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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:09:20.57 ID:2duC5ev70
>>192
【絵本を読み聞かせる屍。椅子で寛ぐ屍。在りし日の亡霊の暮らし向きをありありと連想させる、死骸の配置】
【人々を無惨に殺し回りながらも、人並みに怒り、侮り、怯える──無垢ゆえの残虐性。まるで子供と言うよりは、これはもう、明らかに】
【『人でなし』を標榜する人斬りとて、なにも木の股から生まれ落ちたというわけではない。やり切れない、とばかり、朔夜は一つため息を吐いて】


 ──断てないものは一つとないってのは、流石に盛りすぎたか。情けない限りだな、全く。


【しかし、もはやその太刀筋に一切の容赦はなく。龍が地より天に昇るがごとき勢いでもって放たれた切り上げの一閃が、真正面から兜割りを迎え撃った】
【巨岩を紙のごとく断ち切るであろう剛剣は、本来であれば防御ごと、朔夜の頭蓋を叩き割ったことだろう──】
【しかし、蒼く輝く刀身に触れたその瞬間に、その勢いは大幅に削がれてゆき、やがて『静止する』】


 ──これは、技という程大層なものじゃない。しかし、私とこいつの編み出した、一つの理であるとは言える。

 刀と己の心身──ひいてはその異能力を合一させ、ものの有形無形を問わずあらゆるものを解き、弾き、分かつ。やがて到達するべき万象切断の極致、その先触れとも呼ぶべきもの。


【ほんの束の間の静止状態から、重力に従って徐々に落下へと移行するイストを見遣りつつ、彼女は淡々と語る】
【さながらそれは、イストの一撃が内包する、形を持たない『運動エネルギー』でも断ち切ったとでも言わんばかりの口振りで】



 仮に銘打つとするならば、『邂逅・絶蒼の太刀』──とでも呼ぶべきか。
 この状態は殊の外消耗が激しい。あまり長くは保たん。


【事実、そうとでも考えなければ、この不可解な事象には説明が付かなかった】
【斬れないものはないと大口を叩いておきながら、イストの佩刀が傷一つなく健在なのは、まあ、ご愛嬌というものだ】


 助言、痛み入る。
 終わらせてくるから、今暫く待っていてくれ。


【刀が纏う蒼い輝きが解けて消えるのと同時、朔夜の足元に陽炎めいた空間の歪みが生まれ、収束する】
【落ちてゆくイストと入れ違いに、足裏に収束した力場を爆ぜさせ、人斬りは虚空を駆けるようにして塔の二階部分にまで到達せんと試みる】
【そうして鏡の前にまで辿り着いたならば、おもむろに彼女は、鏡の中でうずくまる幼子に対し、「おい、そこの」と、ぶっきらぼうに呼び掛けるだろう】
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