松田亜利沙「大好きを繋ぐレスポンス」
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1: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:04:04.65 ID:s1IKgLXf0
地の文系、ミリマスssです。名前だけのキャラにちょっと言及してます。

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2: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:05:32.64 ID:s1IKgLXf0
「合格者は二番、四番の方です。呼ばれなかった方は不合格となりますので、お帰りいただいて結構です」

 吐き出した息がうまく吸い込めなくて、えづいてしまいそうになるのを必死で抑える。
 胸につけた五番の番号札にほんの一瞬だけ視線を向けて、俯き加減で席を立った。

以下略 AAS



3: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:06:58.43 ID:s1IKgLXf0
「ああ、亜利沙。随分遅いから心配したじゃないか。……大丈夫か?」

 案の定、心配されてしまう。大丈夫と答えるくらいの元気は残っていた。
 大丈夫そうだと思ってもらえるかは、わからないけど。

以下略 AAS



4: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:07:54.52 ID:s1IKgLXf0



 スクリーンに映し出されていた宣伝映像が止まり、流れていたBGMもフェードアウトしていく……開演の合図。

以下略 AAS



5: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:09:05.69 ID:s1IKgLXf0
 休憩やMCを挟みながらたっぷり一時間半ほどのライブは、途中からはもう夢見心地だった。
 明るい曲には夢中でコールを入れて、ゆったりとした曲では感慨に浸ってしまって、一瞬一瞬は鮮烈だったはずなのに、どうしてかはっきりと思い出せない。
 勿体ないとも思いつつ、でもリアルタイムだからこその幸せな酩酊感を満喫していたくもある。

 だけど、ラスト一曲を残した最後のMCだけは話が別だった。
以下略 AAS



6: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:09:37.75 ID:s1IKgLXf0
「はふぅ……いいライブでした…………ムフフ」

 掛け値なしにそう思う。幸せな、充実した時間だった。

 帰り道の電車でSNSの感想をぼんやり眺めながら、ライブの記憶に浸る。それ自体はいつだってライブ終わりにやっていることだ。
以下略 AAS



7: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:10:53.06 ID:s1IKgLXf0



「プロデューサーさん、お願いします! ありさに、このオーディションを受けさせてください!」

以下略 AAS



8: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:11:44.24 ID:s1IKgLXf0

「亜利沙、オーディションの参加者が決まったみたいだ。目を通しておいてくれ」

 プロデューサーさんからの連絡に、すぐさま反応する。
 戦いは始まる前から勝敗が決している、なんて言葉があるくらいだから、リサーチは基本中の基本のはずだ。
以下略 AAS



9: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:12:47.97 ID:s1IKgLXf0



 うつら、うつら。……がたんっ。

以下略 AAS



10: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:14:56.41 ID:s1IKgLXf0
 日を追うごとにレッスンは過酷になってきていた。
 だけどそれは別にオーディションのために特訓している、というわけでもなくて、公演へ向けた、ありさの曲を歌い踊れるようになるためのレッスンに過ぎないのだ。

 求められているものはとても高い水準だった。
 指先まで意識を集中させて、なんて言葉は何度も聞いてきたけど、それがこんなに大変だってことを知ったのはごく最近だ。
以下略 AAS



11: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:15:50.73 ID:s1IKgLXf0



「ん、んぅ……ふわぁ…………」

以下略 AAS



12: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:17:15.80 ID:s1IKgLXf0
 早々と学校に欠席の連絡を入れたまではよかったけど、プロデューサーさんにも伝えなくちゃと思うと、ひどく気が重かった。
 この大事な時期に何もせずに休んでいなきゃいけないなんて、そんなの許されるはずがない。許されるはずがないけど、どうしようもないのだ。

 メールを打ち込む。
 熱を出したからお休みする……それだけのことを伝えれば十分なはずなのに、画面に触れるか触れないかのところで指は完全に止まっていた。
以下略 AAS



13: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:17:58.60 ID:s1IKgLXf0

「……まだ、残ってるかなぁ」

 もぞりと布団を抜け出して、勉強机を漁ってみる。引き出しの中に大事にしまわれたそれは、すぐに見つかった。
 大学ノートの下には学習帳、その下には自由帳、さらに奥底には、コピー紙をリボンで束ねたような紙束まで。
以下略 AAS



14: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:18:45.04 ID:s1IKgLXf0



 結局、学校とレッスンはまるまる二日ほど休んでしまった。
 もどかしい気持ちはあったけど、この二日間がなくちゃ見つからなかったものもあるってことは、ありさが一番わかっている。
以下略 AAS



15: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:19:37.24 ID:s1IKgLXf0
 胸のドキドキを残したままオーディション会場に辿り着いて、その始まりを待っている。
 周りにいるのはありさよりも実績と経験のあるアイドルちゃんたち。その一人一人が、ステージとは全く違った真剣さをはらんだ面持ちでじっと前を見つめている。
 あんなに天真爛漫に見えたスパーク☆めいでんちゃんでさえ、大ファンのありさが初めて見る表情をしているのだ。

「…………ムフフ」
以下略 AAS



16: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:22:48.11 ID:s1IKgLXf0
 音楽が始まってすぐに後ろへステップを踏む。
 目立つことを考えるなら間違いなくマイナスの一手だけど、これで思い思いに立ち位置を決め、アピールの機会を伺うアイドルちゃんたちの動きに合わせられる。

 ライバルのアイドルちゃんたちが一番得意で、一番自信を持ってるキメのアピールとその立ち位置。
 何よりも魅力的な瞬間は全部、ありさの目と耳が覚えている。
以下略 AAS



17: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:24:11.56 ID:s1IKgLXf0
「今回の合格者は、三番の方になります。他の方は申し訳ありませんが不合格、ということで」

 やり切ったという感覚と疲れに押されて、受かりますように、なんて祈る時間もなく結果が告げられた。
 胃がキリキリすることもなかったから、ある意味幸運だったかもしれない。

以下略 AAS



18: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:25:04.87 ID:s1IKgLXf0



「ぷ、プロデューサーさん……これ、本当にありさのソロ公演ですか!? うぅ、ね、熱気が……」

以下略 AAS



19: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:26:12.04 ID:s1IKgLXf0
 公演開始のブザーが鳴り、歓声が響く。
 どんなステージでも変わらない光景。それなのに、何度だってドキドキしてしまう。

 でも、今日のありさはステージに立つアイドルちゃんだ。
 期待する気持ちを誰より知っているから、それに応えたいって思う。そういう気持ちを大事にしたいアイドルちゃんなのだ。
以下略 AAS



20: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:27:20.47 ID:s1IKgLXf0
 最初のコールの時点で確信があった。公演の前の日、楽しみで眠れないなんてお約束と一緒にベッドに寝転がっていた時にはもう予感していたかもしれない。
 それがありさを一切裏切ることなくやってきたのは、最後の曲であり、もう一つのありさだけの曲を前にしたMCの最中だった。

「今回の公演、ソロで心細かったりもしましたケド……っ、みんなのおかげで、ここまでやり切ることができました……って、まだもうちょっと続きますがっ!」

以下略 AAS



21: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:28:15.27 ID:s1IKgLXf0



 久しぶりに、ありさメモを新調した。
 前のノートもついに最後の一ページまで埋まってしまったから、また一段、机の引き出しに積み上げられた。
以下略 AAS



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