9:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:22:26.92 ID:BFmKl9Djo
ケイくんはまたバカにするみたいに笑った。
べつにわたしだって、どうしても彼にお礼を言ってほしいわけではなかった。
ただどうでもいい思いつきをぺらぺらと並べてみただけだ。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:24:35.96 ID:BFmKl9Djo
うちの学校の屋上は開放されていない。
生徒はもちろん教師でさえ必要に駆られたときにしか出入りできない。
というのも、開放してしまうと当然危ないし、くわえて人目につかないのをいいことに、
11:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:25:23.39 ID:BFmKl9Djo
咎めはするものの、彼に喫煙癖があろうと飲酒癖があろうと本心ではどうでもいいし、
彼の肺が何色をしていようとわたしの肺とは関係ない。
むしろ彼が煙草に火をつけて、その煙をたっぷりと吸い込んで、
12:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:13.17 ID:BFmKl9Djo
ケイくんは煙草の灰を空き缶の縁で落とすと、足元にその灰皿を置いた。
「ゴミ収集の人が困るよ」
13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:51.19 ID:BFmKl9Djo
「……だけど?」
言葉に詰まったわたしを見て、ケイくんは続きを促したけど、わたしは何も言わずに、かわりに景色を眺めた。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:28:19.04 ID:BFmKl9Djo
「ね、一本ちょうだい」
「いやだよ」
15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:29:05.81 ID:BFmKl9Djo
学校の敷地内を、ぼんやりと見下ろす。
下校しようとしている生徒たちの姿が見える。階下から吹奏楽部の音階練習、剣道部が外周を走っている。
武道場から畳を打つような音、体育館からバスケットボールの跳ねる音。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:30:11.42 ID:BFmKl9Djo
わたしはその言葉を聞き流しながら、いくつかのことを思い出した。
母さんのこと、叔父のこと、妹のこと。そのどれもがなんだか遠い。
17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:31:33.72 ID:BFmKl9Djo
「……どうしてなんだろう?」
思わず、そう声をあげたとき、ケイくんが不可解そうにこちらを見た気がした。
わたしは彼の方を見ていなかったから、彼の視線がどこに向かっていたかは、本当のところ分からなかったけど。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:32:28.47 ID:BFmKl9Djo
「本人に聞けよ」
「だって、もう死んじゃったし」
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