21: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:44:33.85 ID:Li1QhE+X0
淡々と語るナツ。
顔を上げた。
ナツが私の瞼に手を伸ばす。
びっくりして目を閉じた。
22: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 14:21:26.94 ID:Li1QhE+X0
人の期待を裏切った時に感じる苦しみが、重くのしかかっている。
それは、つまり、私も死ねば良かったのにということなんだろうか。
嫌だ、またあの闇をさまようのは。
ナツはその後何も言わなかった。
23: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 14:45:27.49 ID:Li1QhE+X0
夜。
ナツの隣に布団を敷いて、横並びに寝た。
昨日まであれだけ一緒に寝るのが嫌だったのに、
今日はなぜか嫌だと感じだから、いるだけで安堵している自分がいた。
ナツはこちらに背を向けて、癖なのか体を小さく丸めてダンゴムシみたいに眠る。
24: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:04:00.62 ID:Li1QhE+X0
ナツは、思い出すように目を閉じた。
「親を殺しても、私は感謝されるんだなと思いました。褒めてくれるんだ、喜んでくれるんだそう思いました。ただ、生きているだけで私はキスをもらえるのだと思いもしました。そう、生きているだけでね」
ナツは、もう一度私に唇を近づけた。
25: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:21:27.01 ID:Li1QhE+X0
ナツは家族を知らないんだ。
生きることを教えられても、与えられなかった。
教えられたのに、奪われる所だった。
だから、家族になる必要を感じない。
でも、美味しいご飯と、温かい寝床と、キスだけは知っている。
26: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:30:50.84 ID:Li1QhE+X0
数日が経って、私は漸くみんなのお墓参りに行くことができた。
おばさんに襲われたことは両親に言わなかったので、外出を咎められることはなかった。
ナツは相変わらず紳士みたいに日傘を差してくれた。
「ナツ、それ自分で持つよ」
27: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:49:47.07 ID:Li1QhE+X0
持ってきていたお茶を二人で分け合って飲んだ。
それから、バケツに水を汲んで柄杓で水をすくった。
墓石に水をかけて、いくつもあるので数十分くらい要した。
墓石に彫ってある子どもたちの名前を指でなぞる。
みな、私より年下だった。
28: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:57:43.05 ID:Li1QhE+X0
「私は」
「来たばかりだし、いきなり言ってもあれかな」
私は笑ってなんでもないよと言った。
29: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 16:09:07.34 ID:Li1QhE+X0
そう言っても、一向に日傘を下に置かない所、信用していない。
「ほら、ちょっと抱っこしてみたら」
私は立ち上がって、ナツの胸にうりぼーを無理やり抱かせた。
30: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 16:16:44.55 ID:Li1QhE+X0
走り回って、ナツは漸くキノコをポケットから出せばいいと思い当たったのか、うりぼーに向けて放り投げた。
「はあッ……はあッ」
「もう、終わり?」
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