過去ログ - モバP「週の半ばの燃えない煙草」
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1: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 01:33:40.02 ID:Xug/mQ/W0
関裕美ちゃんssです。
木曜日のモバP
モバP「何もかもが嫌になって」
ex14.vip2ch.com
土曜日のモバP
モバP「人類は今、週末を迎える…」
ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1474129241
上記のssの設定を引き継いでいます。
地の文あります。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 01:47:23.79 ID:Xug/mQ/W0
午後4時。
346プロダクション、アイドル部門に所属するアイドル、関裕美は不満そうに眉をひそめていた。
今この部屋には、彼女の他に人は1人しかいなかった。
彼女の同僚のアイドルである姫川友紀や輿水幸子、大槻唯といった面々は、レッスンやテレビ番組への出演など、それぞれ各々の事情でこの部屋にはいない。
3: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 02:01:00.90 ID:Xug/mQ/W0
彼女は、自分の目付きにコンプレックスがあった。
その鋭い切れ長の瞳は、どうにも周囲の人間に攻撃的なイメージを与えてしまうらしい。
今でこそアイドルという世界を知り、明るくなった彼女だが、整形手術を受けたわけでもなし、その目で睨み付ければ同年代の輿水幸子はおろか、今年成人した姫川友紀ですらすくみ上がるという。
4: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 02:16:25.45 ID:Xug/mQ/W0
「…プロデューサー」
「……どうした、関」
少女からの呼びかけに、プロデューサーと呼ばれた男は視線すら動かさず応えた。
5: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 02:18:00.73 ID:Xug/mQ/W0
取り敢えず今晩は立てたかっただけなのでここまで
また次回
あと今回のssは地の文が少し多めになりそうです
6:名無しNIPPER[sage]
2016/09/21(水) 07:20:26.11 ID:JbmbidZOO
乙
wktk
7: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 11:42:47.55 ID:nh+vj4YoO
どうして、と聞くのは簡単だ。
だから、聞く前に考える。
煙草を吸わないのに咥えている理由。
8: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 11:54:11.60 ID:nh+vj4YoO
「…関、そんなに慌てなくても、俺は元々煙草は吸わないし、お前に気を使ってるわけでもないぞ」
男は表情1つ変えずに、呟くようにそういった。
「え、あ…っと…そ、そうなの…?」
9: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 12:06:05.12 ID:nh+vj4YoO
窓の外を見て、プロデューサーの顔を見て、それから申し訳なさそうに少女は再びソファに腰を下ろした。
結局自分がしたこととは、自分を送り届けてくれる男を急かしただけであった。
少女は思わず赤面し、顔を伏せる。
10:名無しNIPPER[sage]
2016/09/21(水) 19:30:20.40 ID:VjYTdtX1O
私気になります!
11: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 20:07:02.64 ID:gVaw4GonO
男は溜息を1つ漏らしてから、呟くように語り出した。
「火のついてない煙草なんて、何の役にも立ちはしない。…まるで、インクの入ってない万年筆みたいなものだ」
男はそういった。寸分狂わず同じ喩えが出てきたことに少女は驚き、そして同時に少しだけ嬉しかった。
12: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 20:21:23.33 ID:gVaw4GonO
男はもう1つ溜息が漏れそうなのを今度は堪えて、仕事に戻ろうとした…が、まだ何か言いたげな少女が目に付き、回しかけた椅子を止めた。
「……えっと、その……その、ね」
普段から言葉を選びがちな彼女だが、ここまで言い淀むのはただそれだけではないだろう。
13: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/21(水) 20:37:25.52 ID:gVaw4GonO
少女としては、気を遣ったつもりはなかった。
ただ、素直に思ったことを言っただけだった。
それだけのことが、最近出来るようになったから。
目の前の男が、自分をそうしてくれたから。
14: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 01:41:27.96 ID:SPf8UhYr0
「煙草はもういいの?」
ちょうど車を走らせ始めたところで、少女はそう言った。
「ああ、咥えておいて欲しかったか」
15: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 01:46:18.03 ID:SPf8UhYr0
男は答えない。
答えないというより、その質問に対して、明確な答えを返せずにいた。
ただ、
16: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 01:56:04.03 ID:SPf8UhYr0
「…プロデューサーは、私が周りに気を遣いすぎだって言うけど…私から見れば、プロデューサーの方がそうだよ」
「……………」
男は応えない。
17: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 02:04:17.98 ID:SPf8UhYr0
車が信号で止まった。
この場所の信号に引っかかると長いことを知っている男はサイドブレーキを引き、ハンドルから手を離す。
そして大きな溜息と共に、小さく笑いながら、ようやく答えた。
18: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 12:04:25.96 ID:Ntvj8yobO
「Pさんが泣かないからだよ」
「俺は大人だ。泣いてる暇はないんだよ」
「私だって泣きたいから泣いてるんじゃないよ」
19: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 12:15:26.21 ID:Ntvj8yobO
「うん」
少女はそれだけ返した。
それ以外に返す言葉は見つからなかったし、きっとそれ以外に何も言う必要は無かった。
20: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 12:23:32.46 ID:Ntvj8yobO
いつの間にかラジオは次の番組が始まっていた。
パーソナリティの声は、随分と聞き慣れたものだった。
「あ…友紀さんの声…」
21: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 12:32:27.80 ID:Ntvj8yobO
車が止まった。
車は、ある住居の玄関前でハザードを点滅していた。
「…Pさんが気を遣うのはいいのに、私は駄目なの?」
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