過去ログ - 無尽合体キサラギ
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330:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:19:04.27 ID:sKfYX8RPo
瞬間、ひんやりとした空気と同時が流れ出ると同時に、
異質な空間が目の前に広がったのをヒビキは感じ取った。
ヒビキは息を呑み、扉をくぐる。
星の光も月の光も届かぬ神殿内部はもちろん深い闇に包まれ、
狭い入口から僅かに入り込む光を頼りにしても十歩と進めないほどである。
以下略



331:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:22:30.52 ID:sKfYX8RPo
とその時、ヒビキは弾かれたように顔を後ろへ向ける。
その先に広がるのは闇ばかりであるが、
ヒビキは希照石を掴み、駆け出した。
アニマルロボたちの吠える声……。
ヒビキの耳に届いた切迫した家族たちの鳴き声が、ヒビキを神殿の出口へと走らせた。
以下略



332:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:24:52.60 ID:sKfYX8RPo
タカネ「その石が、アニマの至宝ですか?」

囁くような声であるにもかかわらず、
それは巨大ロボの頭部に立つタカネから、地上のヒビキへはっきりと届いた。
ヒビキは手に持った希照石をタカネから隠すように胸元に抱き、
以下略



333:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:26:37.80 ID:sKfYX8RPo
怒りを顕にして抵抗の意志を持ち続けるヒビキではあったが、
宝を守るための手段は既に皆無と言って良かった。
アニマには巨大ロボと戦えるだけの戦力も無ければ、
逃げるための術もヒビキは持ち合わせていない。
つまり降参しようとしなかろうと、至宝は奪われることはほぼ確定している。
以下略



334:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:29:11.79 ID:sKfYX8RPo
タカネ「良いでしょう。それならば、永遠にここに居なさい。
    お望み通り貴女の愛するこの星に……穴掘って、埋めて差し上げます!」

瞬間、耳をつんざくような轟音が大気を切り裂き、震わせる。
まだ炎の侵食を受けていない森へと逃げ込もうとしたヒビキだが、
以下略



335:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:32:03.66 ID:sKfYX8RPo
痛みに備えてヒビキは身を固くする。
が、代わりに届いたのはドリルの回転による風圧と、回転音に重なる何かの音。
そして異変に気付き目を開けたヒビキの目に飛び込んできたのは――
身を挺して主人を守る、アニマルロボたちの姿であった。

以下略



336:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:34:18.05 ID:sKfYX8RPo
ヒビキ「あ、ああっ……!」

一番小さな体で最後まで食らいついたハム蔵が、
部品を撒き散らしながら弾き飛ばされた時になって、ようやくドリルの回転は止まった。
ヒビキは周囲に無残に散った破片をかき集めるが、ボロボロと崩れていく。
以下略



337:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:35:29.24 ID:sKfYX8RPo
タカネ「それが愚かだと言っているのです。
    宝だ、星だなどと、瑣末なことに執着するがゆえに、
    本当に大切なものを失う……真、愚かしいこと……」

それまで多少の機微は見せようとも、
以下略



338:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:36:47.29 ID:sKfYX8RPo
もはやこれまでかとヒビキは目を強く瞑り、
胸元に隠した希照石を抱きかかえるように両手を当てた。
しかしその時、ヒビキの目がハッと驚いたように開かれ……
次の瞬間。

以下略



339:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:39:14.49 ID:sKfYX8RPo
タカネの洞察の通り、ヒビキがこの宇宙船の存在を知ったのは、
数秒前に“声”を聞いた時が初めである。
それは古代の巫女の残した、アニマの秘宝を守るための最終手段。
アニマの正統な巫女が希照石を手にした時に限り、希照石の力でのみ動く宇宙船であった。
伝承では、希照石の力が希照石を守るとだけ伝えられていたのだが、
以下略



340:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:44:07.18 ID:sKfYX8RPo
ヒビキは少しの間、遠ざかる怪ロボットを振り返っていたがそれもすぐに見えなくなった。
やがて自分の故郷の星の全体像が見えた頃になって、
ようやくヒビキは先程から聞こえる“声”の内容を整理し始めることができた。

ヒビキ「……きっとすぐに追ってくる。
以下略



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