKl9Djo
「ね、一本ちょうだい」
「いやだよ」
15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:29:05.81 ID:BFmKl9Djo
学校の敷地内を、ぼんやりと見下ろす。
下校しようとしている生徒たちの姿が見える。階下から吹奏楽部の音階練習、剣道部が外周を走っている。
武道場から畳を打つような音、体育館からバスケットボールの跳ねる音。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:30:11.42 ID:BFmKl9Djo
わたしはその言葉を聞き流しながら、いくつかのことを思い出した。
母さんのこと、叔父のこと、妹のこと。そのどれもがなんだか遠い。
17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:31:33.72 ID:BFmKl9Djo
「……どうしてなんだろう?」
思わず、そう声をあげたとき、ケイくんが不可解そうにこちらを見た気がした。
わたしは彼の方を見ていなかったから、彼の視線がどこに向かっていたかは、本当のところ分からなかったけど。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:32:28.47 ID:BFmKl9Djo
「本人に聞けよ」
「だって、もう死んじゃったし」
19:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:34:06.36 ID:BFmKl9Djo
それでも五分もしてしまえば、泣き続けるのにも疲れてくる。
尽きない悲しみがあったとしても、それをずっと貫けるほど肉体は付き合いがよくない。
彼は気を遣わないわけじゃない。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:34:58.39 ID:BFmKl9Djo
「それ、どんな話?」
わたしは、ただのくだらない噂か何かなんだろうと、そう分かっていたのに、
どうしてか変に気になって、思わず聞き返してしまった。
21:名無しNIPPER[sage]
2016/07/04(月) 00:35:28.31 ID:qZtjRuTp0
なんかいいな
この2000年代前半のジュブナイル小説みたいな感じ
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