1: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 01:44:15.30 ID:BRDevDFC0
男「……? なにを言ってるのか全然わかんねぇな」
桃色の吹雪が街を染め上げ、ほんのりとした温もりが人々を包む高校一年生の春、彼と彼女は出会った。
女「君は不思議だね」
男「初対面の人俺にいきなり君を教えてよ、とか言ってくるやつの方が不思議だけどな」
女「……」
何か言いたげな彼女を横目に男は去った。
教室につくと、初対面の人間となんとか仲良くしようと何気ない会話が飛び交っていた。
男(どいつもこいつもうるせぇな。そんな内容のかけらもない話したところで生産性皆無だろ)
背後から肩を叩かれる。
女「やあ。同じクラスだね。一年間よろしくね」
男「またお前かよ……」
女「いいじゃん話しかけたって。友達なんだし」
男「いやちげぇけど。さっき話しただけだろ。大体俺は他人と必要以上に関わる気ないから」
女「やっぱり君は不思議だね。理由を教えてよ」
男「はぁ? 電波ちゃんかよ、お前」
その日はこれ以上女が男に話しかけることはなかった。景色に橙が滲み始め、帰路についたとき後ろから声がした。
男A「女さん」
女「?」
男女二人組だ。
男A「さっき男と話してただろ? やめといたほうがいいぜ」
女「どういうことかな……?」
女A「話すと長くなるんだけど、聞いてくれる? 私たち二人ともあいつの被害者なの」
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2: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:00:57.30 ID:BRDevDFC0
ーー被害者。
言葉というのは偉大なもので、たった単語一つで人間の気持ちを変えてしまう。被害者と言う言葉も聞いただけでいい気分がしない。
女「うん。教えて」
3: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:02:23.24 ID:BRDevDFC0
女の様子が昨日は
↓
女の様子が昨日とは
書き溜めありません。
4: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:16:10.23 ID:BRDevDFC0
放課後。男は背後から肩を叩かれる。
男「またお前か、なんーー」
男A「お前、女さんと関わるな」
5:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 02:16:37.57 ID:POB7i6ado
おつきたい
6: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:25:29.87 ID:BRDevDFC0
男「最後に聞かせてくれよ男A」
男A「なにを」
7: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:33:46.81 ID:BRDevDFC0
人には、自ら命を絶とうと思う瞬間がある。それは、自分では未来を切り開けなくなった時である。現状という闇に支配され、未来という恐怖に握り潰され、異界に逃げ場を求めるのだ。
新学期の一週間の登校を終え、誰もが待ちに待った休日を迎えた。桜の花はほとんど役割を終え、日差しは勢いを増し始めていた。
男「母さん、昼飯はー?」
8: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:40:30.68 ID:BRDevDFC0
男(あれ、コンビニの前に見覚えのある奴が…)
女「やあ。休日にあうなんて運命だね。なんて」
男「お前の運命の基準どうなってんだよ。そんで、家から10分のコンビニにお前がなんでいるんだよ」
9: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 02:52:24.98 ID:BRDevDFC0
昼下がりの閑散とした公園のベンチに二人は腰掛けた。もうすぐ初夏が来るというのに、この公園には木枯らしでも吹くのではないかという雰囲気が漂っている。
男「相変わらずの雰囲気だなこの公園は」
女「幽霊公園。あながち間違ってなさそうだね」
10: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 03:01:13.89 ID:BRDevDFC0
男「そんな感じしないのにな」
女「なにやってもダメで、自分に自信がなくて。そんな自分に嫌気がさして暗くなって。暗い自分にも嫌気がさして、負のスパイラル。いつしか私なんて生きてる意味ないんだって思い始めて、死ぬこと考え始めた。小学三年生くらいの時」
幼少期の暗い思い出を語り始めた女に、男の視線は釘付けになっていた。死を考えた人間は、どのようにして元の世界に這いずり上がるのか、気になったのだ。境遇は違えども、死を覚悟したことはあるし、常々生きてる意味について考えるからだ。
11: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 03:09:47.20 ID:BRDevDFC0
女「今は思ってないからね。いまの私は人間が好きだもん。人間ていうのは綺麗だよ。人間同士の絆は美しいよ、男君」
男「きれいごとだ。人間は裏切る。人間は信用しないし、人の言葉に耳を貸さない。俺は心底人間が嫌いだ。人間のせいで死のうとまで考えたお前がなぜそんなことを言えるのかが気になってしょうがない」
女「気付かされたからだよ。人と関わることの素晴らしさに」
12: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 03:17:07.25 ID:BRDevDFC0
男は持っていたおにぎりをお茶で流し込むと、立ち上がった。
女「あの日、私は君にもう一度心を閉ざした理由を聞こうとした。放課後ね」
男は諦めたようにまたベンチに腰を下ろした。
13: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 03:27:29.18 ID:BRDevDFC0
女「一回目に聞いた時は元々そういう人間って言ってた。でもいまは関わらないようになったっていった。進歩だね」
男「うるせぇないちいち」
女「ちなみに、嫌われてるのを知ってるだけじゃなくて、なんでそうなってしまったのかも、知ってるよ」
14: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 03:29:06.18 ID:BRDevDFC0
一回休憩です。またきます
15:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 09:19:56.49 ID:vLfCE+ct0
休憩が長いな
16: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 15:32:09.70 ID:BRDevDFC0
男は逃げるかのようにその場から去った。
男の家の付近に着くと、女子高生であろう少女が誰かを探しているかのようにうろうろしていた。
男(なんか、見覚えある顔)
17: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 15:46:11.38 ID:BRDevDFC0
その夜、男は夢を見た。幼い5人の子供が和気藹々と砂場で遊んでいる夢だ。その様子が現実世界とかけ離れすぎているせいなのか、理由はわからないがなんとも言えない幸福感に包まれた。
男(朝か。いい夢だったな)
男は学校に行くのも憂鬱だった。今日女と会ったら、どのような態度をとっていいのかわからないのと、女Bと話したことで封印しようとしていた過去が漏れ出してきてしまっているからだ。
18: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/28(日) 16:05:48.14 ID:BRDevDFC0
なんの変哲もない日常を浪費していくうちに、気づけば夏休みに突入していた。これでもかというくらい凛とした日光と、生命の力強さを思わせる緑樹。夏という季節は、どうしてこんななにもパワフルなのだろうと、男は思った。
あの日男は結局幽霊公園に足を運ばなかった。人間との関わりを断つためだった。過去の自分が許さないし、人間への恐怖心が未だに拭えないのだ。
どうしてこんな生き方になってしまったのか、という頭の中での議論が始まった時、男の家のチャイムが鳴った。
母「男ー。女ちゃんだよ!」
19:名無しNIPPER[sage]
2016/08/29(月) 02:41:40.04 ID:CDqkU+020
乙
20: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/29(月) 06:40:04.98 ID:ODEI0euO0
男「本当か?」
女「もちろん!」
男「お前はなんでそんなにも俺に手を差し伸べようとするんだ。何か理由があるとしか思えないけど」
21: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/29(月) 06:51:46.75 ID:ODEI0euO0
女「男君、今まで生きてきた中で、夏の思い出ってある? 凄いところに行ったとか、衝撃的な出来事があったとかじゃなくても、なんとなくこれだけは忘れられないなって思い出」
中心街のショッピングモールの小窓に展示された洋服をまじまじと見つめながら女は言った。
男「んー……。鮮明に覚えてるわけじゃないけど、そういう思い出はあるよ。ずっと昔の話だけど」
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