85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:31:23.56 ID:NOUrG0Tf0
「浴室は廊下を突き当たって右です。私、着替えとか用意するんで、唯先輩、先に入っててください」
「……わかった」
……。
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:33:35.58 ID:NOUrG0Tf0
浴室の扉の前に立つと、シャワーの音が聞こえてきた。
私も服を脱ぎ、それからスカートのポケットに手を入れる。指先に触れる冷たい感触があった。
結局、家に戻ってくるなら別に持ち歩かなくてもよかったのかも。まあ、これはいわゆる気分ってやつかもしれない。
あるいは……覚悟、かな。あはは。
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:45:11.24 ID:NOUrG0Tf0
「あずにゃん……その……エ……エッチを、する前にさ、言っておきたいことがあるんだよ」
「何ですか? 何でも聞いてあげますよ」
シャワーに流され、唯先輩の足元にボディーソープが流れ出す。
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:46:21.59 ID:NOUrG0Tf0
「うん……怒らないで聞いてね」
そう言って後ろを向いたまま、唯先輩がシャワーを止めた。
足元はすっかり泡塗れになり、どう転んでも、立ち上がれる余裕は無い。
89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:49:32.94 ID:NOUrG0Tf0
『……ただいま電話に出ることができません。発信音の後に――』
律先輩、澪先輩、そしてムギ先輩。
いずれのケータイにかけてもすぐに留守電になってしまった。
陽射しが暑い。
90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:51:28.69 ID:NOUrG0Tf0
もし唯先輩の言っていることが本当だとすれば、トンボ以降に作られた墓は皆、ムギ先輩の仕業という事になる。
そして……トンちゃんを殺したのも。
でも、そんなことってあり得るの? だってあのムギ先輩だよ? あの……何にでも興味を示すムギ先輩が。
とにかく、私は一旦考えるのをやめ、学校へと急いだ。
91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:57:43.59 ID:NOUrG0Tf0
「唯ちゃんとは上手くいったの?」
「……あ、えっと」
「……疲れちゃった? やっぱり人の最後の抵抗って、予想以上にすごいものね」
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 06:02:12.29 ID:NOUrG0Tf0
もの凄い音がして、気がつくと天井を見上げていた。
何が起きたの?
わけもわからず顔に手を伸ばすと激痛が走った。
「痛かった? ごめんね」
93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 06:10:45.78 ID:NOUrG0Tf0
口を押さえつけられた。怖くて頭がどうにかなりそうだった。
噛み付こうと思っても、もの凄い力であごを掴まれていて、口を開く事さえ出来ない。
なんで、なんでなんでなんでよ! なんでこんなことに……!
どうして? ムギ先輩は変わった人だけど、まさか人殺しまでするなんて、そんなのって。
今更、そんな疑問は白々しい。この現状、冗談で通じない今この瞬間が、ムギ先輩の狂気を証明してるじゃない。
94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 06:15:16.06 ID:NOUrG0Tf0
「きゃあああぁぁっ!! あああっ、ああああぁぁっっ!!」
ムギ先輩は自分の顔を押さえて、髪を振り乱しながら大声を上げていた。
透き通るような白い肌から、赤いものが流れている。
そして、私の手にもそれが付着していた。血だ。おそらくはムギ先輩の。
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