谷間の百合 (オリジナル百合)
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16: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 12:32:17.41 ID:Li1QhE+X0
「そうやって、優しくない言葉ばっかり喋ってると、いつか自分に不幸として返ってくるんだからね」
人差し指を彼女の鼻先に突き立てる。
ナツはそれを手で払いのけた。
17: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 12:47:05.79 ID:Li1QhE+X0
「それが生きることだと教えてくれた人はもうこの世にはいないので、それが真実なのかは不明です」
「それって、おばあちゃんとかおじいちゃんとか?」
「いいえ、生きることを教えてくれたのは、両親です。彼らからキスをもらったことなんてありませんでしたけれど。聞く前に、私が殺してしまいました」
18: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 12:55:52.09 ID:Li1QhE+X0
握手を求めているのが分かったけれど、私はその手を握り返すことはできなかった。
次の日、もうすぐ夏休みが終わるということをカレンダーを見て知った。
ただ、子どものいなくなったこの村に、再度学校を開くかどうかという所で大人たちがもめているようだった。
19: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:08:51.35 ID:Li1QhE+X0
日差しは落ち着いていた。
一度は断ったのに、ナツが日傘を差してくれた。
「なんだか、お嬢様になったみたい」
20: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:21:23.87 ID:Li1QhE+X0
頭をゆすられ、目の前がくらくらと回る。
それだけで、私は地から足が浮いたような感覚になり平衡感覚を失った。
どちらが上か下か分からずに、おばさんと一緒に道路になだれ込む。
遠くから男の人の声。たぶん、おじさんだ。
21: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:44:33.85 ID:Li1QhE+X0
淡々と語るナツ。
顔を上げた。
ナツが私の瞼に手を伸ばす。
びっくりして目を閉じた。
22: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 14:21:26.94 ID:Li1QhE+X0
人の期待を裏切った時に感じる苦しみが、重くのしかかっている。
それは、つまり、私も死ねば良かったのにということなんだろうか。
嫌だ、またあの闇をさまようのは。
ナツはその後何も言わなかった。
23: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 14:45:27.49 ID:Li1QhE+X0
夜。
ナツの隣に布団を敷いて、横並びに寝た。
昨日まであれだけ一緒に寝るのが嫌だったのに、
今日はなぜか嫌だと感じだから、いるだけで安堵している自分がいた。
ナツはこちらに背を向けて、癖なのか体を小さく丸めてダンゴムシみたいに眠る。
24: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:04:00.62 ID:Li1QhE+X0
ナツは、思い出すように目を閉じた。
「親を殺しても、私は感謝されるんだなと思いました。褒めてくれるんだ、喜んでくれるんだそう思いました。ただ、生きているだけで私はキスをもらえるのだと思いもしました。そう、生きているだけでね」
ナツは、もう一度私に唇を近づけた。
25: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:21:27.01 ID:Li1QhE+X0
ナツは家族を知らないんだ。
生きることを教えられても、与えられなかった。
教えられたのに、奪われる所だった。
だから、家族になる必要を感じない。
でも、美味しいご飯と、温かい寝床と、キスだけは知っている。
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