このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください

【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/25(木) 20:17:01.43 ID:eglF3Egj0
>>103


 ……そっか。「だから」か。
 うん。納得した。


【その、あまりにも子供じみて――。まるで、殺すための理由なんかなくて、殺したあとに勝手に理由がくっついて来たみたいなそれを】
【女は一度頷いて、あまりにもあっさりと受け入れるのだった。微笑を浮かべたまま半身を引き、鞘を握り込んで】


 ギンコちゃんか。可愛い名前だね。
 わたしの名前はイスト。職業は……自称になるけど"蒐集家"だよ。
 こういう怪しい場所を探検して、隠れている"怪異"を探すのが趣味なんだ。


【実を言えば。この子とは相容れないのだという、そのどうしようもない実感は、既に女のなかで事実となり始めていたのだけども】
【――決して表情は変えなかった。あまつさえ、そのへんの子供にでも自慢するみたいに、「かっこいいでしょ?」とウィンクをひとつ】
【その空々しいまでの場違いさには、しかし狂気も恐怖も感じ取れない。おそらくはこれが、この女のやり方なのだろう】
【たとえこれから殺す相手でも、どちらかが死ぬそれまでは。"少なくとも今はなかよしでいましょう"――ああ。ちょっとだけ、似てはいる】


 いやはやまったく。それにしても。
 幽霊目当てに彷徨えば、饐えたニオイに転がる素っ首! 飛び交う狂気と血塗れの刃ときたもんだ――!
 はは、嗤っちゃうほど"怪異的"だ。ぜんぜん嬉しくないけどね!

 そしてたぶん……キミという"怪異"には、こういう蒐め方が一番、相応しいようだ。
 ――悲しいけどね。それがわたしの答えだよ。


【相好を崩し、ため息混じりに演劇じみた台詞を吐いて、がっくりと肩を落とす。――それが最後であり、合図であった】
【上体が倒れたその勢いのままに、女……イストは一気に駆け出すだろう。悲しげに呟いたその声はしかし――】

【――抜刀。ギンコから見て右から左へ、横一閃の斬撃と同時に、彼女へと届くことになるだろうか】 
【ただシンプルに"速い"だけの斬撃である。避けられやすくもあるが、そうなったとき退避に転じやすい、そういう力の抜き方だ】
105 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/04/25(木) 20:32:38.73 ID:W2213yFJ0
>>104

イストさんって言うんだネエ。しゅーしゅーか? ……コレクターってことかナア。
うふふ、変なのお、ユーレイなんてどうやって集めるのお? ハコとかに入れとけるの?

【「まあそれはどうでもいいけどネ」、】

イストさんはこーいうトコあんまり来たコトないのかナ? じゃあひとつ教えといてアゲル。
たぶんネエ、ユーレイってもうちょっとお上品なトコにいるんだと思う――だってさ、

自分の死体見つめ続けるのってきっと悲しいコトじゃない。こんなトコ、ユーレイだって居たくないよ――

【――――じゃあなんでこいつはここに居るんだろう。決まっていた。死体を作るのが好き、だからだ】
【だからきっとイストのことだって殺す。両腕を動かす、コートの裾を棚引かせる――二本とも右へ】
【すればぎィんと甲高い金属音が鳴るのだろう。受け止めた。鍔迫り合いに持ち込むつもりだろうか、】

【だとすれば――イストは気付くだろう。こいつの膂力、左程鍛えてもいないような細さのそれから出すには】
【あまりにも過ぎた力を持っている。少なくとも人間の領域には収まらない怪力、ならばこいつは人間ではない】
【イストの力が「そうでない」なら、弾き返してしまうのだろう。あるいはそのまま押し合いに持ち込めたとしても】

――――――――――――――あッは!

【次の瞬間には、右足の裏をまっすぐ押し出してくるような前蹴りが飛んでくる。狙いは胴体、おなかの辺り】
【少なくとも何か練り込まれた技術、その一端として繰り出される「技」ではなかった。けれど】
【やはり並外れた怪力を持っているのであれば――直撃するのはあまりに危険だと悟らせる。だけどそれだけだ】
【所詮は乱雑に繰り出される喧嘩殺法にすぎない。回避だって簡単、だろうが――受け止めるには少し躊躇する】
【それくらいの勢いを持っている。少なくともノーガードで受けるなら、内臓のひとつやふたつは潰せるだろうが】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/25(木) 21:06:33.03 ID:eglF3Egj0
>>105


 ご忠告ありがとう、"ギンちゃん"。……ふふ、かわいいからこっちで呼ばせてもらおうかな。
 わたしが蒐めるのは怪異そのものじゃなく、それが生み出す物語……"怪異譚"の方なんだ。ああ、ちょっと難しいかな?


【顔も知らない誰かの死に、本気で涙を流せるほどに善くはなく。本気で怒りを覚えるには、少しばかり博愛が過ぎる】
【ギンコを恨み切ることも、動かない死体を悼み切ることもなく、ただただ、この物語を"蒐める"ことをいま決めた】
【せめて、そのヒトが"ここで死んだ"という物語だけは、この手に収めて持ち帰る。……たとえ、ギンコを殺しても】
【これがイストの性格であり、習性だ。そしてその悲しげな表情のまま、平気で刀を振るえるのもまた――】


あぁ――――重っもいな!?


【ガギギ、と。白く光る銀と赤く光る銀とが、その軌跡の交錯点で火花と共に停止した。受け止められる、そこまでは想定内】
【だが、三つの刃が拮抗していたのはほんの一瞬であって。――イストは「そうではない」側の存在なのだった】
【押し負けると見るや悪態をひとつ。即座に刀を引き寄せると体の前に晒しながら、後方に跳んだ】

【……予想の百倍ぐらい強い蹴撃、衝撃が刀越しに両腕を貫いて】
【よほど硬いのか刀身には傷一つなかったけれど、イストは痛みを堪えながら数メートル吹き飛ぶだろう。距離が、空いた】


 可愛い顔して怪力無双とは、恐ろしい子だなまったく。
 ――ならわたしも、少しばかり本質をさらけ出すとしよう!


【わざと跳んだのが功を奏して、刀を握れなくなるほどのダメージにはならかった。なのにイストは、刀を振るうことはなく】
【右手の刀はそのままに、なぜかなにも持っていない左手を振りかざすのだ。――桜の花弁じみた光の粒子は、"異能"の証】
【その袖口から突如、路地裏の闇を切り裂いて、淡く藤色に発光する奇怪な"蔓"が伸び上がるのが見えるはずだ】

【イストは勢いよく左腕を振り下ろす。つまりこれは――空を切ってしなる"蔓の鞭"による打撃攻撃!】
【蔓はそこそこ太く、強度も普通の植物よりは上だ。普通の女性の力だと、素手で引き千切るにはやや力不足だろう】
【……この場に普通の女性などひとりもいない、というのはさておき。この一撃、普通の鞭で打たれるのと変わりない威力はある】


【ただまあ、所詮はただの蔓だ。引き千切るのはともかく、刃物があるなら簡単に斬れる。しかし、ひとつ注意点を挙げるなら――】
【イストの作り出す植物はどれも、焼き払おうと思えば千度を超える熱量が必要になるほどの、異常なまでの"耐熱性"を誇っている点か】
【ただの植物と思って火で焼き払おうすると痛い目を見るかもしれない。――そもそも火なんて持ってないなら、関係のない話だが】
107 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/04/25(木) 21:22:48.37 ID:W2213yFJ0
>>106

うんっ、難しーい! だからもっとシンプルに行こーヨ、――イストさんの首を刎ねられたらギンちゃんの勝ち、
イストさんがギンちゃんの物語を持って帰れたら――イストさんの勝ち! あっはは、負けないぞー、お……

【離れる距離を詰めるためにギンコも駆ける――蹴りつけた地面に小さな小さなクレーター、のような罅割れ】
【そこまで観察できるのであれば、こと「脚力」に至っては殊更に異常であることを伝えるのだろう】
【そのままの勢いで愚直に突っ込もうとする。しかし――発光、異能の気配を察知するならば】
【急停止。すればまた踏み締める地面に罅が入り、笑うのをやめて――蔓を真っ向から睨みつけるのだろう】

ああっははハ――――おっきくて、ふっとぉい、こんなの受けたらひとたまりもないネエ!

【だけどそれも一瞬のこと。可笑しくて仕方ないみたいに笑う、そうしたらまた地を蹴りつけて――罅が一層細かくなる】
【ギンコは跳んだ。真上に、そして――轟とうなる風切り音を伴って伸びる蔓の上に、着地しようとするだろう】
【そのままその上を走る、走る、伝って、――接近が叶ったのなら「投げる」。右手に持っていた獲物を】
【見れば両手の獲物は、それぞれの柄同士が細いワイヤーのようなもので繋がれていた。ならば】
【鎖鎌のように扱うこともできるのだろう。事実ギンコはそうしていて、投げたそれが当たらなければ】
【即座に左の手首を返して、元の位置に戻そうとするのだろう。だけど、先程の蹴りと同じ。直線的で単純な攻撃で】

【――加えて。きっと彼女は頭がよくなかった。だからこの、光る蔓が「なにか」他の効力を持っている、とか】
【たとえば炸裂するとか――そういったことはまったく考えていないのだろう。だからこうして堂々と足場にしたし】
【それにきっと過信していた。自身の自慢の脚力ならば、何かあってもすぐ逃げられる。楽しげな顔がそう言っていた】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/25(木) 21:57:46.45 ID:eglF3Egj0
>>107


 ああ、そうさせてもらうとしよう。
 ……喋りすぎるのはわたしの悪い癖でね。ここからは、こっちで語り合うとしようか……!


【跳ねるギンコの声を受け止めたなら、にまりと笑ってそう返す。彼女の言う通り、シンプルに戦闘用の思考だけが頭を支配して】
【然らばここまでのやり取りで、その怪力の――恐ろしき"脚力"の怪異にこの蒐集家が気づかないわけもなかった】
【距離を取れたはいいけれど、あの調子では一瞬で詰められる。さてどうしたものか、暢気に考えていたその矢先に、】


 ――――うわ!?
 くっ、思ったより器用なことをするなあ……!
 

【ひゅう、と思わず口笛が衝いて出た。冷や汗も一緒にだ。蔓を踏み台に走ってくるギンコに抱く感情は、心の底からの驚嘆と恐怖】
【蔓はイストの意思で自在に動かせるものの、残念ながらそこには、ヒトの重みを乗せたまま空中に静止できるほどの力はない】
【畢竟、蔦はギンコの体重に負けて踏み潰される形となるだろう。――となれば、蔓と左手で接続されたイストの体は、がくりと前へ引かれ】

【そこへ飛来してくる刃。防御の体勢は明らかに取れていなかったけれど――】
【あえて、イストは踏ん張るのをやめた。引かれる力のまま思いっきり転倒したのである。「ぶべっ」と情けない悲鳴が地面と頭との間に響いた】


 いてて……!
 やるね。だけど"その上"は――わたしの領域だよ、ギンちゃん。


【無様に地面に這いつくばるその醜態の結果……投げられた刃はイストの背中の上を通過し、ギンコの元へ帰ることとなるだろうか】
【同時に素早く起き上がり、脚に力を込めて跳躍。ギンコが距離を詰めてきていたこともあり、彼我の距離はすぐに剣の間合いへ】
【そして、怪しげな笑みと共に――イストの異能が発動する。ギンコの踏み付けているまさにその部分の蔓が、桜色の粒子を発し】

【――蔓がそこで、新しく四本に"分岐"する。すべてが一気に伸び上がって、ギンコの全身に巻き付こうとするだろう】
【加えて、この"蔓の拘束"の発動、タイミングとしては投げた刃がギンコの手元に戻るのとほとんど同時、といったところ】
【刃で切り払うのが間に合うか。捕まったとして、拘束する力は"普通の人間"なら脱出に相当手こずるだろうというぐらい】
【もちろん蔓の強度は相変わらずなので、たとえ捕まったとしてもギンコの力なら引きちぎれはするだろうが、】


 ――はッ!!


【そのために、一瞬でも隙が生じるのは必定。拘束が成ろうと成るまいと同じとばかり、"その瞬間"と重なるように、イストは刀を突き出す!】
【右肩へ向けて放たれるは、素早い刺突攻撃だ。先程の斬撃より膂力と体重を大きく乗せた、本気で"突き貫く"ための鋭い一撃――】
109 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/04/25(木) 22:25:34.69 ID:W2213yFJ0
>>108

【刃が空ぶることは想定内。だから涼しい顔して右手でぱしりとキャッチする、の、だが】
【――続く事象までは読めていなかった。見開かれるすみれ色、宙に投げ出される身体】
【まずいと思った瞬間にはもう捉えられていた。その瞬間にはもう、イストの刃が、届かんとするのだから】

――――――――――≪パーティ≫!!

【なれば此方も出し惜しみナシ、ということ。ギンコもまた異能を行使する――単純な術だった】
【目の届く範囲に、そう大きくはない障壁を生み出す。それだけのこと、しかも強度もそれほどではなく】
【突きを受ければばりんと音を立てて破片を撒き散らすのだろう、それ自体にさしたる殺傷能力はないけれど】

【そうして役目を終えた/終えさせられた障壁は、けれど立派に働いたのだろう。突きの衝撃を幾らか殺して】
【蔓を引き千切るだけの余裕を作り、しかし逃げ果せるには叶わず――貫かれるまでは行かずとも】
【浅い膚を引き裂さかれ、その内から鮮やかな赤色を撒き散らすところまでは「届く」。――地を蹴りつける音、】
【今度はギンコが後ろへ飛び退く番だった。相変わらず見開いた眼には、痛覚で刺激された興奮の色が混じり】

………………っはは、やーるぅ。ワリとイタいよ、コレ……
じゃあ何倍返しに、させて、もーらおっかなあ…………!

【またしても地を蹴るのだろう。距離を詰めるため――かと思いきや、今度は、軌道が違う】
【斜め上に跳んだ。逃げ場のないはずの空中へ? しかも、切っ先は未だイストに向けていない】
【ならばこれは何かしらの準備運動であることをわからせるのだろう。宙をはためくコートの裾が、まるで羽のようで】
【だけど落下に任せて毛先を上に向ける銀髪部分だけがウサギの耳のよう。いずれにせよ、人間の動きではない】
【そのまま、いくらか宙に滞在するのだろう。それを隙と見るかどうかはイストの自由だった、獣はそれを、待ち構えるから】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/25(木) 22:51:15.86 ID:eglF3Egj0
>>109

【渾身の銀閃が煌いて、――結果的には彼女に血を流させることには成功した】
【しかしイストの意識は既にそこにはない。掌に残る硝子を砕いたような手応え、眼の前で展開されたそれを、】


 障壁の展開、か。なるほど、これがキミの異能というわけだね。
 興味深い……ふふ、楽しくなってきた!


【思わず、真っ先に楽しんでしまうのが、この女の性だった。砕ける障壁のその一欠片すら"蒐集"せんと、しかとその光景を見届け】
【そうしたならばようやく、ギンコに意識を向けた。反撃が来るかと思いきや後方へ退かんとするその矮躯を、熱に浮かされた瞳が追う】
【夜天に揺れる銀の髪に、月の兎を幻視した。愛らしくも美しくもあり、――油断すれば狩り殺される。その殺気を感じ取って、】

【――ならば輝く月輪ごと、わたしはキミを撃ち墜とす。瞬時に、そう考えた】


 さあ、来なさい。――勝負と行こうか!


【刀を一度、鞘に収める。桜色が舞う。先ほどまで展開していた蔓がするりと袖口に戻れば、次に現れるのは――太い"木の枝"だ】
【べきべきと痛々しくも逞しい成長音を響かせ、その木は肥大し、弧を描き、さらに細く編み込まれた蔓がそれを繋ぐ】
【―― 一瞬のうちに出来上がるのは、木製の"弓と矢"であった。その器用な錬成術は、"植物"でさえあれば変幻自在に操れる、そういうわけか】

【石の鏃を持つ矢を番え――"石"?――、弓を強く強く引き絞る。落下速度を計算して、狙うは彼女の腹の芯】
【そして――ギンコの目が良ければ。ほんの少しだけ、矢の一部であの桜色の粒子が散ったのが見えたかもしれないが、】

【――――手を離すだけの行為に、一秒と時間はかからなかった】
【目にも留まらぬ速度で、太い木の矢が風を切る。狙いは正確、刺されば血みどろ。――闇を穿ったこの一射を、ギンコはどう受け止めるのか】
111 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/04/25(木) 23:09:00.10 ID:W2213yFJ0
>>110

【あなたが楽しいならわたしも楽しい。そうとでも言いたげに、ギラつく笑顔が顔に固定され】
【空に月でも浮かんでいればよかったのに。そうすればそれを背負って、もっと美しく/狂おしくなれたのに】
【いずれにせよギンコと言う女は、楽しむのだろう。命の遣り取り、一方的に奪うのとはまた別の感触】

あっははははァ――――器用だネエイストさん、でもそれじゃダァメ。

【「あたしを撃ち落としたいんなら、もっと速くないと」 ――――転瞬。またもや障壁が展開される、】
【しかしそれは間違いなく防御のためにされたものではないと、わかる。だって射線上に作られていない】
【二枚、三枚。それはギンコの落ちゆく先、落下の軌道上に作られて――――「ばりん」!】

【砕ける音。それはギンコが踏み締めた衝撃で割れてしまった障壁の悲鳴。であるなら、】
【この瞬間、これらの障壁は彼女の「足場」となるために作られたものであったことを明かす。「ばりん!」】
【何枚も何枚も作っては砕いてゆく音。足場にしては飛び移り、足場にしては飛び移り――自由自在に】
【メチャクチャな軌道を描いてギンコは「駆け降りて」くるのだろう。結論としては、受け止めない。避ける】
【放たれた一射とすれ違うようにして――目まぐるしい速度でウサギは地上へ向かってゆく。そうして】

――――――――――首ィ、頂戴なッ!!!

【イストに向かって宙から駆け降りると同時、交差した両腕を解き放つようにして――左右から同時の斬撃】
【まるでハサミで切り落とすような軌道で。イストの首、まっすぐにそこだけを、狙うのだろう】
【夜闇を文字通り切り裂いて二重の銀色が走る。全力を掛けた攻撃、であれば速度も凄まじいもので】

【――――だからこそその後に残る隙は、大きなものになるのだろう。そうして彼女はまた、何も考えていなかった】
【どうして「石」が発生したか。そしてそこで咲き誇った桜色の意味。どうでもいいと思えるくらいには、血が滾っていたから】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/25(木) 23:45:17.23 ID:eglF3Egj0
>>111

【最初の感想は――しまった、とか、やばい、とかそういうものではなく。そういう使い方もあるのね、と。感心の方が強いのが、この女らしかった】
【障壁を足場に兎が跳ねる。空を駆けた一矢は容易くかわされた。間髪入れず、必殺の一撃が首筋に迫る。その、致命の瞬間に――】


 はぁ……。
 いや参ったよ。ギンちゃん、キミ強いなあ。


【――――そう、実を云うならば】
【それをすべて、イストは想定していた。足場にしたのは予想外だったが、障壁で防がれて失敗するぐらいのことは考えていた】
【蒐集家などと容易く自称はするが、それは即ち、ギンコのような凄まじい脅威とも数多くやり合ってきた――そういうことに他ならず】
【ひどく、戦い慣れている。格上に打ちのめされることに慣れている。なればこそ、この女のやることは、常に徹底していた】
【手札を隠し、最後の最後で背後から騙し討つ。――まさに今が、その時だった】


 わたしはキミほど速くないし、力も弱い。
 ただね――身持ちの"硬さ"には、結構自信があったりして。


【左右から迫る致死の刃、まずその右手側を受け止めていたのが、先ほど作った弓である】
【当然、ただの木などで受けられるはずもなく。これまでと違う千種色の粒子を見たならば、弓が――まるごと"石化"している】
【そして右から迫るもう一刃。――間違いなく首に直撃している。ならば何故、この憎らしい顔を貼り付けた首は落ちていないのか】
【首筋が、弓のそれとまったく同じように"石化"しているからだ。いや、剛力ゆえに藍鉄色の岩に刃は食い込み、そこから血が滲んではいるが】
【――生命を絶つ為に必要な血管には、ギリギリ届いていない。イストにとっても、ここは限界の賭けだった】

【"植物"だけではない。ここまで隠してきたもう一つ、すなわち"石化"の異能】
【ここでそれを使ったのは――必殺の後の大きな隙に。滾る熱狂からくるその油断に。滑り込ませる手を用意していたからだ】


 "咲きて"


【呟くのと、納めた刀に再び手を置くのが同時。――"居合"の構え】
【だがそれは、本命であり嘘でもあった。ギンコは気づけるか、抜刀せんとするその姿だけを警戒していたのなら、危うい】


 ―――― "惑彩" !


【斯くして、居合の一閃が放たれるだろう。逆袈裟に、鋭く速く。それは確かに驚異的だ。だがこの呟きは――居合の技に付けた名ではない】
【ギンコの背後の天空。先ほど放たれた矢が、空中で桜色に輝く。矢のなかに埋め込んで込めておいた"種子"が、主に呼号に応じて芽吹いて、】

【――――矢を"苗床"にして。凄まじい勢いで伸び上がった鋭い木の枝が、背後からギンコに襲いかかる!】
【前方からは居合。後方からは枝木の槍。どちらも皮膚を引き裂き臓腑に達する威力はある。その渾身の"挟撃"の結果は――――】
113 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/04/26(金) 00:04:57.65 ID:wiB1p+cK0
>>112

――――――――――え、

【食い込んだ刃のそれ以上動けないさまを、手に伝わる感触で察知した。すれば引っこ抜くしかないのだが】
【それにはまあ時間がかかる。であれば余裕もなくなる――前しか見ていない。そも余裕があったとしても、】
【後ろを振り向けるかはわかりはしなかった。そんなものはイフの話。現実には起こり得ないなら、意味はない】

【だから対応できたのは居合だけだった。「≪パーティ≫、」焦ったような声音で障壁を眼前に作り】
【さらにその向こうに戻ってきた刃で受け止める構え、――――「ばりん」。破砕の音が、鳴ったなら】
【障壁の残滓と散らばる破片に赤色が撒き散らされるのであろう。背後からおなかの辺りを突き刺されて】
【かふ、と息を零した。その中にも血が混じっていた。居合を受け止めた刃から、力が抜けてゆく】

【――そのまま膝を突くのだろう、かと、思われた。けれどギンコはそうしなかった、虚ろな手つきで背後を探り】
【自身に突き刺さった枝を――ぼぎり折って、力任せに引っこ抜く。そうすればまた血が溢れるとわかっていて】
【げほ、ともう一つ、今度は重たい咳を零して――それでも笑っていた。口の端から零れる血の止めようもないのに】

……………………あ゛、っははは、…………しょーがないな、きょうは、

【「ギンちゃんの、負け」。――そう口にするなら、これ以上もう動けないと言うことだろうか。……違った】
【すみれ色にて天を仰いだなら、その視線の先にまたいくつもいくつも障壁を作り出して――それを足場に】
【今度は駆け上っていくのだろう。そうして聳え立つ建物の屋上へ――逃げた。あれだけの傷を負っておきながら】
【だと言うならやはりあいつは人間ではなかった。だけどこれ以上戦えないと判断したのだろう、そういう思考だけは】
【やたら人間っぽかったから――奇妙であった。そういったところも、イストの欲を満たすに足りる怪異たるだろうか?】

【わからないし、わからせやしないけど。今宵残った事実としては――逃げたウサギは「今日は」と宣った】
【ならばいつか来る「今度」を期待しているのだろうと。それを待って、これからもこういう場所で人を殺すのだろうと】
【そういう物語の残滓だけ。――満足してくれるだろうか。してくれなくても。ウサギは、笑っていたのに間違いない】

//ここらへんでしょうか!おつかれさまでした、大変楽しかったです!
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/04/26(金) 00:25:42.05 ID:CcwABreg0
>>113

【掌に感じるのは、障壁を断ち刃と刃が弾けるその手応えだけ。首元に走る激痛に耐えながら、ただ策が成るその時を待ち】
【――その、結果として。イストは賭けに勝った。獣を貫く自らの眷属の姿を見やり、しかし最後までギンコから目を離すことはなく】
【やはり、とそう思ったのが正直なところだ。……この程度で蒐めきれる"怪異"ではない。これまでの手合わせで、それをひしひしと感じていた】


 そうだね。……今日のところは、わたしの勝ちにしておこう。
 キミの行いは許せないけれど――でも今宵の物語は、とても良いものになったよ。

 さようなら、ギンちゃん。うん、経緯はどうあれ、わたしはキミに逢えてよかったと思ってる。
 ――キミをこの手に納める日を、楽しみにしているね。


【継戦不能を察知するや素早く駆け上っていく彼女の姿を、しかしイストは追わない。弓で狙うこともしなかった】
【"石化"が解ければ――首元から少なくない量の血が吹き出す。即死するレベルではないが、すぐに処置しないと病院に付く前に倒れそうだったから】
【傷口を押さえたままの青白い顔で、しかしやはり柔和な笑みを崩さずに、去っていく彼女の背にそんな言葉をかけるのだろう】


【そして――少しばかり経って】


 ………………あ゛ーーー!!!! ヤバかった!!! マジでヤバかった!!!! 死ぬかと思ったあああああああ!!!!


【"蒐集家"という仮面が外れた素っ頓狂な女の叫び声が響き渡ったが、幸いにも聴くものは誰もいなかった……】
【一通り発狂したあと、ようやく傷口の処置を終えると、――取り出したる冊子に、痛みも忘れてさっそくとばかり書き記す】
【首を落とされ息絶えたそのヒトの容姿、顔つき、推察できるすべてをそこに書き残して、確かにこの世界に"在った"ことを証明するのだ】

【――そして、もちろん。そこには恐るべくも美しき、ギンコという名の"怪異譚"もまた、平等に添えられているのである】



/お疲れさまでしたぁ!!
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/04/29(月) 19:19:02.39 ID:w5okkF+10
【酒場】


【ここが何処の国でどんな雰囲気の店かはあなたに任せよう】
【天気も、時間も。星座占いの順位も任せよう】
【ただ、其処にふらっと来た男にBGMだけは任せさせてほしい】

【それとこの男を狙った刺客が約30分後にやってくることは運命づけられている】

【背の高い痩せた男だった。ボサボサの白髪であごひげをはやしていた】
【サングラスを掛けていてわかりにくいが、年は相応、50かもう少しといったところだろうか】
【ジャケットスタイルだがTシャツで、ブーツは編み上げ10ホールで脱ぐのがめんどくさそうだった】
【細身のジーンズの裾を捲って、開いているところに勝手に座るだろう】

来たのは20年ぶりだ

【なんて、冗談を真顔で言う。だって20年前にはここは存在していない。】

いいや、俺が20年後から来ただけさ

【なんて言い返すのだから。質が悪い。変わり者だ。赤マルに火をつけて彼は言った】


/再掲です。よろしければお願いします。
116 : ◆zlCN2ONzFo :2019/04/30(火) 22:38:59.77 ID:zO20mpyW0
【それは、今より遡る事二月以上前になる】
【能動的3分間と呼ばれた、かの櫻州軍港での大戦闘】
【人類有史においては、実にどれほど振りとなるかも解らない、国家間戦闘】
【その幕開けとなったかの戦いの、その前の話】
【この日、天之原将軍家居城より、会談を終えた櫻国三勢力】
【魔導海軍、連合艦隊司令長官蘆屋道賢は、ヨシビ商会社長秘書、馬酔木善弥をその場所へと内密に呼び出していた】


――天之原港、特務艦『橋立』――

「わざわざのお越し、痛み入ります善弥殿」

【少女がその係留された船の、その階段を昇り甲板へと立てば、そこには先ほども居城にて対面した道賢が待っているのだろう】
【軍艦でありながら、武装を持たない、賓客接待用の白い艦】
【各種通信設備と、内装、キッチンスペースは一流の物を揃え一部民間からも引き抜いた乗組員、司厨長はこれも専門の教育を施したまさに海の迎賓館】

「羽織のお召し物をこちらに、ご案内致しましょう」

【白い軍装の男は、恭しくも礼をして】
【その少女を迎え入れ、そして後ろについて案内するのだろう】
【通常の軍艦では食堂、と呼ばれるそこであるが、この船においてはその言葉は当てはまらない】
【一流西洋料理店さながらの内装と装飾】
【まさにレストランを思わせる、各国主賓を招き食事会を催す外交の部屋】
【赤いふわりとした絨毯を踏み、その広間へと入れば、給仕役の乗組員が、これもまた恭しく席へと案内するだろう】
【少女の他は、道賢しか居ない、後は給仕しか居らず、通常乗り合わせている筈の軍楽隊もこの日は見当たらない】

【全く秘密の、静かな食事会の始まりであった】


//予約のです、よろしくお願いします
117 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/04/30(火) 23:29:00.51 ID:gy5jaS5X0

>>116

【天ノ原港・特務艦『橋立』】
【その甲板に降り立ったのは二十歳にもならぬ年頃の少女】

【祖父と居城を出た後に態々着替えて来たのだろうか?その肢体は緋色を基調とした着物に包まれていて】
【礼の言葉を述べられれば少女は少しばかりやつれ気味のその顔に可憐な笑みを乗せる】

いえ、此方こそこのような素敵な場所に御誘いいただいて光栄です
その上貴方自ら案内していただけるなんて!

【心からの言葉、なのだろう。その歩みはどこか浮き足立っているようで】
【きらびやかな内装の船内を物珍しげに見渡しながらも進む姿は腹に何かを抱えた悪女、というよりはごく普通の、その辺りに居てもおかしくない町娘といった様子】
【俗にいうエスコートには慣れてすらいないのだろう。少し戸惑ったような表情すら浮かべて】

【そうして招かれた広間。席へと案内されれば少女は花のような笑みを給仕役へと向けて礼を述べ、席に着くのだが】
【給仕役と道賢の他は人一人いない状況にはたと気づいてしまえば自ずと「此れはただの食事会などではなく、仕事上の会談なのだ」と判ってしまったのだろう。その表情が少し強張って】


/よろしくお願いします!
118 : ◆zlCN2ONzFo :2019/04/30(火) 23:48:46.42 ID:zO20mpyW0
>>117

「さあ此方に、善弥殿……」
「我々海軍士官は、軍服を着た外交官とも呼ばれております故、此の様な特別な艦も運用しているのです」
「ふむ、良い色合いだ、善弥殿はやはり着物は此方の方が良くお似合いです」

【ゆったりと余裕を見せて、善弥を案内する】
【何処か浮かれ気味の少女の様子を、微笑ましげに、そして幾分も優しげな表情でエスコートして行く】
【船内はその照明に至るまで上品な物が選ばれ、やはり軍艦と言う部分を感じる事は無いだろう】
【さながら、洋上のホテルとも言える】
【やがて広間の、これもまた丹念な装飾に彩られ、クロスが掛けられたテーブルと椅子、そこに善弥を座らせれば】
【その対面に道賢が座して】
【そうすれば、直に前菜の真鯛のタルタルが恭しく目の前に置かれ、そして白のシャンパンがそれぞれのグラスに注がれるだろう】

「先ずは、善弥殿先の策におけるお働き、何とも素晴らしき結果となりました」
「全ては、そう、善弥殿のご活躍によるもの、この食事会は言わばほんの礼に御座います」

【善弥の緊張を見透かしたかの様に、こう優しげに言って】
【そしてグラスへ口を付けて】
【如何にも、少女が思う程に堅苦しい場では無い様で、仕事上のとは少々縁遠いのだろう】
119 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/01(水) 00:38:31.32 ID:ln19Vs4k0

>>118

【道賢の言葉に感嘆の息を吐きながら辺りを見回す善弥】
【着物の事を誉められればその頬は薄桃色に染まって。何かしらの気のきいた返しでもしなければとは思えど言葉にならない声が幾つも発せられるばかり】
【社長秘書だなどと大人ぶってはいてもやはり本物の大人の余裕には勝てないのだろう】
【しまいにはごくごく小さな声で、ありがとうございます、とだけ返して】
【その後は豪華絢爛といった様子の内装を見る方に気をやる事にしたようで】
【時折「これ本当に戦艦なんですかね……」「豪華客船というやつでは……」などと感嘆の声をあげつつも広間へと通される】

【そうして着いた席。並べられた前菜とシャンパンに目を向ければその表情は一瞬輝いてしまうが、すぐにハッとなって真面目くさった表情に戻って】
【緊張の面持ち。そんな彼女の緊張を見透かしたような相手の優しげな一言に、緑青の瞳をぱちりと瞬かせ】

ぇ、あ……ま、まぁ、当然ですよ!
なんたって"私の"闇狗部隊なんですから!
【ふふん、とどこか誇らしげな表情。乗せられて少しばかりいつもの調子を取り戻したようで】
【口走ったのは意味深な一言。ヨシビの所有部隊である闇狗をまるで自分だけの所有物であるみたいに発言して】
【そうしてグラスの中身を少し口にして】

本当に、私だって頑張ったんですよー?"彼ら"を"造りあげる"為にどれだけの試行錯誤を重ねた事やら……
【緊張はすっかり解れてしまったのか、再び吐かれる意味ありげな言葉。はぁ、とため息も吐かれて】


120 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/01(水) 01:04:35.89 ID:xwsLot5U0
>>119

【やはり、とも言えるのだろう、この暗躍と謀略の中においても年頃の娘の様な部分が出ている善弥だった】
【それを、道賢はただ優しげに、時に愛おしげに見つめて】

「ほほう、なるほど、流石は善弥殿だ……部隊の運用も差配も手の内と言う訳ですな、素晴らしい」
「……なるほど」
「つまり、闇狗部隊とは、そもそもまともな人間ではない、と?」
「なかなかに、苦労と研鑽の後造り上げられたのですね、闇狗は……」

【少々この問いは悪戯っぽく、そう答える様に問いかけた】
【先ほどからの少女の言を、考えてみるにそう言う事なのだろう、と当たりを付けて】
【人工生命か、あるいは自身も使役する式神の類か、はたまた……】
【真鯛のタルタルを所定のナイフとフォークで口に運び、シャンパンを合間合間に嗜み】
【やがて、二人が前菜を食し終えれば、次に目の前に来るのはスープ・ア・ロニオン・グラティネ】
【要はオニオンコンソメスープのグラタンだ】

「その実力、能力、善弥殿は、そうですな……ヨシビの頂点となり得るでしょう」
「現社長悠玄殿亡き後は、跡目を継がれるのでしょうかな?」

「それとも、その役目は将来の旦那殿、ですかな?」

【ここもまた、悪戯めかして訊ねて】
121 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/01(水) 02:04:22.23 ID:ln19Vs4k0

>>120

ええ、秘書である前に私は次期社長ですから!それくらいは出来て──
────っ!?
【自分を評価する言葉に自慢げに笑って見せる善弥。しかし道賢が悪戯っぽく投げ掛けた言葉にぎくり、と笑顔を固まらせ】
【えぇと……などと発せられた声。数十秒程何かを思案していたようだが】

……妲己様や他の人には内緒、ですよ?
【少しばかり困ったように笑ってそう口にすると、懐から鳥の形に切られた墨染の紙を一枚取り出す】
【手の中の紙へと込められていく魔力。墨染のそれがふわりと浮き上がれば瞬時に黒い小鳥へと変化して】

……これは鳥、ですが原理は一緒です
墨染の紙に魔力を込める事で実体へと変化させ、使役する……ようは使い魔だとか貴殿方のいう所の式神みたいなものですね
【中空で羽ばたくそれを掴んで握り締めてしまえば小鳥だったものはくしゃくしゃの紙屑へと変わって】
【……本来は企業秘密、なんですよ?と口元に指を一本当てて微笑む善弥】
【原理は道賢が察した通りではあるようだ】
【だが、そうであるとするならばこの少女は一人であれだけの部隊を操作していた事になり】
【だとすれば今日やつれ気味であったのも納得がいくのだろう】
【あれだけの数の部隊を操作し、破壊されても怪しまれないように形状を維持し続ける。さぞかし骨が折れた事だろう──たとえ、膨大な魔力を秘めていたのだとしても】

【コースは次へと移る。そうして、話もまた次へと移って】
【いずれはヨシビ商会の社長となり得るのだろうと言われれば善弥は、勿論私はそのつもりです、と頷いて】

お祖父様亡き後は……いえ、お祖父様が一線を退かれたら私が社長となります
伴侶の事は分かりませんが……兎に角そういう事で私達のヨシビは始まった……始まった筈、なんです

……それなのに……お祖父様ときたら……
【不満げに漏らされた声。それだけでも社長と秘書の間の不穏を匂わせて】

122 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/01(水) 04:13:35.00 ID:xwsLot5U0
>>121

「なるほど、やはり式の類でしたか……」

【くつくつと、愉快そうな笑みを浮かべて、動揺して慌てる善弥の様子を、さも楽しげに眺めて】
【そして、実際に墨染の紙を取り出し、それを鳥のように飛ばしてみせたのであれば】
【感心したような表情で、それを目で追い、そして再び視線を善弥へと向けて】

「素晴らしい、式の様でありながら式とは異なる存在とは」
「そうか、しかし、そうであったならば善弥殿、貴女の先程までの疲弊は理解もできるというものだ」
「あれ程の部隊をあれ程の精度で動かしていたのだ、その消耗も負担も一廉のものであったでしょうに」
「誠に痛み入る、本日はゆるりとその疲れを癒すが良いでしょう」
「無論、今見たものは内密にしましょう」

【感心し感嘆し、そしてその功績を称え、莫大な疲労を労う】
【余りにも大き過ぎる魔翌力の消耗と、運用の負担、効果は大きいが、少女の命すら危なかったのではないだろうか】
【やがて、スープが来て、そして話も移れば】

「ふむ、中々に認められず、そして悠玄殿もその席を退こうとはしない?」


【少女の様子から、そう予想して】
【口元を真白な、布巾で拭いながら、しかしいつの間にやら妖しい笑みを湛えながら】
【やがて、スープを食し終われば、また次の料理が運ばれて来るだろう】
【ポワソン(魚料理)の順番だ】
【黒タラのアイオリソース添え、料理が置かれると同時に、シャンパンも新たに注がれ】
【そして、善弥の手元に小さなしかし、如何にも高価な品が収められているであろう、小箱を手渡す】

「果たしてこの状況で言うべきか、渡すべきかは悩まれる、だがこの話の最中であるからこそ、意味があるやも知れませんな」
「開けてみると良い、果たして、どの返答となるかは解りませぬが」
123 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/01(水) 20:51:29.45 ID:ln19Vs4k0

>>122

ええ、そういう解釈で大丈夫でしょう
紙と墨と私の魔力さえ十分ならばある程度は量産出来ますし、本当の人間でもないのでその分のお金も節約出来ちゃいますし、大分重宝するんですよねー
まあ元が紙なんで火や水気に弱いっていうのと量産し過ぎちゃうと私の魔力が大変っていうデメリットはあるんですけど
【感嘆の声をあげる道賢に笑って返す善弥】
【労いの言葉をかけられればその笑顔に更に花が咲いて】

そう言っていただけるとありがたいです……!
……それに引きかえお祖父様ときたら孫が頑張ったっていうのに労いの言葉すらくれないし、休んでたのに引っ張り出されるし……ほんッと人使い荒いって言いますか……もー……
【そうしてぷすぷすと呟かれるのは社長である悠玄への愚痴。少しぼやいて我に返れば慌てて「すみません私とした事が!」などと謝って】

【話はいつしか跡目の事となって】

……認めて貰えない、というか……ええ、勿論私自身至らない所があるっていうのは分かっているんです
以前、自分の愉しみを優先して行った事で少しやらかして……ああ、でも別に会社に不利になるような事は一切していないんですよ?していないんですけど……兎に角、それが評価を落としている
それは分かるんです……分かるんですけど……
私には下手な事をするなと言っておいてあの人だって自分の姿を部下の前に晒したり……闇狗の事だって勝手に部下にばらして……何処から重大機密が漏れるか分からないのに……
それに……認められないというか……最近は軽んじられている気すらしてきて……
【少女は深くため息を吐く】

【そうして次の料理が運ばれてくれば手渡された小さな箱】
【相手の言葉に少しばかり不思議そうな顔をして、小箱を開いて】

124 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/02(木) 00:07:24.15 ID:bwpmM8UQ0
>>99

そうよ。

【霧崎は迷いなく言い切った】

大義を為す。そのためには。それぐらいのことをしなければ。

…新楼はカオス状態です。しかし、真実も其処に存在しているはずです。
貴方方の魔導海軍の件にとっても、なにか得るものがあるでしょう。
決して無駄ではないはずです。


私の元へとはあえて言いません。貴方方には貴方方の為すべき事があるわけですから。
…ですが、力をお借りするときはそう遠くないかもしれません。

その時は―――


【霧崎は何も言わず、ただ頭を下げた。武人としての姿がそこにあった】


正義の為に


【かくして、彼らは新楼市に向かう。時代は動こうとしていた】
【それは望ましい方向へか、それともそうではない方へなのか】
【ほんの小さな変化なのかそうでないかは未だ知れず…】



/だいぶ時間がかかってしまい申し訳ございませんでした
125 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/02(木) 00:08:16.57 ID:bwpmM8UQ0
>>99 >>124追記

/といったところで〆させていただきたいと思います。
/お付き合いいただきまして本当にありがとうございました!
126 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/03(金) 22:04:18.64 ID:OIY7aq3L0
>>123

「ふむふむ、そうか」
「なるほど……通常の式とは、やはり勝手が違うのだな」
「しかし、よくこれ程の数を……馬酔木の術式とは、いや、気になる物だ」

【ひとしきり、花が咲いた様に明るく話す少女に】
【笑顔をそのままで、時に相槌を打って、時に感嘆し】
【そう受け答えするも、彼女の祖父の話となれば一転し暗い顔を見せる善弥を見逃さなかった】
【(やはり、馬酔木の二人には、何かの隔絶がある、それも何か大きな隔たりが)】
【そう認識させるには、十分な材料であって】

【晩餐の席は、まだ続き】

「それはつらい事だ、悠玄殿には君の活躍も能力も、十分に伝わっていないと見える」
「悠玄殿が君の実力を十分に理解すれば、その時は……無論君が名実共にヨシビの頂点であろうに」
「だが……これはどうだろうか?」

【魚料理、しかしそのナイフとフォークを取る事はせず】
【手渡した小さな箱】
【善弥が箱を開ければ、その中には水国の一流ブランドで設えた、指輪が一つ】
【紛う事無き、婚礼の誓いのそれであり】

「商会、海軍、将軍家のこの先の為、とは決して言わない」
「この場でこの様な話など、随分と気の早い事かもしれない」
「この先は、君に選んで欲しい」
「どうだろうか、これは私の……率直な気持ちだ」

「私は君に、婚礼を前提とした交際を申し込みたい」
127 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/03(金) 22:11:02.93 ID:OIY7aq3L0
>>124>>125

「……杉原」
「解っていますよ、軍曹」

【テクノドッグス、黒幕、そこに円卓の介入】
【陰謀が二十三重と巡らされる、新楼の闇】
【霧崎が向かわんとしているのは、明確な獣道だ】

「お供しますよ、霧崎さん、頭を上げて下さい、我々は敵を同じくする者です」
「手を借りねばならないのは、我々も同じだ、戦うときは同じだぞ」

【こう答えて、改めて、その手を取った】
【車は、渦中の新楼市へと向かう】
【この先に出るのは、鬼か蛇か、あるいは魑魅魍魎か】
【状況は、未だようやく動き始めたばかりなのだから】


//では、こちらで〆で、ありがとうございました!
128 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/03(金) 23:26:41.18 ID:gswCKmna0

>>126

【談話と共に続く晩餐。善弥の能力や活躍が悠玄には伝わっていないのだろうと道賢が言えば彼女はふと俯いて】

──元々……

……元々、私の才を見出だしてくれたのはお祖父様だったんです
うちは存外古風でしたし、馬酔木家の跡取りなら兄様だっていましたから娘である私なんて放って置かれっぱなしで
家業である祓魔のいろはだって教えては貰えなかった
そんな私の魔力や才能を見出だしてくれたのは前線に出ていた父様や叔父様ではなくて彼らのエゴで幽閉されていたお祖父様だった
お祖父様のお陰で今の私はあるし、私のお陰で今のお祖父様があるんです
……勿論、ヨシビ商会だってそう……なのに……
【ぽつ、と語られた馬酔木の過去。嘗て少女の才能を見出だしたのは悠玄だったのだ、と】
【ならば彼女にとって今の状況は理不尽なものでしかないに違いなくて】

【手渡された小箱。その中身を見たのならば善弥の顔は喜びと戸惑いの入り雑じったものとなって】
【告げられる言葉。政略か否か、それは不明ではあるが】
【うら若き乙女の心を蕩かすには十分過ぎるもので】
【咲き誇る桜の如き色に上気した頬】
【初夏の湖の色をした双眸は夢見心地にとろんと蕩けて】

ゎた……、私で……良ければ……お願いします……っ!
【やっとの事で言葉を吐き出す】

【──其は蜘蛛の巣にかかるとも知らずに舞う蝶々にも似て】


129 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/04(土) 08:41:07.84 ID:hufxryg00
>>128

【奇妙な晩餐は静かに続く】

「……そうであったか」
「古い考えだが、洋の東西を問わず、魔術師の血統特有の話だ」
「なればこそ、君は悠玄殿に馬酔木本家に誇示すべきだ、誇るべきなのだよその実力を」
「そして、誇りに思ったその先にあるのは……」
「名実共に、君の望む未来だ」
「皆が君を認め、賛美する未来だ」

【やはり、と言うべきか】
【馬酔木の家は、古い魔術師の家系のようだった、加えてそう言った家柄には、跡取りの問題が付き纏う】
【子女の肩身が狭いのもまた、特有の問題と言える】
【女系ともなれば、その分本家の血は薄まる、薄まる率は上がる、古い考えに凝り固まった家柄であれば、やはり避けようとするは不可避で】
【魔術の優劣は血統によって決まる、そう考える者も少なくないのだろう】
【同じく陰陽家、魔術師の家系である蘆屋道賢にも覚えがあった為か、ほんの僅かに表情を濁したのは見間違いでは無いだろう】
【故に、馬酔木悠玄に拾い上げられた善弥の喜びは、また別格の物があったに相違は無く、現状のある種理不尽な扱われ方もまた、一際辛い物があるのだろう】

「この婚姻もまた、悠玄殿も本家の者も、ヨシビ商会とて君を誉とするだろう」
「敢えて言おう、善弥、我が妻よ」
「君を愛そう、この世界の果てまでも」

【指輪を渡し、年頃の奥ゆかしい乙女の如く、恥じらう様に返答する善弥の左手薬指に、その小さな指輪を嵌めると】
【癖の様な独特の、その密やかな笑顔を向けて、そう告げたのだった】


「誓おう、我等に在るのは、この世界を手にした輝かしき未来であると」

【指を絡ませ、手を握り、近付いて抱き寄せれば】
【そっと、口付けを迫るのだろう】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 13:49:43.26 ID:hplBwCVT0
とある桜の木の下で

【春は過ぎたことを彼女はやっと思い出す】
【ただ鮮やかな空に無理やりねじ込ませたみたいな葉桜がその身を風に任せて笑ってくるーー来るには遅かったねと言うように】
【花びら一枚すら残っていない見事な緑が深海の瞳に映るーーでもけして残念そうではなくてーーその姿もまた桜の木なのだと、桃色の唇がふわりと緩む】
【幾度となく踏まれたであろう木の根元の雑草に配慮するように彼女はそこに立っていた】
【陽に晒された髪は天の川みたいにキラキラ輝いてーー薔薇の髪留めがするりと滑るくらいに柔らかでーーそれに同調するように新芽色のワンピースがしゃらしゃら揺れた】
【彼女の気配に気づいた日向ぼっこ中の黒猫がその服と同じ目の色を丸くして逃げ出した】

あ、ごめんなさいーー

【ーー驚かせてしまって。しかし、もう遅い】
【黒猫の背中を見送ったら彼女はもう一度葉桜を見上げたーー葉の隙間から容赦なく刺す日差しに目を細めた。それを別れの挨拶とするように】

ーーまた来年来ますね

【そう、唇が動いたように見えた。ベージュの肩掛けバッグの紐を握りしめて彼女は木に背を向けた】
【ーー瞬間。つやりと薔薇の髪留めが音も立てずに地面へ落ちた】
【風も止んだ今彼女は落し物に気づかないーー】
【このままでは大切なそれに気付かず彼女はこの場を去ってしまうーーしかし誰かが気付いてくれれば、或いは】

//本日空いてる故お相手様募集します
//日常でも戦闘でも
131 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 14:22:47.69 ID:/q2u4W020
【水-氷間急行列車クーラオリエント急行---深夜】

【数か月前から運行を開始した水の国と氷の国を繋ぐ急行列車。】
【VIP向けの車両などもあり内部は綺麗な装飾が施されていて、乗客は全て個室が与えられている】
【窓の外に広がる雪景色も相まって、優雅な旅を演出している―――そんな中。】


                         【ガコン】


【何か、音がした。】
【深夜であるので元から外は暗いが、何か変だ】
【広がっていた雪山が―――黒い=Hそれはまるで狂気の山脈≠ニでも言うかのようなものだった】
【そして列車の中から人の気配が消えている、静まり返った社内には列車の音だけが響き渡っている。】

【ガコン】

            【ガコン】

                                 【ゴトン】



【―――何かが、始まっていた。】
【貴方の選択肢は部屋の外に出るか、留まるか。ただそれしかない】



//ギアさんの方こちらへお願いします!
//よろしければ>>130さんもいかがでしょうか?投下して頂いたところ恐縮ですが


132 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 14:41:37.76 ID:pUZIhJHb0
>>131
【その男がこの列車に乗り込んでいたのは、全くの偶然であった】
【亡き探偵の真似事を始めてそれなりに経ち、UTを失ってそれでも活動し続けてきたギア・ボックスも今の生活に慣れてきた】

【その日もある調査の依頼を受けて成し遂げ、深夜になってからようやく帰る目処が立ち】
【少なくない金を払って、どうにかこのクーラオリエント急行に飛び乗ったのだ】

【生き人形はいつもの一張羅。白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツに黒いスニーカー。胸には探偵の形見、マリアのペンダント】
【肉体無き魂だけの生き人形の身体、服の下から存在を主張する四肢の球体関節。食べられもしないし眠れもしない生活】
【だが、ここ最近は魂の定着の度合いによるものか、睡眠の真似事くらいは出来るようになってきた。個室の椅子に腰掛けて、僅かな微睡みの中にある】


【そんな束の間の眠りは、無惨にも破られた】

……なんだ?

【まず感じ取れたのは音がないことだ。個室の外を時折往来していたはずの足音がさっきからまるでない】
【ふと、窓の外に目をやる。黒い。白いはずの雪山が、闇の中でなお濃い黒に覆われている】

【戸惑いながら立ち上がり、個室のドアから顔を出す。やはり人の影はない】

これは……何か厄介なことになったかな……

【生き人形は、腰に手を当てる。手が腰の中に沈み込む。引き抜く。その手には抜き身のサーベルが握られていた】
【狭い車内でも、サーベルによる刺突ならば対処は出来る。あの大会で、亡きレグルスとの試合にて使った突きの構えを取りつつ】
【室の外に滑るように出て、ゆっくりと歩き出す。何が起きているのか。不安と恐怖を押し殺して、生き人形の探偵ギアは、静かに行動を開始した】

/よろしくお願いします!
133 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 14:53:42.57 ID:qCZlHq0U0
【酒場】


【深夜―――この街じゃ深夜に軽食が取れる場所は少ない】
【ここはバーと言うかレストランと言うか、まあそういう間の場所で】
【仕事終わりだとか暇を持て余した人間が来る】

【ふらっと、その男はやってきた。カウンターの適当な席に着く】

【何時も通りの日常。ぬるいスタウトのビールを頼む、変わったやつがそれを変える】

【正確にはこの男を狙った刺客が約30分後にやってくることで】
【それは、運命づけられている】

【背の高い痩せた男だった。ボサボサの白髪であごひげをはやしていた】
【サングラスを掛けていてわかりにくいが、年は相応、50かそれより若いというぐらいだ】
【ジャケットスタイルだがTシャツで、ブーツは編み上げ10ホールで脱ぐのがめんどくさそうだった】

来たのは20年ぶりだ

【なんて、冗談を真顔で言う。だって20年前にはここは存在していない。】

いいや、俺が20年後から来ただけさ

【なんて言い返すのだから。質が悪い。変わり者だ。赤マルに火をつけて彼は言った】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 15:04:50.82 ID:hplBwCVT0
>>131
>>132

【揺れる、揺れるーー少女らを乗せて】
【少女が乗っていたのは一般の個室ではあったがそれでもその部屋は大変に美しかったーー足を踏み入れた瞬間、VIPルームと間違えたのではと疑うほどに】
【少女は確かに用事があってその列車に乗っていた。済んだのか、済んでいないのかーーさして問題ではないのだけれど。ただの"買い付け"だから。月明かりに浮かぶ雪景色を薄金の髪を梳きつつ楽しんでいたわけでーー】

ーーん?

【丁度髪を梳きおわる頃だろうか。ドアを閉めていたとはいえ薄ら聞こえていた人々の声が無くなったのに気付いたのは】
【揺れる音、聞こえぬ声ーー】
【ざわ、と心臓が騒ぐ。違和感のような気持ち悪さのようなそんな擽ったさを覚えて少女は櫛を仕舞う】
【怪訝そうに深青の瞳が細められ、揺れる床に抵抗しながら立ち上がってか細い指をドアノブへとやり、そっとーー外へと出て】
【自分以外の気配を彼女は感じることができない。ぶる、と身体が震えている】
【誰かーー自分以外には誰かいないか、と物陰に隠れながらもあたりを見回してーー】

//>>130ですがこちらに投下します
//よろしくお願いします!
135 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 15:14:18.72 ID:/q2u4W020
>>132

【やはり列車の内部に音はない、ただ規則的に列車が走行する音が聞こえるのみ】
【―――そもそもこの列車はどこへ向かっている?予定通り氷の国へと向かっているのだろうか?】
【それとも、向かう先は………】



                  【ガチャリ】



【何か、音がした。静まり返った車内では車両ごとの扉の開け閉めも良く響く。】
【ズルリと、前の車両から何かが入り込んでくる。】

【全身をぼろ切れで覆い、わずかに見える四肢や顔はまるでマグマのように赤くひび割れ光っている人型】
【頭上には赤い光の輪があり、右手には鉄パイプのようなものを持っているのが見える。】

【それはユラリと揺れ動きながらギアに近づいていくと、徐に右手の鉄の棒を振り上げてギアの頭へと振り下ろす】
【単純な動きだ、見切るのはそう難しい事ではないだろうが―――】


                【Question?】【―――乗客はどこへ消えた?】


>>134

【少女が見渡せば見えるのは上記のそんな光景―――。】
【人ではないが人に近い姿をした人形と、人の姿をしているが明らかな異形。それが並んでいる。】
【しかもそれらはどうやら敵対しているようにも見えるが】


【しかして何か起きているのかを把握するのは難しいだろう、しばらくは様子を見るべきか】
【もしくは気づかれぬように別の車両に移動すべきか、選択が迫られる。】


136 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 15:32:51.91 ID:pUZIhJHb0
>>135
何だ、これは……この列車は、どこに向かってるんだ……


【思わず口をついてそんな言葉が出た。どうやらまだまだあの探偵には遠い】
【背後で初めてこれまでと違う音が聞こえた。弾かれるように振り向く】

【前の車両から現れたそれを見て、ギアは一歩後退りした。赤いひび割れた四肢と顔。ボロ切れで覆われた身体。頭の上には赤い光の輪っか】

天使にしては、禍々しすぎるよ……

【思わず苦笑すら漏れる。そうしているうちに、そいつはすでにこちらへと向かってきていた】
【右手の鉄パイプが振り上げられ、何の躊躇いもなくこちらへと振り下ろされる】

【サーベルを素早く構え、鉄パイプを受けて逸らす。そのまま、床を蹴って人影から距離を取ろうとするだろう】

(乗客たちは消えた……こいつにやられたにしても、死体すらない……)
(吸収された? それともこいつが乗客の一人?)

【思考が錯綜する。何しろ、この世界では何が起きてもおかしくはないのだ】
>>134の少女には、ギアは気付いていない】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 15:50:56.12 ID:hplBwCVT0
>>135
>>136

ーーおばけ!?

【声にならない叫びが飛び出しそうになる。慌てて口を抑えて物陰の奥の奥へと細い身体をねじ込んだーーたぶん、バレてはいないはず】
【目に映った赤い……おばけ……彼女の脳内ではそう変換ーー表現するのが精一杯だ。口を覆う指先から血の気が引き、凍えるかのように震えだす】
【しかしおばけのほかにもう一人ーーちゃんとみれなかったけど、恐らく"人"がいたのを彼女は見逃さなかった】
【彼の漏らした声もぼんやりと聞こえてきた。ちゃんと喋るということはきっと、あのおばけの仲間ではない。と、そう思いたいと心の中で手を組んで祈るーー刹那】
【頭上に振るは耳に不快感を与えるような聞き慣れない音がーー】

(闘っている……?)

【押し込んだ身体を自ら押し出すようにすず、と半分だけ顔をだすーー予想通り、彼らの戦闘が始まったのだ】
【逃げ出す、という選択肢は彼女にはなかった。確かにどうみたって普通の少女で、力もなくて、怖くて震えていて、どうしようもなかったけどーー】
【そっとワンピース越しに自分の太ももに触れるーー】
【そしておばけの隙を見て、戦う者の力になろうとにじり寄ってゆくのだったーー】
138 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 16:04:47.49 ID:/q2u4W020
>>136

【受け流された鉄の棒は床へと突き刺さり、絨毯のような素材の床は難なく砕けた。】
【徐に放たれた一撃であったが見かけ以上に強力な威力を持っているようであった。】
【異形はゆらりと身体をのけ反らせると、赤く血走った瞳でギアを見てから一気に身体を前のめりにする。】

                     【ドンッ】


【先程までとは比にならない、途轍もないスピードだった。】
【踏み抜かれた床は割れそのスピードを受けた窓ガラスにはヒビが走る】
【そんな異常なまでのスピードで異形はギアへと再び肉薄すると、鉄の棒で今度は胴を叩こうとするだろう。】



             『躊躇はやめたまえ、それは人ではない―――』



【異形の行動の成否に関わらず、突如としてその腕が宙に舞い落ちる。】
【カラン、と鉄の棒は床へと落下して異形は痛みに叫び声をあげるでもなくただ傷口に顔を向ける。】
【腕の切断面からは赤黒い血とは異なる液体が滴り落ちて、床へと到達すれば酸のように煙を上げる。】

>>137


『良い意志だ、ここに招かれただけはあるね。』
『―――いや、もしかすればそう言う事≠ゥ?』


【ふと戦う二体の人外へとにじり寄る少女の背後から声がする。】
【その声は人形を助けに向かう少女の意思を称賛した後、何か考えにふけるような間を置いてから】
【『まぁいい』と言葉を切った。どうやら上記で異形の腕を切断したのはこの声の主のようだった。】


『さて、隙は作った。キミの力を持って彼を支援するといい。』
『それが戦うと決めたものの使命であり辿るべき第一歩だからね―――。』


【男性の声はまるで教授するかのようにそう告げる。】
【確かに異形は武器を持った腕を切断されて、一時的に動きが止まった】
【少女が何かをするなら今だろうか?尤も人形の彼も何かしらのアクションをするだろうが】
139 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 16:25:45.02 ID:pUZIhJHb0
>>138
っ……!!
人間の力か、これが……!?

【いくら脆いとはいえ、鉄パイプの一撃は明らかに常人のものではない】
【その赤い目が向けられ、ギアの魂が戦慄する】

【その時にはもう、赤い怪物は恐るべき速度でギアの前に迫っていた。窓ガラスが割れ、床を踏み抜くほどの。鉄パイプが胴を強かに打ち据え、人形の破片が飛び散った】

ぐあっ……!!

【魂が伝える苦痛に悲鳴をあげるギアは、しかし確かな石を宿した人形の瞳で人影を睨み据えた】
【その眼前で、人影の腕が落ちた。赤黒い液体が垂れ落ち、床が焼ける。その時、ようやく耳にその言葉が届いた】

なんだ!? 誰だ……クソっ! わかったよ!

【ギアはようやくためらいを捨てた。サーベルを構えなおし、全速の刺突を人影の首に見舞おうとする。無論、赤黒い液体を警戒して、ギリギリの距離を保ったまま】

【必死の生き人形は、迂闊にもまだ少女に気付かない。少女が何かアクションを起こすなら、今は生き人形が少女の盾となる形になるだろう】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 16:48:09.70 ID:hplBwCVT0
>>138
>>139

ーーーーーーっ!!

【異型の脅威的なスピードはガラスを割ると同時に少女の柔らかな金髪と薄いスカートを巻き上げた。近くにあった手すりに咄嗟に捕まりその軽い身体が浮き上がってしまうのを防ぐ】
【と、同時にーーやられる!ーーとも思った。しかし助けたい気持ちよりも、それを実行しようとする手よりも明らかに異型のほうが速かったーー】
【絶望。目の前の誰かが攻撃されてしまうーー間に合わない……それでも!一撃を食らったとしても彼が耐えてくれたならーー】
【と、少女が腰を浮かせた刹那ーー】

【舞い上がる異型の腕ーー】

【降り注ぐ知らない声ーー】

【"作られた"隙ーー】

【声の主は誰かわからないし振り返る余裕もないーーしかしそこに隙はできた】
【この瞬間から少女の目に映る全てがスローモーションに見えた】
【きっとそれは気のせいーー誰にだって起こる可能性のあるただの錯覚】
【それでも彼女にとっての必死の攻撃がやりやすかったのは事実で】

【海色の瞳は男の刺突と異型を捉えたーー】

【少女は太ももに括り付けていた銀色の……ただの水筒を思い切りその異型へ向かって放り投げた】
【投げられた銀色は真っ直ぐ飛び、異型の足に当たって叩きつけられて中身が吹き出る】
【中から出てきたのは水。そう、本当にただの水でーーそれが異型の流した液体の上から足元へと満遍なく広がってーー】

捉えてッーー!!

【まき散らかった水が柔く光、瞬間に散らばった液体に被さるように硬く、そして異型を逃さないようにその足へと向かってーー異型が彼女の攻撃を避けなければーー地面から無数に生えた槍のように刺さって動きを止めるだろう】
【動きを止められればきっと彼の攻撃はーー】
141 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 17:06:36.06 ID:/q2u4W020
>>139>>140


【少女が放った硬質化した水は異形の胴へと突き刺さり、動きを止める。】
【無数の水の槍が突き刺さった場所からは赤く煮えたぎるような液体が止めどなく溢れる】
【―――だが、確かに異形の動きは止った。】


【ガキンッと、まるで岩石にでも剣を突き立てたかのような感触がギアの手に伝わるだろう】
【だが確かにサーベルの切っ先は異形の首へと突き刺さりその動きを止めていた】
【―――異形はガクンと身体の力を失うと、その場に崩れ落ちてピクリとも動かなくなった。】


『見立て通りだな、二人とも良い動きだ』


【そして先程声をかけた人物が姿を現す。】
【鉛色の腰まである長髪に銀色の瞳をした20代後半、身長180cm程の男だ】
【全身は飾緒や勲章が幾つも装飾されたネイビーのコート型軍服で包まれており、右手には一振りの騎士剣が握られている。】
【奇妙な事にその左半身は手も顔も肌が水銀のような銀色に染まっており、光沢を放っている。】

【男はつかつかと二人の間へと進むと、満足げに口元を緩ませる。】


『―――だが、どうやらこの異変≠フ源はまだ消え去ってはいないようだ』
『この列車が異変に包まれたのか、それとも』

                  『我々≠ェ異変へと呼ばれたのか』


【男はそう言いながら床へ転がる異形の亡骸から襤褸切れをはぎ取る。】
【異形の顔面はまるで卵の殻のように剥がれ落ち、その下は暗黒が広がっていた。】
【無貌の異形―――それはギアの予想通り乗客が変貌したのもなのか?それとも】

【『キミは心当たりはあるかい?』】
【男は少女へと視線を向けて、感情の籠っていない瞳で見つめる。】

【そうして少女の返答を聞き終える前に進行方向の車両へと進んでいこうとするだろう。】
【ついていくか、ここに留まるか―――新たな選択が生まれた。】
142 : ◆L1hyTPHS6I :2019/05/04(土) 17:26:28.49 ID:WKtE7QYw0
>>133
【酒場】

【空腹に見舞われたため、来れば大抵の時間開いているこの酒場にやってきた】
【その少女は紫の髪と眼をし、黒いキャミソールとグローブとショートブーツに身を包んでいた】
【そこで肉やら野菜やら乗ったプレート頼み食んでいると、近くに座っていた壮年の男が酒をやりながら】

"20年後から来た"

【というようなことをいい出した】
【店内は静かで他に目を引くようなものはなく、なんとなく程度のもので】
【紫煙をくゆらせている男の方に視線を向けていた】

//まだいらしゃったら絡みお願いします…!
143 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 17:37:58.36 ID:pUZIhJHb0
>>140
>>141
!? 誰……いやありがとう!!

【その声を聞いてようやく、ギアは少女の存在に気づいた。当然驚きをもってその事実を迎えるが、すぐ意識を切り替える】
【誰かが目の前で傷付くのが嫌だという彼女の思いは知らずとも、彼女が自分を助けようとしていることはわかる】
【ならば、それに応えなくてはならない。ギアは眼前の怪物のみを見据えて、サーベルを突き出した】

【怪物の動きが止まる。恐らくは少女の力。的確な支援を受けて、ギアの攻撃は通った】

!!? 何だこの手応えは……!?

【その肉体もまた人のそれではないということか。岩石に剣を突き立てたような痺れが魂に伝わる。しかし、少なくとも急所は人と同じだったらしい】
【怪物が倒れるのを見てギアは息をつく。人形の身体なのでその真似だけだが。そして少女に向き直る】

ふうっ……ありがとう、助かりました
僕はUTのギア・ボックスと言います。ええと、貴女は……? もしや貴女もこの列車に乗っていて、これに巻き込まれたんですか?

【サーベルを収納し、努めて穏やかに声をかけるギアだが、そこへ新たな声が振りかかった。ギアはそちらにまたも向き直る】

その声、さっきの……!
軍人さん、ですか? 貴方も巻き込まれた口で……?

僕はUTのギア・ボックスです。貴方は……え、ちょっと!?
うわっ、なんだこれ……顔がない? 虚無を殻で覆ったみたいな……なんだこいつは……

僕たちが呼ばれた? 乗客が消えたんじゃなく、僕らが消えてこっちに引き込まれた、と?
ってもう歩き出してる……いや、こうしていても仕方ないな

【行動の早い軍人の後に乾いた人形の足音を響かせながら続く。その先に何が待っていたとしても、このまま一人取り残されるのはごめんだった】
144 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 17:58:22.29 ID:/q2u4W020
>>143

【後方についてくる二人を横目で見ながら軍服の男は満足げに口元を緩める。】
【次の車両への扉を開ける、どうやらそこは食堂車のようであった。】
【カウンターの奥にある厨房には煙を吹くポッドが見える、まるで先程まで誰かがいたかののように。】
【だが人の気配はない、変わらずの静寂が包み込んでいる。】


『ギア・ボックス………ほう、UTか久しく名を聞いていなかったが』
『だが会えて光栄だ、私は―――そうだな、オッツダルヴァ≠ニでも名乗っておこうか。』


【明らかに偽名じみた自己紹介をしながら軍服の男は歩みを進める。】


『さあて、この列車自体が異界と化したのか私達が異界に飲まれたのかは分からない。』
『ただどちらにせよ先程のような躊躇は命取りだ。善良な心を持っているのは良い事だがね。』


『―――さて、面倒事はさっさと切り抜けるとしようか』


【落ち着いた様子でギアへと返答していたオッツダルヴァは、騎士剣を再び構えながら振り返る。】
【その視線の先、さらに前方の車両から先程と同じ襤褸切れを纏った異形が1体、2体、3体と現れている。】
【オッツダルヴァは退屈そうに息を吐き出すと、虚空へ向けて剣を三回振る】

【その瞬間、新たに現れた3体の異形の肩や胴や首が切り裂かれる。明らかに間合いではないにも関わらず。】
【『さて一気にいくぞ』とオッツダルヴァは呟くと体勢を崩した異形へと素早く駆けていきそのまま幾度も剣を振りながら突破を図る】
【オッツダルヴァが剣を振るうたびに異形の身体は切り裂かれ赤黒い液体が飛び散るがそれも器用に躱していく。】

【二人もそれに便乗してついていけば、異形の多少の攻撃はあるが掻い潜れるだろう。】

//少女さんも同行している流れになります!
145 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 18:26:19.49 ID:RfvXQyZaO
>>144
【彼の笑みの意味を人形は測りかねていた。見立て通りという言葉からしても、まるで自分たちを便利な手駒を見つけたかのように見ているようで】
【しかし同時に、何か今の自分にはわからない大局を見ているかのようでもあった】

【ともあれ、歩みは進める。つい今しがた人だけが消えたような食堂車の様子を訝しむ。しかし、答えが用意されているでもない】

……ええ、もうUTを名乗って動いているのは僕ぐらいかもしれませんね
オッツダルヴァさん、ですか……ええ、こちらこそお会いできて嬉しいです
氷の国の軍人さん、ですかね?

【明らかに偽名としか思えないが、それ以上の詮索はしなかった。今はこの事態の打開が先決だ】

……はい。僕も命は惜しいですからね。もう躊躇いはしません
!! また出てき……な!?

【その軍人の腕がどれほどのものか、その片鱗をギアは見た。自分が少女の支援を受けてやっと一人倒した怪物を、こうも容易く三人も】
【彼も何らかの能力者か。だがそんな疑問など抱く間も無く、彼は走り出す】

【ギアはどうにかオッツダルヴァに続き、サーベルを振り抜いて異形の攻撃を防ぎ、赤黒い液体をかわし、時に少女をかばいながら】
【生き人形は乾いた足音を軍靴の音の後に続かせる】
146 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 18:47:35.00 ID:/q2u4W020
>>145


『たった一人になっても組織の意思を継いで戦い続ける、素晴らしいじゃないか。』
『私は―――さぁ、今はどうだろうね。』


【ギアの問いかけには自分自身でも決めかねているような曖昧な回答をする。】
【何とか三体の異形を掻い潜れば、再び客室が並ぶ車両へと到着する事になる。】
【足早に駆けながらオッツダルヴァは視線を一度窓の外へと向けて、そして立ち止まる。】
【まるで狼のように鋭いその眼は黒くそびえる山脈の奥を見つめている。】


          『見て見ろ、どうやら我々は悪夢の中へと迷い込んでしまったようだね。』



【オッツダルヴァの視線の奥、黒い山脈の奥に見えるのは巨大な山?いや、違う】
【それは巨大な生物の影だった、巨大と言っても山脈より巨大なのだ、もはや常識の範疇ではない。】
【鞘形類のようなその大きな影は身体から伸びる幾つもの触手をうねらせて深い霧の中へと消えていく。】
【その異常をあまり長く眺めてしまえば精神、魂に汚染が生じるかもしれない。】


『さて、どうやらこの先が先頭車両のようだ。いいかい?』


【そうこうしているうちに一行は先頭車両へと繋がる扉の前にいた。】
【オッツダルヴァはドアノブに手をかけながら視線を後方に流して問いかけた。覚悟はできているかと】
147 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 19:05:39.17 ID:RfvXQyZaO
>>146
……そうですね。たとえ一人でも、僕はUTのメンバーです
……ミステリアスな人ですね、貴方も

【ギアもそれ以上の追求はしなかった。彼のうちの迷いが何かは知らないが、そこにはおそらく余人が立ち入れない苦悩があるのだろう】
【そのまま客室へ、さらにその先へ。走り続けていたギアは、オッツダルヴァが突如立ち止まったことで危うくぶつかりかける】

ど、どうしたんですか!? 外……!!!
なん……だよ、あれ……!!

【思わずギアは呻いた。山脈であると、当然のように思っていたものが、あのような】
【巨大な怪物を見たことはあるが、あれほどのものは初めてだった。うねる触手の一本一本が、島ほどもあるように見えた】

【ギアは本能的な恐怖を覚えて目をそらした。こんな世界に長くいたら正気を保てなくなる】
【どうにか己の精神を留めるためにもギアは駆け、今度は閉ざされた扉の前で止まることとなる】

……ええ、いけます

【オッツダルヴァに短く返答し、ギアはサーベルを構えた。己の覚悟など、この冒涜的な世界の中では嵐の中の木っ端に過ぎないだろうと自覚しながら】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 19:40:33.65 ID:hplBwCVT0
>>146
>>147

【自分はただただ普通に買い出しへと向かう途中だった。お店に出す商品の買い付け。どちらかといえば女性が好きそうな香り高いハーブティーだったり、柔らかにかおる香水の材料とか……そんなところ】
【だからオッツダルヴァと名乗った者の『心当たり』の問いには首を横に振った】
【自分のようななんでもない者が、なんの理由で……いや、理由なんてないのかもしれない。本当にただの、偶然で……?】

【少女は名を「フィオです」と名乗った。邪魔にならなくてよかったとギアに微笑み、手助けをありがとうとオッツダルヴァに会釈する】

【水筒をひろって彼らの後ろに付いていく。二人が強いから特にフィオは何もせずに守られてばかりだったのだけれど】
【それでもできるだけの補助はした。役に立ったかはわからないけど、きっと邪魔にはなっていないはずって信じて】
【ーーーーそして先頭車両前。フィオは二人の視線を追うーー目の前にーー】

嘘……山が……動いている……?

【フィオはそれをすぐに『生物』だとは認識できなかった】
【見れば見るほど不気味なそれは見てはいけないーーと自分の中の何かが警告してくるような……そんな禍々しさを放っていて】
【ぐ、と爪が手のひらに食い込むくらいに握りしめる。そうでもしないと泣き出しそうでーー】
【しかし二人の後ろ姿をみてふるふると弱くだが決意をしたように首を振る】
【もう片方の足に装備した水筒に触れ。こんなもので役に立てるかとか足手まといなんじゃないかなんて思いも巡るけどーー】

ギアさん、オッツさんーー
私、絶対に負けませんっ!

【キリと目の前の扉を睨みつけて】
【二人に向かって力強く、頷いたーー】
149 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 19:53:31.61 ID:/q2u4W020
>>147>>148

【二人の答えにオッツダルヴァは満足げに頷いてドアノブを回す。】


【扉が開く―――】
【その先は、列車の中であって列車の中ではなかった。】
【そこは古びた時計塔の内部であろうか、埃立ち蜘蛛の巣がある開けた空間。四方には巨大なステンドグラスと】
【奥にある一辺には時計盤の裏が見える、そしてそのすぐ前にある玉座に腰掛けている人物が一人。】
【深く座り、虚ろな雰囲気を纏うストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった風貌の隻腕の女性だ。】

【女性は三人へと顔を上げて、ゆったりと微笑む。】


―――やぁ、ようこそいらっしゃい来訪者の皆。
中々に面白い夢の中だろう?君達異能者、特に依り代になりやすい媒介≠以て行った結界術式は。

私はマリアベル、深淵渡り≠ネんて呼び名もある。


『ふむ、君の自己紹介に興味はないのだがこの現象の中枢である事に間違いはなさそうだね。』


【『であれば』とオッツダルヴァは騎士剣を構えてマリアベルに相対する。】
【―――聞こえるだろうか】


【ずるずる】   【ずる】ずる


                          【何かが這ってきている】
150 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 20:02:26.22 ID:qCZlHq0U0
>>142
/すみません、離席してました…
/今からでもよろしければ是非お願いしたいです!
151 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 20:05:11.83 ID:RfvXQyZaO
>>148
>>149
【彼女の挨拶には、「よろしくお願いします、フィオさん」と笑顔で返した。それは、魂だけの人形になってしまった上にこの狂った世界に迷い込んだ身として】
【己の正気を保つための防衛行動でもあったのだろう。本来なら彼女の謙遜になおも恐縮しているところだが、この状況ではそんな余裕すらなかった】

【フィオの援護にまたも助けられて、オッツダルヴァの力に舌を巻いて。だが、そうしてばかりではいられない相手が扉の向こうには待っていた】


今度はなんだ!? この構造、時計塔か……?
空間の繋がりがめちゃくちゃだ……

……凝った玉座だ。お前が黒幕か
全く面白いよ、風邪を引いた時に見る夢の部類だけど

その言い草だと、僕らを狙い撃ちにしてやったわけか
何のつもりか知らないけど、こっちは深淵に沈む気は……

【どうにか虚勢を張ってサーベルの切っ先をマリアべルに向けたギアの言葉は途切れた。その不気味な音を聞きつけたからだ】
【オッツダルヴァやフィオの死角をカバー出来る位置に陣取ると、四方を素早く確認する。音の出どころはどこだ。何が迫ってきている】

【人形の身体では冷や汗も流せないが、この時ばかりはその方がありがたかった。魂は恐怖と戦い続けていたから】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 20:27:10.94 ID:hplBwCVT0
>>149
>>151

【隻腕の……黒幕のオーラを纏う女性にも対して態度の変わらないオッツダルヴァ】

【人形ーーフィオはまだ気づいていないがーーの恐怖を反映しない身体のギア】

【ーーそれとは対照的に。フィオの冷や汗はポタポタと涙みたいに顔に伝い、垂れ落ちて】
【涙じゃないからたくさん目に入ってしみるはずなのに瞬きもできない。フィオはもう目の前の虚ろな女性から逸らすことができない】


(ーーなんて言った?)


【媒介。彼女はそう言った】
【偶然……だと思っていた。自分がなぜかここにいるのも、巻き込まれてしまったのも】
【本来ならもう今頃目的地についてゆったりしていたはずなのに】

【『フィオ、お前は……いろんな……僕が思いつかないくらいの大きなものの媒介になりやすい体質だから』】

【亡き父親の声が頭に響くーー】

【『気をつけなさい、捕まらないようにね』】

ーーーーわ、私のせい?

【小さいながらも引きつった声、それはオッツダルヴァに聴いているのかギアへの質問なのかそれともマリアベルと名乗った女性に答えて欲しかったのかーー】
【なにかの這う音すら耳に届かないくらい、フィオの思想はぐちゃぐちゃに掻き回されてーー】
153 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 20:35:19.08 ID:WKtE7QYw0
>>150
//お願いいたします!
154 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 20:35:53.36 ID:/q2u4W020
>>151


【ずる】


     【ずる】

                      【ずるり】



【気が付けば、時計盤以外の三方にあるステンドグラスに外側から何かが張り付いている。】
【それは触手だった、数十メートルにも及ぶかという巨大な触手がこの空間を取り囲もうとしている。】
【オッツタルヴァはその光景を横目で見ながら口元を緩める】

【そして、二人へと視線を流す。】


『二人とも、飲まれるな。』
『彼女が言うようにこれは人の精神に感応している悪夢のようなものなのだろう。』
『故にこちらが反応すればするほどに相手の思うつぼだ、付き合う必要はない一撃で決めるぞ。』


【『マリアベルとやらに一点集中しろ、周囲は私がやる』】
【そう言うと今にもステンドグラスを破らんとする触手に視線を向けてオッツタルヴァは剣を構える。】


【ずる】


      【ピシリ】


                                【ガコン】


                
                            【ガシャァァァァァッッッン】



【一呼吸のあと、触手はガラスを突き破り濁流のように内部へと流れ込む。】
【触手には無数の眼がついておりその一つ一つがギョロギョロと動き回る。】
【オッツタルヴァはそれに向けて高速で剣を幾重にも振る。】
【流れ込む触手は一瞬で細切れになり、それを踏み越えるように次の触手が流れ込む。】

【すかさず刃を振るうが、オッツダルヴァの体力がどこまで持つのか―――】
【ただ一点、触手が流れ込まない時計盤の前に座るマリアベルへの道は開けたままだ。】
【マリアベルはただ微笑んでいる、まるで児戯を見る母親のように。】


【オッツダルヴァの言葉を信じ、ただ一撃に全てを込めるべきか否か。】


【彼は二人に背を向けて斬撃を放ち続けながら視線だけを後ろへ向ける。】


『フィオくんと言ったか、それはきっと違う。キミの体質がどうあれこの結果はなるべくしてなったものだ』
『だがそこに自責の思いがあるのなら―――ただ前へと進め。』


『ギア・ボックス、彼女の道をサポートしてやれ。』

【『任せたぞ』とそれきりオッツダルヴァは口を開かなかった。】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 20:40:33.34 ID:f+x56qfE0

【深夜――】

【不気味な靄が微かに烟っていて見通しは利かない。気まぐれな風が木々を揺らす喧騒だけが、唯一確かなものだ】
【その"怪異"は森の奥深く、獣道を掻き分けて進んだ先でようやく見つかった。月よ陰れとばかりに天へと伸びる古塔の廃墟である】
【そこら中に崩れた煉瓦が散乱し、雨でも降ればすぐに倒れてしまいそうなほど頼りなく――それでいて、それは小動もせずそこに在った】

【春の陽気も消え去って、冷たく張り付くような空気が漂うその場所に、ひとりの人間がいる】


 ………。さて。
 どうするかな、ここから。
 

【それはすらりと背の高い、二十代半ばぐらいの女である】
【白いジャケットに深紫色のインナー、黒いレギンスに赤褐色のブーツ。腰には大小多くのポーチが付いたベルトと、活動的な服装】
【桜花の柄の腰布とハーフアップに編み込んだ髪を留める二本の簪、左腰に佩いた緑鞘の刀が、桜の国特有の風情を醸し出している】
【淡く月の光と同じ色を差す長髪は、毛先へと流れるにつれ鮮やかな新緑の色へと彩りを変えており――】
【深紫の瞳は優しく抱く宵闇のようでもあって、しかし丑三つ時の澱んだ闇よりまだ深く、見通しきれない何かを秘めていた】

【女は塔の入り口らしき部分の脇にしゃがみ込んで、ごそごそと何かをやっているようである】
【――その足元にあるのはヒトの死骸だ。恐怖にまみれた表情のまま命を失くした肉塊。飛び散った血は、未だ新鮮なままだった】


156 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 20:52:41.60 ID:pUZIhJHb0
>>152
>>153
……フィオさん。貴女のことは会ったばかりで何も知らないし、狙われる心当たりがあるのかもわかりませんが
単純に考えましょう。貴女にどんな事情があったとしても関係ありません。悪いことしてるやつのせいに決まってるでしょ

【そう言いつつも、流石にギアの身体はカタカタと乾いた音を立てて小刻みに震えていた】
【仮初めの器に魂だけの存在であるギアは、こうした精神に関わる力の影響をモロに受けてしまう】
【必死に視線を、意識を、眼前の敵一人へと固定する】

長引くほど、こっちの不利ってわけですか……わかりました
やってやりますよ。フィオさん、酷ですが今は全員でやらなきゃ勝てません。僕が先行します。続いてください

【精巧な人形の歯をギリリと噛み締め、ギアは身構える。ガラスが破られる音も、背後のオッツダルヴァの剣撃の音も、全て頭から締め出して】
【鋭く細く。狙うはマリアベルの心臓一点。サーベルの切っ先を向ける】

―――!!!

【無言の気合いと共に、ギアの靴底が破裂し、巨大なスプリングが飛び出した】
【その勢いでギアの身体はマリアベルへと飛ぶ一発の弾丸となる。サーベルを刺突の形に構えたまま、一直線に。回転しながら飛ぶ様はライフル弾の如し】

【マリアベルの視線から、フィオを庇う軌道だ。何の妨害もなければ、そのままマリアベルの胸の真ん中を刺し貫けるはず】
【当然、何の妨害もないはずはない。己の目立つ動きが、フィオのための囮となれば充分だと、そう考えて】

【捨て身の一矢の成否は果たして】
157 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 21:00:38.08 ID:qCZlHq0U0
>>142

【ただそんなことを急に言ったところで誰もが冗談としか捉えず】

『じゃあ、明日のサッカーの結果を教えてくれ』

【だとか、そんなようなことを聞くわけだが】

20年も前のことを覚えてるか?マニアならまだしも、そんな細かいこと覚えちゃないよ

【煙草を吸いながら、彼は笑う。「それに」と付け足して】

もうすでに俺の知っている歴史とは違うかも知れないんだ。SFは好きか?
連鎖的に時間ってものは変化するんだよ。

【なんて預言者だとかそういうたぐいのペテン師がみな言う似たような理論を口にして】

だが、歴史が変わってなけりゃ…ここの店の名物のガーリックシュリンプは
先代のおやっさんの好物で、代替わりしてからは売ってないはずだ。あんたが甲殻類のアレルギーだから。

【ありきたりな会話は、酒場でのマナーみたいなものだ。100回同じ話をして、同じオチで笑う】
【15分後に刺客が来るという未来はイレギュラーだが、まだ誰も気づかない】
【少女の視線は目ざとく気がついているが、彼は何も触れなかった。見られたぐらいで難癖つけるほど若くない】

/よろしくおねがいします!!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 21:13:59.28 ID:hplBwCVT0
>>154

きゃぁあぁッ!!

【純粋な驚きだった。思考に必死だったフィオはガラスの割れる音にこれでもかというくらいに驚いて】
【悪夢みたいな触手に、絶望してーー】
【飲まれるなとオッツダルヴァに言われたばかりなのにもう、あと人差し指でツンと押して仕舞えば飲まれてしまいそうなほどーーでも】

なるべくして……

【ぼやりと言葉を繰り返す】
【「お前は悪くない」っていわれたふうに聞こえたのならちょっと大袈裟なのかもしれないけれど、元々前向きなフィオだーーこの二人を巻き込んだのは自分のせいじゃなく、目の前にいるマリアベルなのであればーー話は別だ】
【ぱち、と両頬を叩けば戦ってくれているオッツダルヴァの背に向かって明るく、言い放つのだろうーー】

オッツさん、私、彼女に話つけてきます!!


>>156

【出会ったばかりの、まだ名前しか知らないギアの後ろについたーー】
【ーーあ、この人も怖いんだーーなんて妙に落ち着いたもんだから彼の震えが、恐怖が、伝わってきちゃって】
【それでも前へ進む彼の後ろを、先程開けた水筒の残りの水でーー水晶で応戦し】

【禍々しい空間に星みたいにきらきら散る水晶ーーやがてそれはマリアベルへ続く道になる】

ギアさんのいう通りです
悪い人が悪いんです!だからこの悪夢だってすぐに覚ましてーー

【もう片方の水筒を開けて投げればクルクルと綺麗に回転しながら針みたいに細いクリスタルが無数に出来上がって】

私たちみんなでお家に帰ります!

【弾丸のギアを援護するようにそのクリスタルはマリアベルへと向かって燕みたいに飛んでいくーーある程度の妨害なら弾くことができる……かもしれないがーー】
159 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 21:26:56.49 ID:/q2u4W020
>>156>>158


【弾丸のように、流星のようにマリアベルへと駆けるギアボックス。】
【それを援護するかのように無数のクリスタルを放つフィオ】
【マリアベルはその二人の攻撃に対して身じろぎすらしない、ただ口元を緩めて呟く。】


                 ―――正解♪


【そしてなんと二人の攻撃はマリアベルの身体と彼女の座る玉座を通り抜けてしまう。】
【そのまま時計盤へと突き刺さるだろう―――そして、その一撃がトリガーとなったのか】
【ガコンッと、時計盤が動き始める。】


【マリアベルはその様子を満足げに見てからオッツダルヴァへと視線を向ける。】


さて、かくして止まっていた時は動き出した。これでもういいんじゃないかい?


『―――やはりそう言う事か、全ての中心はキミではなく私か。』


ああ、そうだよあの日に死んだ君の怨念とも言うべき意志が働いた結果さ。


【まるで答え合わせをするように二人は会話を始める。】
【いつしか触手の侵攻は止っていた。オッツダルヴァは項垂れた様子で視線も定まっていない。】

【周囲へと視線を向ければ、この時計台の空間が徐々に崩れ始めている。】
160 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 21:33:23.91 ID:WKtE7QYw0
>>157
【香辛料の効いた骨付きの肉を綺麗に食べ終わると、近くに備えられたテーブルナプキンで口を乱暴に拭きカウンターの上に転がす】
【席から降りると視線を向けていた男の方に近づいていき、席を引き改めて男の隣に座る】

【別に立ったままでも良かったのだが、身長が152cmしかないため見上げて話していてはあまり格好がつかないと思ったのだ】

お話してるところ申し訳ないですね。
重ねて不躾ですが、なぜ未来から来たというお話をしようと思ったのですか?

【と言葉通り不躾でしかない質問をする】
【その目には茶化そうなどという感情は宿っておらず、純粋に疑問に思っている目をしている】
【だが純粋であればいいなんてことは一切なく、それ故に寧ろより悪いこともある】

【それを聞き少女は男と同じ方向を向いた】
161 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 21:34:20.81 ID:WKtE7QYw0
>>157
//よろしくお願いします!
162 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 21:40:36.88 ID:RfvXQyZaO
>>158
>>159
【眩いばかりに輝く水晶たちは、こんな時でなければ見とれていたくらいに美しかった】
【そんなクリスタルの群れと共にギアは飛ぶ。悪夢を払うため。だか】

な……!!?

【伝わった手応えにギアは絶句した。本人はおろか玉座すらにも触れ得ず。決死の攻撃は、むしろ何かの引き金を引いていた】
【即座にサーベルを時計の文字盤から引き抜いたが、すでに「時」は動き出していた】

なんなんだ……何を言ってる!?
オッツダルヴァさんがもう死んでる……?

!! 空間が……クソっ!! とにかくここにいちゃまずい!!
フィオさん、早く引き返すんだ!! オッツダルヴァさんは……

【ギアは叫びながら振り向き、入ってきた扉へと駆け寄ろうとする】
【フィオにはそう言うが、オッツダルヴァに対しては二の句が告げなかった。マリアベルの言うことが真実ならば、彼は恐らく戻れない】
【躊躇えば終わりだ。しかし、先ほど会っただけとはいえ、共に戦った彼を見捨てるのか】

【その逡巡も、恐らくは無意味なのだろう。いつも残酷極まるこの世界においては】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 22:03:06.59 ID:hplBwCVT0
>>159
>>162

なっーーーー?!

【すり抜けたクリスタルはパンッと音をたてて無残にも散る……】
【いや、散るだけならまだよかった】
【これを表現するに一番近い言葉はーーやらかしたーーだろうか?】
【先程までとは違う明らかな変動ーー止まる触手に、訳のわからない二人の会話】

な、なに?どういうこと?

【さっきまでの威勢は何処へやら、狼狽える瞳が揺らぐーーここで泣き出して周りの大人がなんとかしてくれるような本当に何もわからない赤ん坊だったらどんなに楽だったのだろう】
【もちろんフィオは何をわかっているわけでもない。それこそ赤子のようにーーでも《まずい》というのだけはハッキリわかっている。嫌というほど、感じたことがないくらいには】

【崩れ出す時計塔に後退り、駆け出すギアにわたわたと付いて走る】

【ーー何がどうなっているの!?と自分の声が頭に響く】
【抗うように、もがくように逃げるーーが、その歩みを止めてしまう者がそこにはいた】

オッツさん……っ

【項垂れた姿に思わず足を止める。なんならよろよろと駆け寄ってーー駆け寄ったつもりだけど駆けてるように見えない足取りでーー】

逃げましょう、危ないです、やられちゃいます!!

【服を掴んで、引っ張ってみる。先にいるギアのもとへ二人で行こうと、項垂れる彼の裾を、今出せる力いっぱいにーー】
164 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 22:03:35.01 ID:qCZlHq0U0
>>160

【男は急に少女が隣りに座っても驚かなかった】
【まるでこちらに来るのが見えていたかのようだった】

…天気の話をするよりかはずっとマシじゃないか。
それより、何だ?今の話、信じるのか?

【ふっと笑って。店主に声を掛ける】

店主、嬢ちゃんにジュースでも出してやってくれ

【店主は待っててくれとバックヤードに消えた。すると男はサングラスを外す】
【その目は赤かった。白であるべきのところが真っ赤で、血のようで】
【瞳は真っ黒だった。不気味でそれでもどこか美しい】

………良くないことが起こりそうだ。離れていてくれ

【しゃがれた低い声を更にワントーン落とし、彼はそうつぶやいた】
【右手でタバコの火を灰皿に押し付け、もみ消して】
【彼は懐からゆっくりと、カウンターのしたで隠すように腰の拳銃を抜いた】

【44口径のような大型のそれ、シルバーは薄い赤みを帯びていて】
【美術品のような美しいエングレービングが全体に施されていた】
【それの撃鉄を、音を立てないように、ゆっくりと起こした】


【3分後、入り口から入ってくる2人組は入ってくるなり、男を見つけると】
【手にした拳銃を彼に向けるだろう】
165 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 22:16:23.94 ID:/q2u4W020
>>162


『―――それでいい、ギア・ボックス。』
『私に構うな、私は既に櫻州≠ナの戦いで敗れ死んでいる。ようやく思い出したよ。』
『だが道半ばで斃れた事や氷の大地へ戻ると言う怨念が水と氷を結ぶこの列車に取り憑いたのだろう。』


【オッツダルヴァは全てを悟ったように崩れ行く天井を見上げながらそう呟く。】
【もしギアが数か月前に櫻州≠ナ起きた出来事を知っていれば彼の顔にも見覚えがあるかもしれない。】
【彼は一歩も動こうとはしない。】

『そして生き人形≠ナある君と媒介体質≠ナあるフィオ君の二人が偶然乗り合わせた時』
『二人を依り代としてこの異界を作り上げたという訳か。』

―――そ、まぁ私がより意識を定着させやすいように少し術式を加えてるけどね。
中々いい悪夢が見れたよ、おかげで物語≠烽ワた少し揃った。

そして―――君たちの力によって彼の止まった時は動き出した。であれば
この空間も時期に終わる筈さ、私の術式も時計盤に連動させてあるしね。


【マリアベルはまるで舞台監督のように身振り手振りで説明しながら脱出しようとするギアとフィオを見る。】

>>163

【フィオに強く引っ張られるがそれでもオッツダルヴァはびくともしない。】
【だが視線を上げた彼はどこか満足げでフィオを見ると、彼女の頭を撫でようと右手を向ける。】

『いや、もういいんだ。私は既に終わった者だ今更どうにもならない。』
『ただ最期に君たち二人の前へ進む意思を見れただけで充分だったのさ。』


『付き合わせてしまってすまない、願わくば君のような子供が戦場に出ないような世界になるように』
『―――全ての子供に幸があるように、願う。』


【それだけ言うとドンッとフィオの背中を強引に押してギアの方へと突飛ばそうとする。】
【『彼女の事は任せたぞ、ギア・ボックス。勇敢な戦士』そうギアへ視線を向けると時計盤の方へと歩きだす。】



【時計塔の崩壊は止らない、オッツダルヴァの姿も瓦礫の中へと消えていく。】

【マリアベルは最後まで微笑みを浮かべたまま左手を掲げて指を鳴らそうと構え、そして―――。】


                    夢は終わりだ



                      【ガコン】




【―――】
【―――――】
【――――――――】


【気が付けば二人は列車の中、自室にいつの間にかいるだろう。異変が起きる前と変わらず。】
【耳を澄ませば部屋の前を行き交う足音や隣の部屋の話し声が聞こえてくる、そして】
【窓の外にも白く澄んだ雪山が広がっている。】

【もし廊下へと出て見れば二人は出会うかもしれない、何故なら二人の部屋は隣りあわせだったのだから】
166 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 22:37:28.60 ID:WKtE7QYw0
>>164

ええ…そうですね、うまく言語化できないですけど、信じて話を聞いてみたいと思いましたね…。

【自分の言葉を自分で確かめるようにやや伏し目がちになりながら言葉を答えた】

ありがとうございます。

【バックヤードに消えていくマスターを目で追いながら言う。もちろんご馳走になったことへのお礼である】

あ、マスター料理美味しかったです。

【背中に向けそう言葉を発した】

【サングラスを外した男の目を見る。眼というのはそれだけで印象的なものだ】
【それは多分生物の本能に根ざしたものなのだろう】
【この少女は人工的に造られた人間だが、構造は同じなので同じようにそういう感情を持っている】

【その眼は殊更に印象的なものだった】
【本来であれば人の眼というのはそんなにじっと見るものではないが】
【それも忘れて思わずじっと見てしまうような…】

【何かに気付いたように再び見ていた方向に向き直る】
【その後男の言葉を聞き】

わかりました。

【と短く答え、席を立ち壁際に寄る】
【その後僅かに静かな時間が流れて、入り口から男の二人組が入ってきた】
【その二人組は入ってくるなり拳銃を構える】

【少女は驚かなかった。良くないことが起こると今席を共にしていた男が言っていたのだから】
167 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 22:41:43.61 ID:pUZIhJHb0
>>163
>>165
櫻州の……そうだその声、その顔……貴方まさか、あの件の氷の国軍の……!!

【ギアもあの件の情報は、ニュースやカニバディールとの情報共有によって知っていた】
【そして全てを悟る。やはり彼は死者であり、彼とはここで別れねばならないのだと】

たまたま、僕とフィオさんがそういう存在だったから……そういうことですか

マリアベルとかいう女は、何が目的かは知らないけどそれを助長した……
お前は気に入らないけど、ここから戻れるなら今回はもういい。出来れば二度と会いたくないね

……オッツダルヴァさん。いや、「テルミドール」さん。ほんのひと時でしたけど、共に戦えて光栄でした

【出口を確保しながら、ギアは芝居掛かったマリアベルを無視し、オッツダルヴァに、いやテルミドールに氷の国式の軍礼をすると】
【テルミドールに送り出されただろうフィオを促して先に出そうとする。任せたと告げられた言葉にはただ頷いて】
【ギアは崩れ去る夢の世界を後にするだろう】


…………。ひどい悪夢だ

【ギアは戻ってきた自室内でそう呟いた。降って湧いた一瞬の、されど濃密な悪夢。夢から醒めても、この先つきまとうだろう記憶であった】
【白い雪山を確認して、周りの人たちの音を聞いて、まずは戻ってきたことを実感し。ギアは部屋の外に出た】

【もしフィオと鉢合わせたのなら。何とも複雑な表情で、彼女に改めて現実での挨拶をするだろう。奇怪な戦いを共にした戦友として】
【そして、窓の外の雪山を再び見やると、静かに目を閉じてテルミドールへの黙祷を捧げた】
168 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 23:00:06.89 ID:qCZlHq0U0
>>166

それが、良くない未来だったとしても?

俺は信じたくなかった。あんなクソッタレな世界が俺たちの結末だとな
だから、戻ってきたんだ。…世界をやり直すために

【彼の目は複雑だ。憂い、悲しみ、後悔のような悲哀と希望が入り交じる】


……いい子だ。

【入り口はカウンターの左側で、彼は跳び上がるように、カウンターから席を立った】
【2人組が拳銃を向けるより早く、彼はリボルバーを撃ち鳴らした】


<Bang!!>


【弾は2発で十分だ。無駄な銃声は起きず、彼の放った銃弾は2人の刺客の脳天を撃ち抜く】

【だが、それだけじゃない!】

【テーブル席で新聞を読んでいた男が立ち上がる。手には同じような拳銃を持っていた】


―――クソッ!!


【男は咄嗟に、腰に左手をやる。男はもう一丁のリボルバーを引き抜いた】
【黒色の対になるようなそれの撃鉄を起こしながらもうひとりの刺客に向ける】

【だが、その時バックヤードから店主が戻ってくる。】

【手に水平二連式、ロングバレルのショットガンを構えながら】

【キチリ。店主が構えた銃口の先に男を捉えた】

169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 23:03:46.80 ID:hplBwCVT0
>>165
>>167

【頭を撫でた手は、優しかった】
【今日会ったばかりで、なんなら名前だって偽名で、フィオは何一つ彼のことを知らないと言っても過言ではない】
【でもそれでも滲む泪は抑えられなくてーーポロ、と一雫。落ちた泪はキラリと水晶に変わって床に落ちたーーそれは彼女が使える魔力の限界を意味していて】
【押された背中、抵抗もなくギアのもとへと向かわせられーー促されるまま、現実へと向かう】
【最後にちらりと振り返って、ギア越しに二人の姿を見れたのか、見れなかったのかーー】

……私のバッグ……

【本当に唐突な戻り方だった。ドラマチックな演出があったわけでも、体を劈く痛みがあったわけでもなく、ただ当然に、ずっとそこに居たかのように立っていて。人々の声も聞こえてきて】
【安堵ともう一つ、よくわからない感情が込み上げてほろほろと目から水晶が零れ落ちる】

制御できなくなってる……

【そう言って列車の、豪奢な椅子に座って心が落ち着くまで一人で座っているのだろう】
【そうやって落ち着いて、列車も無事に目的地に着いて降りる時にでもギアと鉢合わせてーー「怖い夢でした」なんて強がってーーやがて目的地へそれぞれ向かうのかもしれないーー】
170 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 23:07:37.46 ID:/q2u4W020
>>167>>169

【時間にして経過したのは数秒程度のようであった。】
【本当に夢だったのか、いやそんな事はきっと二人は分かっている筈だ。】

【―――そうして列車は進んでいく、その先に何があるのかも知らぬままただ真っすぐに。】



【異界列車=\――終幕】


//お二人ともありがとうございました!
171 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 23:14:01.82 ID:pUZIhJHb0
>>169
>>170
【もともとのギアは小市民だ。だから人の心に踏み込む術など持ってはいない。フィオの抱える闇をどうにかすることは出来ない】
【だからせめて、フィオが了承するなら彼女に名刺を渡すだろう。「探偵の真似事をしてるんです。何か困ったことがあれば、協力しますよ」。そう言うのが精一杯だった】

【異界で体験した出来事、あれが何だったのか。闇の中に隠れた事実を知る時は来るのか】
【わからない。だから、また進み始めるしかない。フィオと別れれば、ギアは歩き出す。闇に包まれた未来へ向けて】
【あの戦いに恥じないよう、立ち止まらず進むのだと自分に必死に言い聞かせながら】

/お二方、長時間ありがとうございました!
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 23:26:12.00 ID:hplBwCVT0
>>170
>>171

探偵って普通そんなにお強いですぅ?!

【なんて声が響いたのは言うまでもない】
【ペコペコしながら名刺を受け取り、私からもと渡されたのは彼女の経営するハーブ専門店《LIORO》のパンフレット】
【もし興味があれば……プレゼントとかにも……なんて言いながら恥ずかしそうに手渡ししーー】
【また機会があれば会えるといいですねーーそう言ってフィオレンティナは微笑んだ】


【やがて目的の物を手に入れたのならば、彼女はまたその列車にのって帰るのだ。今度はきっと何もなくーー】

//初ロールでしたが大変楽しかった&勉強になりました!
//お二方ありがとうございました!
173 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 23:27:05.36 ID:WKtE7QYw0
>>168

【男の言葉を、表情を見】

そうですか…どんな未来も信じることから始まると思いますから…。

【伏し目がちになって僅かに俯きながら答えた】

【店内の新聞を読んでいた者が銃を構えた時点で咄嗟に反応していた】
【少女は壁際に寄ったときから備えていつでも戦闘態勢に入れるよう準備していた】
【だからそれは殆ど反射のようなものだった】

【少女の身体が筋力だけを由来にしている速度とは明らかに逸脱した速度で銃を構えた刺客へと一直線に突っ込んでいく】
【それは比喩ではあるが弾丸のような勢いで】
【そしてその勢いを足裏に乗せて刺客の胴体ど真ん中にめり込ませる】
【椅子とテーブルを激しくひっくり返しながら吹き飛んでいき】
【壁にヒビを作るほどの衝撃で激突する】

フゥゥ…

【呼吸を乱さないために整える呼吸を発しながら、すぐさま周囲に警戒を張り巡らせる】
174 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/04(土) 23:46:35.69 ID:gbipCJ3F0

>>129

だからこそ……ですか……

私は……お祖父様を見返してやりたい……
失敗だって取り戻せるんだって、私こそがお祖父様の後継者として相応しいんだって認めて貰いたい……
私は父様達とは違うんだって証明したい……
【その為だったら、と呟かれた声。固い意思の現れで】

【渡された指輪。ついととられた左手のその薬指、小さな指輪が嵌められれば少女は「ほんと、ですか?」と小さく尋ねる】
【本当に祖父に誉れとして貰えるのだろうか?そうなら良いのに】
【この世の果てまで愛してくれるだなんて、夢みたい、だけれども】
【そんな想いをその一言に乗せて】

……ええ、何処までも、御伴致します、道賢様

わたしの、いとしいひと──

【とられたままに絡められた指。重なりあった手と手】
【抱き寄せられた身体は白く、柔らかで】
【漂った甘い香り】
【桜色の両頬に挟まれた桜の色よりは濃くとも淡い色合いの花弁二枚】
【その口づけを、受け入れて──】


175 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 23:52:30.18 ID:qCZlHq0U0
>>173

……いい言葉だ――――


【俺は咄嗟にテーブルの男に向けた銃の引き金にかけた指を離した】
【そして、見えていた。背後で店主が俺にそのタブルバレルを向けていることが】

【俺は人知れず、能力を使った。視界が真っ赤に染まっていき、赤と黒で構成させる】
【赤と黒のブルースは、時間を止める。実際に止めるわけじゃない。考える猶予を能力が与えてくれる】
【映画に良くある手法で『バレットタイム』というものがあるが(銃撃戦とかのシーンでゆっくりになったり止まったりするあれだ)】
【俺の視界はそうなって、ショットガンの散弾を避ける、算段をつける事ができる―――】


―――ッッ!!


【とはいえ、歳だ。考えたとおりに体が動くとも行かず、まるで転がるように背後からの一撃を避ける】

【激しいショットガンの爆音と、床板を撃ち抜く音が真横に聞こえ、俺は店主に向けて銃を向けた】


<Bang!!Bang!!Bang!!>


【床に倒れた俺はなんとか左腕を伸ばし、連射した。カウンターごと。木製のそれは軽々貫通し】
【店主の体に叩き込んだ。44口径に近いそれの威力は十分だ。店主は後ろに倒れ、リキュールが並べられた棚に激突し】
【ガチャガチャと瓶を降らせて、それが割れて。銃声の耳鳴りが消えて、静寂が戻ってくる】


……そいつ、死んだか?

【息が荒い。年だ。俺はせめて冷静に取り繕いながら少女に声をかけた】


――訊かれそうな事を先に答えておく。まず、襲ってくることが予知できていたわけじゃねえ。
未来を知っていたわけじゃない。まずは勘。何かが違った。俺の知っているこの店のはずだがな。
だから、店主にカマをかけた。甲殻類アレルギーだったのはオヤジの方だったはずだ。
…年をとるとな、くだらねえ昔のことばかり覚えているんだ。だが、店主は―――それで気がついたんだ。

―――能力者か、あんた。
176 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 00:22:26.45 ID:yTUBpRST0
>>175

【三連撃の銃声を聞き、男の言葉とともに振り返る】

手加減はしましたけど――――わからないです。

【その言葉に偽りはなかった】
【やろうと思えば首に蹴りを叩き込み、折ることで確実に絶命させることは出来た】
【なので一応は手加減はしたのだが、相手が銃を構えている以上こちらもある程度のスピードは確保しなければいけなかったので】
【その速度での蹴りが致命傷にならないほどに抑えられていたかはわからない】

【壁にもたり掛かりぐったりしている刺客の側に近寄る】
【臨戦態勢に入り鋭敏になった感覚がその刺客の僅かに繰り返される呼吸音を感じ取る】

生きてますね。一応。

【男の方に向き直って答える】

能力者ですね。あなたも…

【歯切れ悪く聞き返す。倒れた店主の方に僅かに意識を向ける】
【蹴りを叩き込んだ後にすぐに店主の方を見た】
【ショットガンを発砲してるしてるとこで、それを躱しているとこだった】

【それは未来がわかっているような動きだった】
【未来がわかっていたから躱せたのか、能力があるから未来がわかったのか】
【確定だと思えるものは当たり前だがいつもなにもない】
177 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/05(日) 00:51:26.65 ID:TuM9NK7J0
>>176


―――暫くは起きないだろうな。まあいい、放っておこう
どうせ、こいつらは何も知りはしないさ。

【俺は拳銃をしまって、カウンターの上に置きっぱなしのタバコを手にとって火をつけた】
【店内にはもうすでに気配はない。俺はくわえたまま死んだ店主のショットガンを拾い上げた】

巻き込んじまっただけじゃなくて、助けてもらってすまない。
わかってるだろうが、狙いは俺だ。未来を変えてほしくない奴らの差金だ


【ショットガンに弾を詰めながら俺は話す。――見えた少女の表情を探る】
【表情という表情の少ないやつだ。だが、その動き】

――ただの能力者じゃあないだろう。何者だ。単なるガキじゃないだろう
戦い方がわかってる。そういう動きだ。

【俺は煙を吐き出して、そう聞いてみた。最初、隣りに座ったときは】
【もしかすると敵の一味かと思った。だが、違う。運命の偶然だ】

【能力者はそういう運命の偶然に巻き込まれ、付き合わされがちだ】


――俺の目は死角がない。視えるんだ。弾丸がどこを狙ってるかもな
…奢りのオレンジジュース。飲むなら今のうちだ

逃げるにしろ、裏口も表口も待ち伏せていることだろう。
警察に電話してっていう手もあるが、あいにく俺はそういうわけにも行かない

通りに出たら、逃げろ。それまでは悪いが、付き合ってもらうよ
178 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 01:15:52.28 ID:yTUBpRST0
>>177

いいえ、私も反射的に動いたみたいなところありますから。

事情はわかりました…。

【少女の胸中には今は物言わぬ肉の塊となってしまった店主だった男が最後に作ったであろう料理のことが思い返されていた】
【それはこの少女が食べた料理】
【"簡単に人に手を掛ける人間にも美味しい料理は作れるのだな"とそんなことが思い返されていた】

【だがそれはとても声に出して言えるものでもなかった】
【簡単に人に手を掛ける人間とは自分となにも違いはないのだから…】

私の能力は一言で言ってしまえば身体能力を強化する能力です。
それ故に徒手空拳で戦う技術はそのまま有効に使うことが出来ます。

実戦の経験も…少なくないと思います。

【説明を聞いて先程の動きを納得する】

私まだお支払いまだだったんですよね。
貰い手がいないというのは少し寂しいものですね。

【すぐに前を向いて。軽く拳を握る】

私なら大丈夫です。きっと切り抜けられると思います。
179 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/05(日) 01:50:05.59 ID:TuM9NK7J0
>>178

【煙草をもみ消して、俺はジャケットのポケットから名刺を取り出した】


金もねえ、若くもねえ…大した礼はできないが。これでもしがない探偵だ。
なにかあれば連絡してくれ。未来から世界を変えに来るぐらいだ
多少は、使える人間なはずさ。

【手渡す名刺には大したことは書かれていない。ROSSOの名と電話番号だけだ】

だったら後日、本物の店主にでも払えばいい。―――こいつらに殺されてなけりゃな
明日は今日よりマシな一日だと祈ってるよ。それは俺にも誰にもわからない。

あんたが信じるなら、俺は祈る。

【俺はショットガンを構え、ドアの蝶番とドアノブを撃ち抜いた】
【ショットガンを投げ捨てて、両手に拳銃を構える。トゥーハンド。安っぽいガンマンの真似事】

じゃあな、ハヴアナイスデイ。

【祈りは無意味だ。何もできない人間が唯一できることだ。信じるということはいくらかの理性があるが】
【祈りは神性だ。神は信じていない。ただ、祈りという行為がやすらぎを与えてくれると信じている】
【自分たった一人で世界を救うだとか、変えるだとかできるだろうか。だけれどそれをするならば信じている】
【それよりももっと祈るしか無い。明日はマシだと】

【そう言って、俺はドアを蹴破った】



/てな感じの俺たちの戦いはこれからだ!!的なところで〆させていただいてもよろしいでしょうか!
180 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 02:29:30.07 ID:yTUBpRST0
>>179

【差し出された名刺を受け取る】

わかりました。
何かあったときは連絡させていただきます。

【そして名刺に目を落とすと電話番号と"ROSSO"という名を確認する】

そうですね。
明日はどう転がるかわかりませんけど、
信じること祈ることがもしかしたらふと止まりそうになる足を再び進ませることもあるかもしれませんから。

【ショットガンを構えドアを吹き飛ばすロッソに向かって言葉を投げる】

私の名はフロイトといいます。
次はガキじゃなくてそう呼んでくださいね。

【その声はショットガンの銃声と着弾の派手な騒音にかき消されてロッソの耳には届いていなかったかもしれない】

実は私能力者を[ピーーー]ために造られた存在なんです。
もしまた出会うことがあればそれが良きものだと"祈って"。

【ロッソは既に床を蹴り走り出していたのでその言葉がまたしても届いていたかはわからない】

【今の音を聞き刺客はみな表口の方に向かっていったであろう】

【フロイトはロッソとは正反対の裏口へと向かって歩き出した】


//〆させていただきました! 絡んでいただきありがとうございます。
 楽しかったです!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 14:55:11.28 ID:AkDEdh7Z0
/>>155で21時ごろまで再募集します
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 17:32:55.66 ID:dzeJx68X0
>>155
>>181
//まだおられますでしょうかー?

【この森の鬱蒼たる雰囲気に似合いの、病んだような青白い月明かりが、地上を照らす】
【澄んだ夜気はしんと静まり返って、静寂が耳に痛いほど】
【女の行いの一部始終を見届けるのは、ただ、夜空に浮かぶ月ばかりだと思われた──その時だった】


 どうするかな、ってのは──その死体の、後始末の話か?


【後方。夜の帳の向こうから、ふと何者かが、女に問いを投げかける】
【凛と冷たく透き通った響きの声音。追求するような有無を言わさぬ厳しい語調は、言外に「お前が下手人か?」とも問うていた】

【さながら猫のように足音もなく歩み寄ってくる声の主は、ひどく中性的な容貌の女だった】
【切れ長の目に、鋭い鼻梁。固く引き結ばれた、薄い唇。櫻の面影を残しながらも、櫻国人離れした、亡霊のような白皙の肌】
【肩に掛かるほどの高さで無造作に切り揃えられた烏色の髪は、ほの青く月光を透かして夜風に揺れる】
【長身に比例して長い手足を包む、闇に溶けるような群青色の長外套には、裾と袖がゆったりと広がった、櫻で言うところの羽織のような意匠が見られた】

【おもむろに外套の前を合わせるベルトを解けば、こちらの腰にもまた、刀。帯びたる数は大小二振り】

 或いは──

【「何か、申し開きがあるのか?」】
【口数は少ないながらも、その挙措は何よりも雄弁に、己の意思を物語る】

【腰の白刃は未だ鞘の内にある。正義を語る長口上も、素人目に見て取れるような、大仰な構えもない】
【しかし、女はゆるく刀の柄に手を添え、左足を半歩引いて、ほんの微かに、重心を前方に傾けている】
【彼我の距離はやや離れているが、熟達した剣士にとっては十分に一足一刀の間合いの内】
【返答如何によっては即座に踏み込み、抜き打ちの一太刀で斬り捨てる腹積もりのようだ】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 18:21:14.09 ID:AkDEdh7Z0
>>182

【――後方に気配。そして剣呑な言葉を浴びせられると、女はゆっくりと立ち上がった】
【それによって、足元に転がる遺体の姿が詳らかになるだろうか。鮮血は頭部に集中しており、頭蓋骨に変形が見られる】
【鈍器のようなもので頭部に一撃――といったところか。振り向いた女の手にそれらしい凶器はないが、掌は血に染まっている】


 ああ、まいったな……。
 まさかこんなところに踏み込んでくる物好きが、わたし以外いるとは……。

 キミ、どうしてここに? "知ってて"来たのか?
 ……いやまあ、このヒトをどうするかってのもあるんだけど、それ以上に――、


【女は血を布で拭うと、芝居がかった挙措で頭を抱えてみせた。そちらの戦意に応ずるよう、右手を刀に添えたままに】
【なんともおどけた調子で、しかし瞳だけは真剣そのものでそちらを射抜いている。だが表情にはほんの少しばかり、焦りがあった】
【なにかひとつ切欠さえあれば。どちらかが少しでも得物を抜けば、この緊迫はお互いの刃となって弾けるのだろう。しかし――】
【それは斬撃としてではなく。真上から、がらりという音とともに降り落ちた】


 ――、避けろ!!


【女が吠えて左に跳んだ。次の瞬間には、お互いを巻き込むようにして塔の一部が崩落し、瓦礫が降り注ぐ】
【このままの立ち位置なら、ちょうどそちらの頭部に瓦礫が直撃する形になるだろうか】
【――先程の遺体の致命傷と、"偶然にも"全く同じ位置に重なるように】


/気づくの遅れてすみません、まだおります!よろしくです!
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 19:14:42.37 ID:dzeJx68X0
>>183
//すみません、少し外してました!よろしくお願いいたします!

【脳天を一撃され、石榴の実よろしく頭を割られた死骸の惨状を一瞥すると、白皙の女は、ふむ、と何事か思案するように鼻を鳴らした】
【誰が、どのようにして殺害したかは、極論を言ってしまえば問題ではない。この異能者溢れる巷において、推理小説のお約束なぞ当てになるものではない】

 ──となれば、動機か。しかし、これも考えるだけ不毛な話だ。

 なぜと問われても答えに困る。偶然や気紛れの類いだと思ってもらって差し支えないよ。
 たまさか、今日は路地裏を見回る気分じゃなかったってだけの話だ。ここに辿り着いたのも、まあ、気分だな。
 嫌な気配のする方角へ、適当に足を伸ばして──

【張り詰めた鋼線のように剣呑な空気が、二者の間を静かに満たす】
【おどけた仕種に、焦った様子。そして此方の戦意に応じる備えにも、女は特に動じた様子を見せない】
【これが不慣れな街の自警か何かなら、当に焦って切り掛かっていても不思議ではないが──「抜かば、斬る」。言い換えれば、「抜かずば、斬らぬ」】
【女は淡々と、己にそれを課しているようだった。その視線は鋭くも一所に定まらず、どこか遠くを見るようにして、周囲全てに油断なく気を巡らしている】


 ああ、そういう事か。


【したがって、目の前の相手の警告に対して、反応が遅れるような事もない】

【真上を睨んで空いた左手を打ち振るえば、ひゅう、と小さく風切り音。闇に紛れてぼんやりと、黒い『何か』が瓦礫に向かって飛んでゆく】
【それは着弾と同時に、甲高い破裂音を立てて瓦礫のうち幾つかを打ち砕いた。一瞬のことだが、目を凝らせば艶消しの黒に塗られた小型の投げナイフが視認できただろう】
【コートの袖に仕込んであったらしい。鋭い投擲ではあるが、人の頭を容易に打ち砕く瓦礫の崩落を相殺しうる威力を持っているようには見えなかった──となれば、恐らくは異能力の類いか?】

 李下に冠何とやら、という言葉もあるが。自作自演で恩を売って油断させる、なんてやり口は如何にも迂遠だな。
 仮に私がお前で、お前が下手人なら──手八丁口八丁で私の注意を引きつけて、一撃で仕留める方を選ぶはずだ。

 ここは人通りが無い。死骸が一つから二つに増えようが、さしたる問題もないだろう。

【閑話休題。白皙の女はその場から一歩たりと動かずに、上方──瓦礫の落ちてくる先を見据えたまま、淡々と述べる】
【降り来たる瓦礫のうち、砂利と言ってよいほどに小粒の幾つかが、霰のように女の手足を打ち据えるが。彼女はこれといった負傷もなく、雨のような瓦礫をやり過ごした】

【「推定無罪、という訳だ。これが全くの偶然でないなら、恐らく──」】
【半ば独り言のように呟きながら、女は塔を睨んでいる】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 19:37:45.16 ID:AkDEdh7Z0
>>184

【肌を焼くような緊張感の中で、女は静かに彼女の動機を聞き届ける。しばし目を伏せ、思索に耽った】
【――つまりは、今宵二つの刃が出会ったのは"偶然"であると。合理的な理由ではあったけれど、いま一番聞きたくない言葉。実に――嫌な感じだ】


 おお……! すごいな。今のはナイフかな?
 あの大きさの瓦礫を簡単に打ち砕くとは、いかなる異能か……興味があるね。

 まあ、何はともあれ。十分に戦えるヒトのようでよかったよ。
 ……うん。本当に。


【降り注ぐ瓦礫に対し――こちらはというと、横っ飛びに転がって避けきることに成功していたのだが】
【真剣に考えていたのも束の間。目の前の相手が瓦礫を粉砕してやり過ごしてみせたのを見ると、女は急に顔を輝かせ始めるだろうか】
【ひとつ間違えば切り捨てられかねないこの状況でなお、興味津々といった様子でそちらを見やる。変人であることだけはたぶん、間違いない】
【それ以外で引っかかるとするなら、「腕が立つようで良かった」というよくわからない言い草だったが――】

【その答えを知りたいのであれば女の足元を見る必要があった。転がる瓦礫の中に、奇妙な箱の残骸のようなものが転がっている】
【先ほどのことだ。瓦礫を避けた拍子に、"偶然"女の懐からなにか箱のようなものが零れ落ち――これまた"偶然"瓦礫がそれを下敷きにしていて】
【かしゃん、と呆けた音を立ててそれは破壊されたのだった。よく見ると女の顔色は若干青くて、引きつった笑いが浮かんでいる】


 さて。突然すまない、通りすがりのヒト。実はいま、もの凄くまずい状態なんだよね。
 今宵居合わせたのがキミであったという"偶然"と、キミのその力に賭けることにして、ひとつ頼みがあるんだけど。


【女の額から脂汗が垂れるのがよく見えるはずだ。――そして急激に、周囲の空気が重くなっていくのを感じるだろうか】
【塔から銀色の靄のようなものが滲み出てきて、女の体にまとわりついた。身体が小刻みに揺れ、右手が強く刀の柄を掴んで、】
【――抜刀。銀閃が空を裂いたのと同時に、女はにこりとそちらに微笑を向けるだろう。若干、投げやり気味の笑いだった】


 ……わたしを、止めてくれない? 


【ウィンクと一緒に、「あ、できれば痛くしないでね」などと白々しい冗談が付け加えられれば――】

【次の瞬間、女が地を蹴った。瞬時にそちらへ踏み込むと、上段からの斬撃が降り注ぐだろう!】
【速さと鋭さは中々のものだが、特段異能じみたものはない単純な行動と攻撃である。女が見込んだ通りの実力ならば対処は容易か】
【この行動を「無罪」と受け取るか「有罪」と受け取るか、そして新たに死骸を増やすか増やさないかは、もちろんそちらの自由であった】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/05/05(日) 20:16:01.07 ID:dzeJx68X0
>>185
【偶然で、ないとしたら。その先を語る言葉は無く、女はただただ射[ピーーー]ような視線で、天を衝く古塔を睨むばかり】
【それは明らかに、目撃者二人をまとめて闇に葬らんとする「第三者の存在」を警戒する振る舞いだったが──】


 その辺りは企業秘密というやつだ。まあ、縁があれば詳しく知る機会もあるだろうさ。


【ともあれ、相手に向き直ると、女は刃さながらの硬質な態度を少しばかり軟化させて】
【目を輝かせる彼女に対し、にやりと口の片端を歪め、唇に人差し指を当てて微笑してみせるのだった】


 ところで。質問ばかりというのも気が引けるが、お前の目当ては『あれ』なのか?
 だとしたら乗り掛かった船だ。差し支えなければ、私も──何を言っている?


【さて。ここで女は、眼前の彼女に対して一つの提案をする】
【それは端的に言うなれば、彼女の目的を「真相の追求」と仮定した助太刀の申し出だ。彼女が見立て通り無辜であろうと、下手人であろうと、ここでこの事態を見逃す選択だけは無い】
【そう考えての提案であったが──ふと、女は相手の言動に、何やら妙な違和感を覚える。それも、相当に抜き差しならない類の違和感をだ】


 箱、か?それも、組み木細工のような──ッ!?


【何やら顔を青くした彼女の視線の向く先を辿るようにして、女は『それ』を見やる。ぱっと見は単なる、何の変哲もない小箱だ】
【しかし、それが破壊された途端に周囲に重苦しい雰囲気が漂い始めたと見るや、女もまた盛大に顔を顰めた】
【塔より滲み出し、漂う靄のごときもの。それが何であるか──小箱が如何なるものであるか、粗方類推することができたが故の、苦渋の表情だった】


 ……殺しはしないが、私は見ての通りの人斬り包丁だ。怪我一つさせずに事を収めるなどと、安請け合いはできないぞ。

 まあ、一つだけ救いがあるとするならば──こういう類の『人でなし』を斬った経験も、無くはないという事ぐらいか……!!

【推定、人ならざるものに取り憑かれたと思しき相手に対し、女は脇差を抜刀して──ほんの一瞬、太刀に手を掛けようとして逡巡しつつも──同じく上段に構える】
【敢えてそちらへ一歩踏み込むと刀を掲げ、上段より振り下ろす一太刀を物打ちを外して刃の根元で受け止め、鍔迫り合いの態勢へ移行】
【左手を自剣の峰に添えて押し込み、じりじりと相手の耐性を崩そうと試みる】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 20:17:52.34 ID:dzeJx68X0
>>186
//sage忘れ申し訳ない……
//あと、誤:耐性 正:態勢 です
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 20:40:58.55 ID:AkDEdh7Z0

>>186


 お察しの通り。ふふ、キミ結構いい人だな。
 ――こんなときに何だけど、わたしは"蒐集家"のイストだ。よろしくね。


【踏み込み、斬撃。それが容易に受け止められたことに少しばかりほっとした様子を見せると、死線の交差するその至近で、女は名乗るだろう】
【その瞳に恐怖や動揺はなかった。――事情はどうあれ斬りかかったのだ。瞬時に斬り返されこの場で果てる覚悟もしていたようであったが、】
【太刀との中空で彷徨う彼女の手を見やると、やや暢気に、そして嬉しそうに顔を綻ばせたのだった】


 まあ、いまはギルドの依頼でここに来てるから、ただの冒険者と思ってくれていい。
 近くの村で噂になっていてね。曰く、近寄った者は決して帰ってこない呪い塔――だそうで。

 だからわざわざ護符まで用意して、調査と対処に来たってわけなんだけど……。
 いくつかの"偶然"に邪魔されて、ご覧の有様だよ。いやあ、参った参った! ははは!


【鍔迫り合いに力を込める両腕とはまったく無関係な苦笑を浮かべて、女――イストは一息に事情を説明するだろう】
【「大昔に貴族様の世継ぎ争いで相当血が流れたらしいよ」なんて、"怪異譚"としてはなんとも有りがちすぎる情報も付け加えられて】
【護符、というのはさっきの箱のことだ。それも"偶然"壊れてしまって、まんまと身体を乗っ取られているのだから間抜けな話である】
【ともあれ――"怪異"に身体を持っていかれて悠長に笑っている超のつく変人ではあっても、とりあえず、この女は悪人ではないようだ】


 こういう事態が初めてでないなら話は早い。頼もしいね。
 わたしのことは気にせず……いやまあ、ほどほどには気遣ってくれたら嬉しいけど。

 おほん。ともあれ、この怪異の基点はあの塔だ。
 あの中のどこかに、大元になっている何かが……うわっ!?


【イストはそう云って、目線だけで真後ろの塔の入り口を指し示す。古びてはいるが中に入ることはできそうだ】
【中は大広間になっていて、障害物は石で出来た女神像が奥に立っている程度。壁に沿うように螺旋階段が据え付けられ、上階まで続いている】

【ただ、この後どう動くかの判断の前に――イストを操る何者かが、動くだろう】
【このままでは体勢を崩されると判断したか、その身体は鍔迫り合いを避けて真後ろに飛んだ。そして転身、】

【――心臓。いや、本人の意志が介入したか、僅かに軌道は上振れして狙いは左肩へ。鋭い刺突が飛翔する!】
【威力のある一撃だが、その分大振りだ。危険ではあるものの、なんとか凌げさえしたならば隙は大きい】
【反撃に転じるでも、はたまたイストが述べたとおり塔の中に駆け込むでも、妨害を受けず好きなように行動できるだろう】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/05(日) 21:30:59.13 ID:dzeJx68X0
>>188

 人が好い、ね。あまりそういう世辞は言われたことがないから、擽ったいな。
 朔夜。人斬りが生業だ──最近はそうでもないが。以後よろしく。

【鍔迫り合いのその最中、相手の名乗りに応じて、女もまた名乗り返す。彼女同様にこちらもまた、生死の境に立ちながら、まるで散歩でもするような気軽な口調だったが】
【口調とは裏腹に、その表情は微かに苦い。──というのも、先の打ち込みで脇差しに生じた『ある変調』が原因だ】
【よくよく注意してみれば、刃の根元の一点に、小さな刃毀れが見て取れる。本来であれば避けえた傷だが、先の一瞬の逡巡が祟って僅かに振り下ろしを受け止め損なった結果だった】


(……こっちは数打ちだが、決して質の悪い品じゃない。利刀の差こそあるだろうが──精進が足らんな、私も)

 なるほど、ギルドに縁の者だったか。私も水の国のギルドとは懇意にして貰っているから、事によってはまた会う事もあるかも知らんな。
 まあ、何はともあれだ。概ね状況は理解できた。やれるだけの事はやってみるから、大船に乗ったつもりでいると良い。


【事情説明を諒解すると、女は鷹揚に、余裕たっぷりの挙措で大言壮語を吐いてみせた】
【先の失策は、おくびにも出さない──とまでは行かぬまでも、努めて気にしない風を装う】
【彼女ならば万が一にもそんな事はないとは思うものの、この手の案件において、被憑依者の精神状態の悪化が事態の悪化に直結する例はそう少なくもない】


 く、ッ──ふふ。どうした、それだけか?

 随分と手ぬるい太刀筋だ。手こずっているようじゃないか……このままじゃあ早晩、自力で体の支配権を取り戻すかもしれないな?

 さあ、どうする?なんなら私に乗り換えたって構わない。何にせよ決断は早い方がいいぜ──


【イストの助言に対し、彼女の選択は現状維持だった。人間には火事場の馬鹿力というものがある】
【古来、幽霊だの悪魔だのに憑かれたとされる人間が恐ろしいほどの膂力を発揮した事例は、枚挙に暇がない】
【足の速さであれ力の強さであれ、単純な出力勝負は極力避けるべきだと言えた。この状況で背を向けるのは、殊に危ない】

【朔夜はイストの体を乗っ取る何者かを挑発しつつ僅かに左肩を下げて踏み込む、掠めさせるような軌道で刺突をやり過ごした】
【相手の手に伝わるのは、がりがりと何かが擦れる硬質の手応え。コートの内部にプロテクターでも仕込んでいたのか】
【これにより後の先を突いて、前に前にと間合いを詰める。左手を自由にし、刀の間合いから拳の間合いへと到達するや否や】
【女が繰り出すのは、鳩尾を狙った左掌底の突き。見れば掌は、微かに陽炎のような空間の歪みを纏っている】
【直撃すればその瞬間勢いよく炸裂する指向性を持った不可視の斥力が、相手を後方に吹き飛ばし、大きく距離を開けるだろう】

【先のナイフが纏っていたものの正体も、おそらくこの力場か】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 22:01:20.77 ID:AkDEdh7Z0
>>189

【人斬り――そう名乗った朔夜に対しても、イストはなんら不安も動揺も見せないだろう】
【むしろそこに浮かぶのは、信頼の類であった。人斬りなどと名乗るのであれば、自分なぞに安々と斬られるような小物ではなかろうと】


 うん、すまないね。
 ――いきなりこんな状態で悪いけど、この縁がここで終わらないよう、わたしも努力するよ。 
 わたしの命、キミに預けよう。朔夜。


【道化じみた表情を一瞬引っ込ませて、心底申し訳なさそうにイストは苦笑する。そこだけは、ちゃんと本心のようだった】
【初対面の、それも人斬りに自分の命を預けようという女なのだ。胆力だけは一人前のようである】
【いまのところ敵意を向けてくるのは身体だけで、言動に不自然な点はない。これならば当面、精神まで汚染されることは無さそうだ】


 はは、いいぞ。いまのでちょっと怒ったみたいだ! まるで子供だな。いや、あるいは――。

 ――ぐっ!!


【一閃は肩をすり抜ける。――普通なら、というか普段のイストなら、その時点で回避動作に移っていたはずだったが、】
【彼女の身体のいまの持ち主はそうではないらしい。朔夜の挑発が利いたのか、銀色の靄が少しばかり濃くなって、】
【避けることなど考えず。まるで意固地になったかのように、更に一撃入れようと一歩踏み込んだ。――結果、掌底が直撃する】
【異能の斥力がイストの身体を後ろへ吹き飛ばし、そのまま塔の外壁を破壊して、中に叩き込んでしまうだろう】

【直後、塔全体が鳴動する。ほんの少しだが――塔が"傾いた"】
【立ち上った埃と煙で、イストも含め塔の中の様子も見えなくなっている。だが土煙が立ち込めるからこそ、引き立つだろうか】
【ちょうど、入り口から見えた"女神像"のあった位置。――そこで赤い光が弾ける】

【――"偶然"が発揮された。塔の側面部分の外壁"だけ"が一斉に崩落し、先ほどの比ではない量の瓦礫が朔夜に襲いかかる!】
【これだけの大崩壊にも関わらず、塔の側面だけが丸ごと剥がれるなんて偶然が起こるはずがない。そこにあるのは、必然の"殺意"だ】

191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/05(日) 22:46:02.84 ID:dzeJx68X0
>>190
【気丈に──というか、もともと肝が据わっているのだろうが──振る舞うイストの姿に、これならば今暫くは問題なかろうと踏んで】
【朔夜は無言のまま、彼女に小さく頷き返してみせた。ひとかどの剣士に命を預けるとまで言われたのであれば、同じ剣士として、その信には報いねばなるまい】


 どうした、埃まみれのお貴族様。お前の家が武門だか内政屋だかは知らないが、青い血筋のお家柄としては、この程度の武芸は嗜みのうちじゃないか?
 ──ああ。それともお前、召使いか何かなのかな。それだったら得心が行く。へえへえ、申し訳ありませんお嬢様。あっしは単なる一介の従僕でやして、荒事にはとんと縁がなく……って感じか?

 …………おっと、これは危ない。


【挑発が功を奏したとみるや、まあ言うわ言うわ。戦いの最中によくぞここまで舌が回るものかと思うほどの罵詈雑言をもってして、亡霊の晒した無様をあげつらう】
【悪意たっぷりの罵倒の最中にも、崩壊する瓦礫の奔流を刀と異能と暗器を交え、切り裂き、射落とし、打ち砕き、その立ち回りには一切の隙が見当たらない──が、しかし】


 ぐ、う……ッ!


【朔夜当人よりも先に、右手の得物が根を上げた。根本から刃がへし折れ、弾け飛んだ刀身がプロテクターの隙間を抜けて『偶然にも』左肩を裂いてゆく】
【痛みに歯を食いしばるその数瞬の隙を突き、雪崩を打って飛来する瓦礫の雨霰。咄嗟に頭部をはじめとした急所を庇いながらも殺意満点の乱打を浴び、朔夜は踵で土を削って後ずさる】
【駄目押しとばかりに繰り出された一際大きい瓦礫が、彼女の姿を覆い隠し──直後、盛大な土煙が巻き上がる。万事休す、か】

【そう思われた、その時だった】


 ……中々、に……面白い。血に狂い己の責務を忘れた俄か貴族の残り滓風情が、この私に、こいつを────


【「抜かせたな」】

【土煙を貫いて、青く、蒼く、光が舞う。ほんの刹那の間隙を縫って、狂ったように乱舞する】
【土煙の中から現れたのは、体の至る所に打ち傷を負いながらも、その手に携えた大太刀をもって、大岩をもはや原型を留めぬほどに刻み尽くした人斬りの姿】

【青く、蒼く。異能力、生体魔素、生命力──鞘の内より解き放たれるが早いか、柄を通じて朔夜の精神と肉体の精髄を吸い上げながら】
【月明かりを弾き返すばかりでなく、自ずから鈍い輝きを放ち始めた乱れ刃の大太刀は、常人でさえそれと判る『異常』を帯びていた】
【見るものが見れば、相当に格の高い妖刀、魔剣の類であると容易に知れるだろう。この世ならざる存在であれば──イストの内に巣食うものならば──尚の事】


 この『邂逅』を抜いたからには、有形無形の区別なく──もはや私に断てぬものは、この世に一つとないと知れ。亡霊。


【相手が元人間である以上、そこには必ず意志が生ずる。怨念に狂い、生前よりも劣化した知性であろうとも、付け入り、揺さぶり、心を挫く隙がある】
【まして、今や相手は人ならざる、魂と意志のみで彼岸に生きるものなれば。──この場の誰より強く、その唸り声を聞くだろう】

【己を十全以上に振るう使い手と一つとなり、妖気を纏って荒れ狂う、その刀の声。そして己の向かう先にあるもの全てを斬断せんとする意志を秘めた、必滅の刃の声を】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 23:17:03.14 ID:AkDEdh7Z0
>>191

【土煙が晴れると、瓦礫の山の中からイストがゆっくりと立ち上がるのが見えるだろうか】
【瓦礫の雨に見舞われた朔夜の方を少し心配そうに見やる、その気遣いは表情だけ。身体は刀をだらりと垂らし、構えなど一つも取っていない】
【――見て取れるのは、明らかな油断と侮りだ。銀の靄の先にいる何かが、ざまあみろ、と――そんな子供じみた感想を、イストの身体で表していて】

【だからこそ、か。――岩ごと土煙を引き裂いて顕れた、正真正銘の"人斬り"を前に、怯えるように情けなく後ずさったのは】


 ああ、朔夜――。それが、キミの本気か。凄まじいな。
 これは実に、狂気的にして、怪異的だ。刀使いの端くれとして楽しみだよ。キミの剣を魅るのが。

 ……って、あああああ! こら! 視線を逸らすな視線を!


【明らかとなった朔夜の"異常"を前にして、しかしイストの双眸だけは相変わらずだった。怯懦はなく、逆に楽しげに、抜かれた刀とその遣い手を見やる】
【しかし、それも一瞬だった。お前を殺すと唸りを上げる剣気を前に、まともに見るのも恐ろしい、とばかり。イストの意思に反して顔を逸してしまって】

【……そうしたならば、イストには見ることができた。朔夜にも見えるだろう。側面が剥がれたことで、塔の中身が見渡せる状態になっている】
【比較的きれいなのは一階だけだ。二階から上は、ひどいもので――】
【机やベッドなどの古びた家具が設置されているそこに、古いものから新しいものまで、無数の人間の死体が在った】
【絵本と一緒にベッドで寝ているもの、椅子に座っているもの。体勢はさまざまだが、いずれも"生活している"風に配置されている】


 この塔に近づいたヒトたちを、ああして役者として取り込んでいるのか?
 ……いや、役者というより、あれは……、っが!!?


【イストはどこか得心がいったように呟く。だが事態は、彼女にそれ以上の考えを中断させた】
【突如として、表情が苦痛に歪む。油の切れた機械のように不自然な動きで一歩踏み出し、跳躍。――地盤が、砕けた】

【ろくな助走もない跳躍のはずが、彼女の身体は数メートル空中へと躍り出て】
【そして空を切り、朔夜の頭部を叩き割らんと放たれるのは、必殺の勢いを帯びた兜割り――!】

【イストの表情が歪んでいるのは、先ほどの朔夜の推察通り、怪異によって限界を超えた筋力を強引に引き出されているがゆえだ】
【さらに、イストの使う刀が"偶然"にも妖刀、あるいは怪刀と呼ばれるものであり、非常に頑強であることも合わさって、その破壊力は凄まじい】
【岩をたやすく両断するほどの重撃だ。まともに受けてしまえば、どうなるかわからない――】



 ――朔夜。一瞬だったけど、見えたぞ。
 二階だ。部屋の奥にある大きな姿見。間違いない、あれが基点だ……!


【だが、そこさえ凌げば光明が見えるだろう。――朔夜の対処に関わらず、イストが先ほど見えた光景を伝えるからだ】
【二階の最奥に巨大な姿見が置いてある。イストと朔夜以外は誰も存在しないにも関わらず、そこには――子供の姿が映っている】

【――あの亡霊が、一体なにを思ってこれだけの屍を積み上げたのかは知れないが、】
【どうにかしてあの姿見を破壊すれば、この不毛な戦いも終わるだろう】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:02:50.52 ID:70AwD7qX0
前々>>726-727(ロッソ)
>>46(カニバディール)

【長い、長い話だった。これまで起きてきた出来事をさらに濃く煮詰めたような、小難しく仄昏いストーリー】
【だが完全な暗闇ではない。灯火は確かにあった。少なくともロッソがいた未来では】
【ロッソは生き、自分も逃げ延び──或いは生き延び。ジルベールの事は気がかりではあったが】
【今は彼のことを気にしている場合じゃあなかった。──未来は、観測出来ないのだから】


…………あぁ、当たり前さカール
円卓の連中なんて、あたしの方が“切って”やったに決まってやがる

それに、よぉ────くくっ!
辛気臭ぇ時代に辛気臭ぇ音楽聞いてやがるんなら、どの時代のあたしだって文句言うだろうぜぇ?
そん時のゾーイにちょいと耳打ちしてやりてぇくらいだぜ
「あんま無理して合わせなくったっていいんだぜ?」って、よぉ


【長い、長い話だった。だが肝心なことはたった一言だった。ノー・パラドクス】
【そうだ。言われてみてはっとする。今までだってそうだった】
【どんな荒唐無稽なことが起きたって、この世界では“それが現実”なのだ】
【いくら理屈を捏ねくりまわし、足りない頭をフル回転させたところで──現実は目の前にある】

【ぎゃは、とミラは笑った。そうだ、今までなんだって苦手分野に足を突っ込んでいたんだろうか】
【頭を働かせることは自分の本分じゃあない。いつだってそうだ。感情のままに怒鳴って、喚いて】
【ムカつくから殴る、腹がたつから引っ叩く──笑いたい時に笑えないのなら、生きている意味なんてない】


あんたはいっつも、大事なことを言ってくれるぜ──“ロッソ”
危うく連中の…………円卓だとか黒幕だとかの得意分野にノせられちまうところだった
ここんとこ頭でっかちな連中とばっかりツラ付き合わせていたせいかな……ぎゃっは!ほんっと、あたしらしくねぇよなぁ!!

…………悪かったな。ベータだなんて言っちまって、よぉ
あんたは最初っからロッソで、それ以外の何でもなかったっつぅ話なワケだ


【「それにしたって」──笑いながらカニバディールを見る】


異能屍たぁ、あんたも出世したもんだなぁ!

…………戦争が始まってすぐにあんたは姿を消したらしいが──あんたは簡単には死なねぇさ
円卓のくだらねぇ<ガーデン>だとか<ファーマー>だとかをぶっ潰そうと企んでいたに違えねぇぜ
利用されるだけされて、名前を好き勝手使われて黙ってやがるようなお人好しじゃあねぇもんな、あんたはよぉ


【慰めでもなんでもなく、本心からそう思っていることは伝わるだろうか】
【触腕が8本も9本もあるクセに、ミラはその手のことには不器用だ。だからこそ】
【真っ直ぐストレートに彼を見る彼女の視線が、この言葉が彼の未来での無事を信じているが故だと語っていた】

/分けます
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:03:54.69 ID:70AwD7qX0
>>(ロッソ)
>>(カニバディール)

【そしてもう一度、ロッソに視線を向ける。そうだ、彼はロッソだ】
【自分が知らない未来を知っていようが、妙に老けてようが──それでもロッソだ】
【いつか敵になることを承知で自分に力添えしてくれた彼への信頼】
【それは、彼女の中では今も揺るいじゃいなかった】


…………。……………………ロッソ
カールにはもう話したが、あたしは今<円卓>のど真ん中に居る
正確には座らされているってぇとこだが…………<円卓>をどうこうしてぇんなら、多少の手は回せる
…………まぁ、“多分”……、なんだけど、よ

<円卓>のブレーンの1人は、水の国最高議員のイスラフィールだ
どうにも<円卓>の舵取りは実質イスラフィール御一行様が握っているみてぇで、よぉ
連中、最終的には自分たちの言うことだけ聞くヤツだけ集めて<完璧な庭>っつぅヤツを作ろうとしているみてぇだ
そのためには<方舟>────タイムマシンが必要だって言ってた
んでもって、黒幕をぶっ潰して<庭>に行くためには<聖杯>ってぇやつもいるって言ってたぜ
あのクソアマ曰く、願いをなんでも叶えちまうステキなモノらしいけど、よぉ

あたしとカール的には、これからは円卓が起こした戦争で黒幕をぶっ潰しつつ…………
…………クソアマ御一行サマが<方舟/タイムマシン>に乗って<庭>に行こうとドヤ顔晒した瞬間に連中をぶっ殺そうぜって感じなんだ
まぁ────足りねぇ頭絞って考えた案だ。穴ボコだらけなのは分かっちゃいるが……


もしも可能なら、マキノに何か仕掛けを用意させてほしい
いや……どんな仕掛けかって言われりゃ全然ノープランなわけだが──
<円卓>のクソ野郎どもをぎゃふんと言わせられるような……それか、何か時間を稼げるような仕掛けっつぅ、か……?

いやもう、ほんと!あんたがまさか、こんな形で帰ってくるとは思ってもみなかったから…………
正直今、相当考えなしに喋ってるぜあたし。…………まぁ、普段からそんなに考えるタイプじゃねぇんだけど、よぉ
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:09:20.57 ID:2duC5ev70
>>192
【絵本を読み聞かせる屍。椅子で寛ぐ屍。在りし日の亡霊の暮らし向きをありありと連想させる、死骸の配置】
【人々を無惨に殺し回りながらも、人並みに怒り、侮り、怯える──無垢ゆえの残虐性。まるで子供と言うよりは、これはもう、明らかに】
【『人でなし』を標榜する人斬りとて、なにも木の股から生まれ落ちたというわけではない。やり切れない、とばかり、朔夜は一つため息を吐いて】


 ──断てないものは一つとないってのは、流石に盛りすぎたか。情けない限りだな、全く。


【しかし、もはやその太刀筋に一切の容赦はなく。龍が地より天に昇るがごとき勢いでもって放たれた切り上げの一閃が、真正面から兜割りを迎え撃った】
【巨岩を紙のごとく断ち切るであろう剛剣は、本来であれば防御ごと、朔夜の頭蓋を叩き割ったことだろう──】
【しかし、蒼く輝く刀身に触れたその瞬間に、その勢いは大幅に削がれてゆき、やがて『静止する』】


 ──これは、技という程大層なものじゃない。しかし、私とこいつの編み出した、一つの理であるとは言える。

 刀と己の心身──ひいてはその異能力を合一させ、ものの有形無形を問わずあらゆるものを解き、弾き、分かつ。やがて到達するべき万象切断の極致、その先触れとも呼ぶべきもの。


【ほんの束の間の静止状態から、重力に従って徐々に落下へと移行するイストを見遣りつつ、彼女は淡々と語る】
【さながらそれは、イストの一撃が内包する、形を持たない『運動エネルギー』でも断ち切ったとでも言わんばかりの口振りで】



 仮に銘打つとするならば、『邂逅・絶蒼の太刀』──とでも呼ぶべきか。
 この状態は殊の外消耗が激しい。あまり長くは保たん。


【事実、そうとでも考えなければ、この不可解な事象には説明が付かなかった】
【斬れないものはないと大口を叩いておきながら、イストの佩刀が傷一つなく健在なのは、まあ、ご愛嬌というものだ】


 助言、痛み入る。
 終わらせてくるから、今暫く待っていてくれ。


【刀が纏う蒼い輝きが解けて消えるのと同時、朔夜の足元に陽炎めいた空間の歪みが生まれ、収束する】
【落ちてゆくイストと入れ違いに、足裏に収束した力場を爆ぜさせ、人斬りは虚空を駆けるようにして塔の二階部分にまで到達せんと試みる】
【そうして鏡の前にまで辿り着いたならば、おもむろに彼女は、鏡の中でうずくまる幼子に対し、「おい、そこの」と、ぶっきらぼうに呼び掛けるだろう】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/06(月) 00:36:11.53 ID:JqGEkMs70
>>195

【限界を超えた駆動に悲鳴を上げる身体――しかしながらその刹那、それを凌駕するほどの高揚によって、イストは痛みを忘れていた】
【自分でも制御できず放たれる一閃、その重みが消えてゆく。その貌に浮かぶのはやはり、この女らしい場違いな笑みなのだ――】


 ――力の表層でなく、深層までもを絶ち斬る太刀か。
 見事だ。こんなものを魅られるなら、こんな無様を晒した甲斐もあったよ。


【刀に宿った暴力がその絶技によってすべて抜き取られたのと同時に、イストの全身からすべての力が抜けていくだろう】
【限界駆動の代償か、着地もできず地面に倒れ込む。――銀色の靄が消える。この女ではもう、この人斬りをどうにもできない、と悟ったか】
【二階へと疾駆した彼女へ、イストは辛うじてウィンクをひとつ。「任せるよ」とだけ告げて見送るのだった】


【――特に妨害もなく、朔夜は二階の鏡の前に辿り着くはずだ。映り込むのは金髪の少年】
【周囲には見るも無惨な死骸が転がる。だが不思議と、彼の瞳には悪意らしきものはなかった。遊び疲れた、という風に苦笑して】


 【"おかあさん。おやつ、たべよ"】


【声は無い。だが口の動きだけで、そう云ったのがわかるだろう】
【それこそ、怒った母親の機嫌を取るような、わざとらしい上目遣いのまま――すっと、朔夜の背後を指さして】
【その先には小さな机の上があって、作りたてのスコーンと淹れたての紅茶が二つづつ、置いてあった】
【どれだけ経っているかわからないのに、その一角だけは埃ひとつ無く保存されている。どちらも腐っておらず、新鮮なままだ】

【椅子が二つ。ひとつには子供らしき白骨死体が座っている】
【もうひとつは空席――誰かに座られるのを数百年間、待っていたかのように】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/06(月) 01:28:41.53 ID:2duC5ev70
>>196
【酸鼻極まる光景と、それに相反する、無邪気な仕草】
【幾百、幾千の夜の孤独が、如何様にこの幼子の正気を蝕み、この凶行に至らしめたかは、部外者である彼女には知る由もないことだ】

【だが、類推することはできる。寒さに凍える夜。ほんの一時の、体温を持つ人間の暖かさ。死ねばやがて喪われる熱。ぶり返す孤独】
【親より先に逝ったか、親に取り残されて死に損なったかという違いこそあれど、その終わらない業苦は、賽の河原の石積みにも似ている】


 はあ。……私は未婚だ、阿呆め。まあ、いい。菓子だな?いいよ、食ってやる。
 よく黄泉竈食だなんだって言うが──黄泉路に引きずり込まれたんなら、あの世とこの世の境を斬って、無理矢理戻ってくりゃあ良いだけの話だ。
 それが終わったらこの鏡を斬る。魂ごと滅してやろうとも思ったが、そればっかりは勘弁してやる。


【黄泉竈食──死者の国の食物を口にしたものは、二度と生者の国には戻れないという謂れがある。それを警戒し、口にせぬまま基点を破壊する手もあったが】
【どうにも、そういう気分にはなれなかった。仮に罠だったとしても、罠を踏み抜いた上で、力づくで叩き斬ればいいだけの話、と】
【わざとらしい上目遣いに毒気を抜かれて、頭を掻きながら大きく嘆息し。ややあって、朔夜は空いた椅子に腰かけて】


 お前が本当に絵本を読み聞かせてほしい相手も、本当に一緒におやつを食べたい相手も、この世界にはもういない。
 また会いたいと望むのなら、さっさと往生するのがいい。

 ──で、砂糖とミルクは要るか? クロテッドクリームとジャムは……ああ、これか。


【不似合いな説教を口にしつつ、湯気立つカップを手に取ると、匂いを嗅いで「ダージリンか」と独りごち】
【ふと思い出したかのように、幼子にそう問いかけた。要るにせよ要らないにせよ、彼だか彼女だかの望むようにしてやってから、カップを配膳し、スコーンを取り分ける】
【自分の分のスコーンを二つに割って、クロテッドクリームとジャムをたっぷり塗って、一口頬張る】
【クリームの甘みと果実の酸味、生地に練り込まれたバターの香りが鼻に抜けるのを感じながら、紅茶を一口】

 ……夜は、寒かったろう。石造りの塔は底冷えする。暖炉も一人で点けられないんじゃあ、毛布にくるまったってロクに眠れるもんじゃない。
 だから誰かを殺しても構わないってんじゃあないが、まあ、お前が苦しかった、寂しかったっていう気持ちは汲んでやる。

【仮に母親を演じてやる事はできても、そんな物は一時の気休めに過ぎない。故に感じたことを、思ったままに口にする】
【この幼子はどうしようもなく加害者だが、同時に被害者でもある。情もなく斬り捨てるには偲びなく、さりとて甘やかしてやるには、その手は血に汚れ過ぎている】
【「美味いか?」──ぶっきらぼうに、また一つ問いを投げて】


 ……食い終わったら、お前はおかあさんの所に行くんだ。良い子にしてれば、きっと直ぐに会えるだろうよ。
 もし、お前をこの鏡に閉じ込めた奴がいて、そいつがまだのうのうと生きているなら。その馬鹿は私が斬ってやる。余計なことは考えなくていい。


【朔夜は静かに、淡々とした語調で、お前はもう誰かを恨んだり、苦しんだりする必要は無いのだと、溜息交じりに口にしてから】
【にやりと悪どい笑みを浮かべて、「私の怖さは十分よく知ってるだろう?下手人はさっきの三倍は怖い目に遭わせてやるから安心しろ」と嘯いた】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/06(月) 01:57:47.93 ID:JqGEkMs70
>>197

【朔夜が席に付いても、なんら異変は起こらないだろう。ただ朔夜がもし、姿見の方を向いたならば】
【その鏡の中でだけ、白骨死体のある席にあの少年が居て、嬉しそうに朔夜へ笑いかけるのが見えたはずである】
【飲み食いを行っても体に異常はない。――黄泉路に囚われるなんてこともなく。ただ、甘さとほろ苦さが口腔を満たすだろうか】


 【"さむかった"】   【"さみしかった"】  【"ごめんなさい"】


【――と。朔夜の優しい言葉を受け止めて、少年は音もなくそう云うのだ】
【目の前の女性が自分が本当に望んだ相手ではないのだと、果たしてわかっていたのかいないのか、】
【どちらにしても、鏡の中にしか存在し得ない悲しき亡霊はほんの少し俯いて、やがてこくりと頷くだろう】

【たっぷりと、ジャムと優しさが塗り込まれたスコーンの最後の一口を、少年は頬張って】


 【"おいしかった"】


【と。小さく笑う。世にも恐ろしい人斬りの笑顔を楽しげに受け入れて、儚い涙と一緒に、鏡の中から消え失せる】
【少年を繋ぎ止めていた最期の幻想が、いままさに、朔夜によって"斬られた"瞬間だった】

【ゆらりと、部屋全体が銀色の靄に包まれる。――少し経って靄が消えると、そこにあるのは廃墟だけだ】
【綺麗なままだった机は、重ねてきた年月を追想するがごとく粉々に砕け散り、少年の白骨死体もバラバラになって崩れた】
【地面に転がるのはボロボロのお皿とティーカップ。お菓子も紅茶も消えていて、朔夜の口の中からも味が消失しているだろうか】

【――そう。その味だけが、明確に幻だった。孤独の中に死した子供が、終わりのまどろみに描いた光だった】



 状況を鑑みるに――塔に幽閉されて、そのまま餓死したってところかな。
 独りで寒くて寂しくて、近寄ったヒトを"家族"として取り込んでいたんだろう。……笑えない話だ。

 なにはともあれ、迷惑をかけてごめんね、朔夜。
 そしてありがとう。キミのおかげで、この悲しい"古塔の怪異"を終わらせることができた。

 ……塔の古さの割に、怪異性を帯びたのが"つい最近"っていうのは、少し気になるけどね。


【やがて、よろよろとイストが登ってきて、そんな推察を述べるだろう。彼女の身体を覆っていた銀色の靄も綺麗さっぱり消え去っている】
【周囲に漂っていた冷たい空気も無くなって、残るのは春の夜の少しだけ肌寒い風だけだった。どうやら、決着は付いたようだ】
【イストは朔夜に礼を述べると、――少しだけ。斬ってやると朔夜が少年に云ったその"下手人"の影を、イストも感じたようだったが】


 まあ、ここでこれ以上考えても仕方がない。とにかく帰って休もう。
 村に宿を借りているんだ。良ければわたしが口利きしてキミの部屋も用意してもらうけど、どうかな?


【ともあれ、イストはそう述べると塔の外へ出ていくだろう。思い出したかのように雲間から現れた月が、帰り道を照らしていた】
【もしイストの提案に乗ったのなら、今宵は村で共に過ごすことになるだろうか。遺体の処理などやることは沢山あるが、この夜だけは祝宴だ】
【村人からも揃って歓迎されるだろう。飲んで騒ぐにしても、旅立った彼に思いを馳せるにしても、イストは朔夜に最後まで付き合うはずである】

【そうでなくとも――別れの時が来たならば。イストは丁重に恩人を送り出すだろう】
【そして次に会えるその時を願って、冊子に記すのである。恐ろしくも暖かな"人斬りの怪異"のことを、物悲しき"古塔の怪異"のその隣に――】


【――最後に、付記するならば。イストが掌底で塔に叩き込まれたとき既に、この塔は少し傾いていたのであって】
【翌朝には、巨大な轟音が森中に響き渡るのだ。操っていたものが消えたなら、最早形を保つことはできなかったのだろう】

【その、跡形もなく崩れ去った古塔の跡で】
【あの女神像の残骸から何かを拾って去っていく人影を、誰も見ることはなかった】



/この辺でしょうかっ お付き合いありがとうございました!!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/05/06(月) 02:01:22.92 ID:2duC5ev70
>>198
//お疲れ様でした。お付き合いいただきありがとうございましたー!
200 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/07(火) 02:16:05.19 ID:SUNGDIGM0
>>193

あんなぁ…お前は本当に…

【頭を抱え、自分の髪を掻きながらなんとも残念そうに彼は言う】

俺たちはクソッタレな世界で戦わなきゃならなかった。なにより、自分と向き合わなきゃならなかったんだよ
ロックンロールってのはそういうものでもある。…まあ、オマエには難しかったようだけどな


【ミラはほとんど未来でも今と変わらない調子で、集ったアホどものケツを蹴り上げる役だった】
【ドアを閉める音も歩く音もうるせぇからどこに居るのかすぐにわかった】
【言う通り、俺が仲間とレコードをかけているとやれ「辛気くせえ」だとか「ノレねえ」とか文句を言って】
【ラモーンズだとかガンズだとかに替えられたものだ】
【こいつが居たことが俺の少ない幸運の一つだろう】

オマエのそういう所に、俺も助けられてた。それには感謝している。
20年後はミラの能天気なところにすらすがりたくなるほど地獄ってことさ

【いや、こっからはカニバディール向けの話なんだが、あれだ。別に“アイツ”に似てるからちょっととか】
【そういうのは無いからな。確かに雰囲気ちょっと似てるって思うときもあるが、アイツはアホじゃねえし】
【それに俺も20年もうだうだとしているような人間でもねえ。20年は世界が変わるには早すぎるが】
【一人の人間が変わるには十分な時間だろう】
【つーわけで、カニバディール。よろしく頼む】

そっから先のことはお嬢にバトンタッチだ。

【「俺は疲れた」とタバコを咥え、すでに何本目かのそれに火をつけた】


えっ?……あ、はい。失礼、食事がまだなもので


【すっかり、聞き役に回っていた霧崎はこの隙に鯛茶漬けを食べていたのだ】
【「なんで今振るんだよ」という恨めしそうな目線をロッソに送ったあと、箸をおいて】

あー……それで、まあ私も手を考えました。
私はイスラフィールの手の者と接触しました。接触されたというべきでしょうか。
…事が順当に行けば、新楼市の次の市長は私になるでしょう。

ミラさんが私を円卓の中心まで重用していただけるよう手を回してくれれば――
円卓内部でも、水の国の政治ゲームにおいてもそれなりに上手く立ち回ることができるでしょう。
……私が狙うはイスラフィールと同等、水の国最高議員の席です。

現在、水の国の政治において優位なのは黒幕派でしょう。寝首をかかれた円卓は慌てて
それを取り返そうとしている。それを利用します。円卓の影響力を増大させ黒幕を抑える。
しかしその円卓派は実際には我々の手の者―『王妃派』とでもしましょうか。

イスラフィールを失脚させる。私が今考えているのは此処までです。

黒幕が次に何をするか…は今の所掴めていません。先にタイムマシンを完成させれば
確実に何らかのアクションを起こすはず。


/テンポアップのため先にレスをしておきます!
201 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/09(木) 21:47:55.96 ID:H4FTfFYv0
>>174

「安堵するがいい、本当さ」
「君は、いや、我々はそう成れる」
「……そして、世界が、我々の実力の前に平伏するだろう」

【彼の一瞬の笑みに浮かべた感情は、果たして何であったのだろうか……】
【返答は、その細く白い指に指輪を嵌めながらであった】
【そして、指と同じく細りとした身体を抱き寄せ】
【顔を近づけ、拒まれる事が無い意思を確認したのなら】
【ゆっくりと、口づけをする】
【それは、時が周辺が鼓動を止めたのかの様に、長く感じたのかも知れない】

「永久に愛そう、死が二人を分つまで」

【次第に、指を絡め、舌を絡め】
【互いの上気を、決して咎める者は無く】

「船に上等な部屋を用意してある、許されるならば、今夜はそこに泊まると良い」

【そう、少女の耳元で囁くのであった】
202 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/10(金) 00:15:57.81 ID:EaKy239Z0

>>201

【ふ、と笑みを浮かべた道賢。善弥は安心したような表情を浮かべて微笑んで】

【時が止まるかの様に永く感じられた口付け】

【死が二人を分かつまで──】
【紡がれた甘い言葉】
【薄らと浮かべられた涙】
【その才を見出だされた"あの日"と同じくらいに、黴臭い蔵から祖父を解放し尚且つ分からず屋だった"あの人達"を殺してやった"あの日"と同じくらいに、もしかしたらそれ以上に、きっと嬉しくて】

【ならば、先を逝くのが『貴方』であるならばその黄泉路まで伴をするのだろう】
【そうして、先を逝くのが『自分』であるのならばきっと、地獄の業火がその身を焦がす刹那までその愛を信じ続けるに違いなくて】

【(だって、新しい"家族のかたち"をくれた男(ひと)、なんですもの──)】

【誰にも見咎められぬ逢瀬】
【囁かれた耳元までもが薄紅に染まっていたのはきっと逆上せからだけではなくて】

是非、そうさせていただきます
元々少し休暇をいただく予定でしたもの
一晩姿が見えなくとも気にされないでしょう
【薄紅に染まる目元。緑青がゆらりと揺れたのならば】
【愛慾の几帳は下ろされて──】



【名残の後朝、その先に待つは栄華か失墜か】
【其は未だ何人も識らず──】


/こんな感じでしょうか!
/絡みありがとうございました!
203 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/10(金) 01:14:54.30 ID:yOZJg/io0
>>202

「では、部屋に……我が妻よ、愛しい人よ」
「始めようか、我らが国盗りを」


【かくして、婚礼の夜は、混迷の世は始まりを告げたと言えるだろう】
【口元の笑みは、決して消える事はなく】
【笑みはより深く、より怪しくなり】
【それが何を示すか等は、本人のみしか解らない】
【夜の帳が降り、誠に甘美な時間が過ぎ行くが】
【果たして、誰が其れを遮ろうか】
【翌日には、かの祖父に、かの奥方公に、婚姻の報はなされるのだろう】
【世界はそれを何と呼ぼうか】
【なれば、こう呼ぼう、君は薔薇より美しい、と】



//お疲れ様です、これにて閉めです。
//ありがとうございました
2899.93 KB Speed:0.5   VIP Service パー速VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む

スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)