過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 18:37:56.18 ID:YQSvpWbd0
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中庭の休憩所でゆったりと月を眺める。少し前にここでツバキを慰めて、三人にカムイが伝えるべきだったことを、掻い摘んで伝えたのは記憶に新しい。そんな中で起きたシュヴァリエでの反乱は、三人の心を休ませてはくれなかっただろう。
「……サクラ王女、今日はぐっすりと眠れているかしら?」
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 18:45:25.16 ID:YQSvpWbd0
「……もしかして、私のことが嫌いだったかしら?」
「あ、これは違うんです。そ、その……」
「違うっていうのは何が違うのかしら、声を掛けてすぐに背中を向けられちゃったら、勘違いも何もないと思うけど?」
声を掛けた直後に背を向けられれば、勘違いも何もあったものではないと思う。それに対して、サクラ王女は大きく深呼吸してから答えてくれた。
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 18:52:33.38 ID:YQSvpWbd0
「カミラさんは優しいですね」
「そうかしら、あなたたちを最初殺そうとしていた以上、優しいなんて言えないと思うけど」
「いいえ、カミラさんはとても優しい方です。少なくとも私はそう思っています」
落ち着いているからなのか、サクラ王女の言葉に詰まりは無かった。
以下略
975
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 19:02:34.24 ID:YQSvpWbd0
「そうね、例えばサクラ王女にとって月が大切なものではないから、そういうことだったりはしない?」
「大切なものじゃないですか?」
「ええ、私にとって敵の命がどうでもいいものであるように、サクラ王女にとって月はどうでもいいもの。だからどこから見ても変わらない、ほら理由になりえるでしょう?」
「え、えっと、そうかもしれませんけど。それはなんだか悲しすぎると言いますか、寂しいと言いますか」
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976
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 19:07:05.23 ID:YQSvpWbd0
うーん、とサクラ王女は再び考え始め、私はそれを背中に感じながらこの子たちのことを思う。シュヴァリエの反乱には白夜が一枚噛んでいることはわかっていた。それが彼女たちを危険に晒す可能性があることも……。
戦争が進めば進むほど、それはサクラ王女達の命が消費されていくことを表している。白夜が優勢になれば、人質としての価値は上がる。逆に暗夜が優勢で白夜が劣勢なら、人質の価値は下がっていくことだろう。だけど、どちらの終わりも深く暗い闇に違いはなかった。
サクラ王女たちの命が助かる可能性は、今現在どこにもない。それは誰もがわかっているけれど、口に出さないことだった。
(サクラ王女達は気づいているのかしら……)
以下略
977
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2018/03/11(日) 19:13:59.52 ID:YQSvpWbd0
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サクラ王女と夜に話をしてからわずか一週間後のこと、そのセレモニーは開かれた。
カムイを公式に暗夜の王族として公表するその式典は、かつてないほどに盛大なものとして扱われた。
反乱を鎮圧した英雄、暗夜を勝利に導く女神、マークス兄様に並ぶ剣の名手、他にも様々な二つ名がある中でダークブラッドという称号が今のカムイを表している。そんなカムイの姿を私は遠くから眺める。
以下略
978
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2018/03/11(日) 19:17:19.68 ID:YQSvpWbd0
「あ、いたいた。カミラ王女、サクラ様!」
「サクラ様、大丈夫ですか?」
「あ、ツバキさん、カザハナさん。そんな慌てなくても大丈夫です」
少しの間だけでもサクラ王女を見失ったからか、慌てた様子で二人が駆け寄ってくる。カザハナはもう離れたりしたらダメだからねとサクラ王女の手を取り、ツバキは周囲でそう言った下世話な話をする者たちを牽制し始める。
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2018/03/11(日) 19:20:13.17 ID:YQSvpWbd0
困って顔を赤らめているサクラ王女はなんとも幸福そうだった。
サクラは白夜の花の名前だからかもしれない。花が開いたような笑顔というのはあながち間違いではないと思う。そんな可憐で美しいものを見ると、口元が綻んでしまうのも当然のことねと、自身の口を緩ませたままにした。
「カザハナさんにツバキさん、それ以上続けるなら、私カミラさんに護衛を頼んじゃいますよ」
以下略
980
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 19:22:19.31 ID:YQSvpWbd0
私の言葉にカザハナが顔を真っ赤にして、ツバキに続いてカミラ王女まで!? サクラ、あたしも夜にお話しに行ってもいい?と矢継ぎ早に言うものだから、それにサクラ王女まで真っ赤になる。
そんなカザハナの発言から庇うように、私はその頭を優しく撫でてあげた。
「あらあら、サクラ王女に頼まれたら守ってあげないといけないわね。サクラ王女」
「ひゃっ、カミラさん。そんなに撫でないでください」
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
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2018/03/11(日) 19:25:41.96 ID:YQSvpWbd0
声を掛けられるまで、時間が止まっていたのかもしれない。声を掛けなかったらサクラ王女の時間は止まったままだったのかもしれない。そう思えてくるほどに、サクラ王女の言葉はか細いものだった。
一体何が原因なのかと視線を動かす。まずは正面、カザハナとツバキもサクラ王女の様子を心配している。二人がこの変化の原因とは考えられないから、視線を奥に進めた。
しかし、進めても同じような貴族の姿以外に何もなかった。何も特徴的な物はない、誰かがサクラ王女の命を狙っているのかとも考えたけど、このセレモニーはあのマクベスが全体の指揮を執って行っていて、それはお父様からの指示を受けての物だ。生ぬるい警備などしていないだろう。
だから原因は何もわからなかった。わからないけどサクラ王女に起きた異変は確かなもので、今できることは気遣う事くらいで、あまりにも弱々しい言葉しか出てこない。
以下略
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