130:1
2011/12/24(土) 23:31:07.93 ID:MsIdTHw00
 「だが悪りーな。そいつは出来ねー相談だ」 
  
 「っ!」 
  
 だが、続けられたトレインの言葉は投降では無く、あくまで敵対の言葉。 
131:1
2011/12/24(土) 23:31:53.23 ID:MsIdTHw00
 タイミングを読まれている。 
  
 ギリギリのタイミングで方向をずらし、鉄矢を回避するトレインを見て、黒子はすぐにそれを察した。 
  
 同時に、抱いていた疑念が再び鎌首をもたげる。 
132:1
2011/12/24(土) 23:35:18.11 ID:MsIdTHw00
 右ストレート、左足の回し蹴りから返す刀の横蹴り、足払い。軸足を変えての後ろ回し蹴り。 
  
 型も動きも出鱈目そのもの。 
  
 だが、トレインの驚異的な身体能力が、それを恐るべきラッシュへと変貌させる。 
133:1
2011/12/24(土) 23:36:00.89 ID:MsIdTHw00
 (――――折られるっ!) 
  
 理解するとほぼ同時に、黒子はトレインの袖口を掴んだ右手を離し後退する。 
  
 「逃がさねーぜっ」 
134:1
2011/12/24(土) 23:36:39.12 ID:MsIdTHw00
 トレインの追撃は無い。 
  
 それを確認して、黒子は彼のとった二つのリアクションを思い返す。 
  
 黒子が袖を掴んだ時。眼前に空間移動した時。 
135:1
2011/12/24(土) 23:37:10.24 ID:MsIdTHw00
 その時、黒子の身体はトレインの背後にあった。 
  
 全ては、布石。 
  
 直前の攻防で、黒子は全ての空間移動をトレインの視界内で行った。 
136:1
2011/12/24(土) 23:39:03.86 ID:MsIdTHw00
 まさに黒子の指は触れようとしたその刹那、トレインの身体が前方へ倒れ込む。 
  
 「――――っ!?」 
  
 伸ばした手が空振りした事に驚きながら、黒子は倒れ込んだトレインが地に手を着き、限界まで負荷をかけられたバネのように身体を縮めるのを見て、咄嗟に腕を身体の前で交差させ、ガードの体勢を取った。 
137:1
2011/12/24(土) 23:40:15.20 ID:MsIdTHw00
 「……随分と余裕ですわね」 
  
 身体中に纏わりつく葉を叩き落としながら、黒子は低い声で言った。 
  
 それに対し、トレインが笑う。 
138:1
2011/12/24(土) 23:40:44.90 ID:MsIdTHw00
 「当たりかい?」 
  
 その一言で、黒子は戦慄した。 
  
 やはり読心能力者なのだろうか。 
139:1
2011/12/24(土) 23:41:18.28 ID:MsIdTHw00
 「……あなたこそ、わたくしの能力を低く見過ぎですの」 
  
 言って、黒子の身体が消える。 
  
 トレインが身構えるが、黒子は姿を見せない。 
140:1
2011/12/24(土) 23:41:49.95 ID:MsIdTHw00
 トレインの姿を視認できるギリギリの位置を保ちながら、黒子はそれを追い掛ける。 
  
 目に付いた物を転移させて、攻撃の手も緩めない。 
  
 電柱、街灯、ベンチ、ゴミ箱。 
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