10:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:27:07.86 ID:3QcdtyFE0
◇
威張れるほどの人生を歩んできたわけではないのだが、俺だって色々な経験をしてきた大人なつもりだ。朝の事をいつまでも引きずっているわけにもいかない。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:27:56.26 ID:3QcdtyFE0
「え? 一旦、って……プロデューサーさん、まだお仕事ありましたっけ?」
「別に、ないっちゃあないですけど」
12:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:28:49.90 ID:3QcdtyFE0
◇
まゆを送り届けたとき、何も聞くことができなかったことを最初に報告しておく。
13:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:30:34.21 ID:3QcdtyFE0
もし。
もしもまゆが人形に細工をしていたとして、俺の言葉を聞いた時にどんな行動をするだろうか。もしそんなことがなかったとしても、そうしたら今朝の事はどう説明をすればいいんだ? 大金をかけたであろうプレゼントが怪奇現象を引き起こしたと知って、まゆはどんなことを思うだろう?
14:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:32:48.97 ID:3QcdtyFE0
よし、と口に出してみる。
何度目かわからない空元気だったが、今回はたまたまいい助走になったようだった。俺は思い切ってドアの鍵を開け、そのまま一目散に家の電気を点けた。台所、バスルーム、そして部屋とお構いなしにスイッチを入れたから、たちまち部屋が光でいっぱいになる。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:33:55.89 ID:3QcdtyFE0
◇
なにか、足音のようなものが聞こえた気がして俺は目が覚めた。
16:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:35:29.78 ID:3QcdtyFE0
人間は、本当に恐怖を感じると声も出ないらしい。少なくとも今の俺がそうだ。
彼女の顔を見るのが心底恐ろしい。視界の端に、子供の遊び散らかした画用紙みたいにグチャグチャになっている段ボール箱が見える。どうやったらああなるんだ。あの、堅いはずだった段ボール箱が。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:36:23.42 ID:3QcdtyFE0
「……え?」
18:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:37:13.64 ID:3QcdtyFE0
「大丈夫ですよ、Pさん」
左の耳元に甘い声が響く。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:37:59.58 ID:3QcdtyFE0
そう言って彼女は――まゆは、もう一度俺に唇を重ねた。ちょん、ちょんと、彼女の舌先が唇をつつく。恥じらうように、彼女は目を閉じた。あざとい動作だったが、深く絡ませようと必死な舌とは対照的な表情はなんとも愛らしく感じられた。ものの数秒後には彼女の侵入を許してしまう。
「んっ……ふふ……ぁむ……んっ……」
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