13: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:18:24.95 ID:p0TmPlc30
駅を出た二人は、特に目的もなく歩き出す。
じりじりと蒸し焼くような暑さと鼓膜を劈くような蝉の鳴き声が二人に襲いかかる。
絶え間なく流れ出る汗を拭い、ぱたぱたと手で扇いでいると、神社の境内に露店を見つけた。
アイスクリームと水を買うと、リュックから猫を出して木陰で涼む。
しばらく休んだ後、鈴を鳴らして何処の何かも知らない神様を拝んだ。
14: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:19:14.23 ID:p0TmPlc30
とある雨の日の事だった。
彼女の家に、遠い親戚を名乗る男が一晩泊めて欲しいと訪ねてきた。
急な来客にも関わらず、彼女たちは雨に濡れた男を嫌な顔一つせず招き入れた。
男は深く感謝し、翌日にはお礼として一家に手料理を振る舞った。
15: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:20:01.89 ID:p0TmPlc30
フレデリカはビクンと体を震わせると、
「いけないいけない」とつぶやき口元のよだれをナプキンで拭う。
「いいよー、あたしも疲れたししばらくゆっくりしていこ」
16: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:21:17.93 ID:p0TmPlc30
「あたしが小学生だった頃の話なんだけどね、やんちゃな男子がいたんだよ」
「って言うと?」
「女子のスカートをめくったり、オッパイ触ったりして」
17: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:22:50.61 ID:p0TmPlc30
「以上、即興の作り話でしたー♪」
「はー、はー・・・エヘン、ありがとーございましたー♪」
笑いすぎて溢れてきた涙を拭うと、ぱちぱちと拍手して讃える。
18: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:24:32.87 ID:p0TmPlc30
フレデリカは志希を見つめる。
穴が開くほど、じっと、ぐりぐりと見つめ続けた。
「見た目は人間と同じだよ」
19: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:25:49.58 ID:p0TmPlc30
フレデリカは親指と人差し指を伸ばし顎に手をやる。
「ふむふむ・・・他の人と同じだけど、人間ではない・・・」
目を瞑ってうんうんと唸り続けると、尋ねた。
20: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:26:26.07 ID:p0TmPlc30
「皆何かしら違うもん。シキちゃんの顔も、匂いも、ふわふわでツヤツヤな髪も、同じ人なんていないよ」
「違ってるのがフツーなんだよ」
優しく微笑みかける。
21: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:29:48.67 ID:p0TmPlc30
「別にこれはクイズでも思考実験でもなんでもない。ただの事実として、ボーっと聞いてみて」
彼女は頷いた。
22: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:30:40.56 ID:p0TmPlc30
二人は飲み物に口をつける。
ストローをくわえたまま、フレデリカはふと窓の外からの音に興味を持った。
グラスを置き、窓の鍵を開け、窓を開く。
「あっ」
61Res/62.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20