過去ログ - モバP「日常の一コマ」
1- 20
2: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:51:39.32 ID:O4qi00qi0
1.夏のきらめき

 恨めしそうな目も実に可愛らしい。俺は見当違いな感想を抱きつつ、奈緒の持つ企画書に視線をやった。

「どういうことだよこれ! なんであたしの名前があるんだ!?」
以下略



3: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:52:50.48 ID:O4qi00qi0
 と、そのときドアが開いた。ひょっこり部屋に入ってきた智香は、腰に届きそうなポニーテールをゆらゆら揺らして、こちらに歩いてきた。人懐こい笑顔に癒される。

「どうかしたんですか?」

「奈緒に水着の撮影が嫌だって抗議されてね」
以下略



4: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:54:13.73 ID:O4qi00qi0
 奈緒は困ったみたいに眉を寄せた。

「……まあ、そうかもしれないけどさ」

「本当に嫌なら無理しなくていいよ? 今ならまだ間に合うから」
以下略



5: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:56:16.73 ID:O4qi00qi0
 燦々と降り注ぐ陽光は、時折吹く熱気に近い風に揺れる、青いプールに拡散してきらきらと輝やかせた。

 夏らしい、絶好の撮影日和。塩素の香りに懐かしさを覚えながら、奈緒は競泳水着、智香にはスクール水着を着てもらって撮影は始まった。

「奈緒ちゃん可愛いですね!」
以下略



6: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:57:17.36 ID:O4qi00qi0
2.気持ちを掬って

 バターンっと騒々しくドアは開かれ、バタバタと俺のデスクに駆け寄ってきた彼女は、バシーンっと書類をデスクに叩きつけた。

 的場梨沙、激怒。なんてタイトルみたいな一文が浮かぶぐらいには怒り心頭な感じだった。鼻息の荒い梨沙の後ろには、息を荒くした輿水さん。どうやら一緒に走ってきたらしい。
以下略



7: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:58:53.47 ID:O4qi00qi0
「それで、いったいなにをしたらここまで怒らせられるんです?」

 梨沙はガルルとこちらを威嚇していて話にならない。輿水さんは困惑した様子で訊ねてきた。

「いやー、どうだろうね、なにか気に食わなかったのかな」
以下略



8: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:00:38.11 ID:O4qi00qi0
 謝っても梨沙はそっぽを向いて取り合ってくれない。どうしたものかと思索していると、輿水さんは仕方ないですねと呟いた。冷や汗が背中を伝う錯覚を覚える。

「その書類ですよね? 見せてください。第三者としてボクが判断しますから」

 膠着した話にそろそろ疲れてきたらしい。輿水さんは呆れたようにいって書類を指差した。恐れていた展開だ。しかも梨沙まで、そうね幸子に判断してもらいましょ、と乗り気ときている。
以下略



9: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:02:36.19 ID:O4qi00qi0
 梨沙は大仰にため息を吐いた。怒りを通り越して呆れたらしい。こうなってくるとどっちが大人かわからなくなってくる。

「なんでこうも極端なのよ。全部合わせてちょうどいいぐらいだわ」

「本当に面目ない。俺もまさかここまでのものができあがるとは思わなかったんだよ。もちろん、決定じゃないから安心してくれ」
以下略



10: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:04:16.93 ID:O4qi00qi0
 輿水さんのバンジージャンプチャレンジが終わって、しっかりアイドルらしい活動になったのは衣装騒動から二ヶ月後。梨沙の衣装のデザインが決定した頃だった。

 デスクにやってきた梨沙は明るく言う。

「アンタもやるときはやるのね。幸子、喜んでたわよ」
以下略



11: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:06:06.03 ID:O4qi00qi0
3.世界レベルと個人レベル

 つまるところ、ぼくと彼女に大した違いはない。

 意識が外に向いているか、内に向いているかの違いだけだ。外にはぼくも含まれるし、内には彼女も含まれる。結局、意識している範囲の違いで、それでも、目指すべき先は同一なのだから差異なんて些細な問題だ。
以下略



12: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:08:15.37 ID:O4qi00qi0
 テレビ局での打ち合わせを終えてプロダクションへ戻る頃には、日は完全に落ちていて、定時もとっくに過ぎていた。

 夏もそろそろ終わりだというのに、暑さはまだまだ居座ろうとしている。ロビーに入るとクーラーの涼しさが心地よかったが、汗のせいですぐに肌寒く感じた。

 この仕事は業種柄、勤務時間にムラがあって、会社はまだまだ営業中。良し悪しの判断は捨て置こう。考えても、辞める気はないので意味はないのだ。
以下略



25Res/29.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice