963:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:15.16 ID:IzyndCNto
◇
隣町で殺人があったとの報道が、連日ワイドショーを賑わせていた。
964:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:54.46 ID:IzyndCNto
◇
周囲は、僕のことを腫れ物かなにかのように扱った。
965:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:35:30.81 ID:IzyndCNto
◇
久し振りに部室に顔を出すと、相変わらず物静かそうな部員たちがこそこそと何かを話していた。
966:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:36:35.85 ID:IzyndCNto
◇
部室のドアがノックされたのはその会話の少しあとのことだった。
967:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:38:05.23 ID:IzyndCNto
それは、きっと僕が決められることではないんだろう。
「ごめん。今まで、ずっと、何も言ってこなかったのに、突然こんなの、変だよね」
968:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:38:35.40 ID:IzyndCNto
話を終えた僕の膝に、彼女は静かに手を置いた。
どうしてそんなことになるのか分からなかった。
「ごめんね」と、それでも小夜はやっぱり謝るのだ。
969:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:39:46.37 ID:IzyndCNto
小夜啼鳥の童話の終わり。
それを突然に思い出す。
あの話の最後、病に伏せた王のもとに、本物の小夜啼鳥が姿をあらわすのだ。
970:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:40:15.11 ID:IzyndCNto
僕は、うつむいたまま、小夜の言葉を噛み締めながら、同時に背後にある扉のことを考えた。
屋上へ出る扉。決して開かない扉。僕はその先の景色を知ることができない。
そこにあるもの、ないもの、決して知ることができない。
971:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:40:58.47 ID:IzyndCNto
◇
僕が戻ってきて数日が経った頃、母さんがひそかに教えてくれた。
972:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:42:15.58 ID:IzyndCNto
◇
その日から、僕と小夜はふたりで帰るようになった。
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