1:にゃんこ[saga]
2012/01/17(火) 18:37:20.52 ID:mvyE/vRa0
を繋ぐ。
決して離れないように、二度とこの手を離すものかと強く繋いでる。
私達は指を絡ませ、お互いの体温を肌で感じ合う。
もう何も失くしたくはないから。
失くすわけにはいかないから。
そして、私達は繋いだ手を更に繋ぐ。
お互いの手首周辺を包帯で巻き縛って、そのままで固定する。
もうこれで私達が離れる事はない。
離れたくない。
ずっと皆、一緒だ。
安心。
だけど、同時に不安感。
皆で居るのは幸せだ。
皆と一緒に居れば、どんな困難でも笑顔で乗り越えていけそうな気だってする。
何だって乗り越えられる。
それは私だけが感じてる事じゃない。
ここに居る全員がそう感じてるんだって、私には確信出来る。
それは皆の手が強く繋がっているから。
離したくない、離れたくないという強い意志を、皆の手のひらから感じるからだ。
嬉しい……。
本当に嬉しいんだ。
こんなにも大切な仲間が私にも出来た事が。
生涯の仲間どころか、永遠に一緒と確信出来る仲間達に出会えた事が。
私達の卒業で小さな後輩が少しの間だけ私達と離れる事になりはしたけど、
それでも私達の想いは絶対に揺るがない。揺るがしちゃいけないんだ。
だから、あの夏休みの日。
離れていた距離と離れていた時間を埋めようとして、私達は小さな天使と一緒に……。
そうして、私達は今ここに居る。
でも、胸の中で激しく動く鼓動が私に不安を覚えさせる。
私達は手を繋いでる。
自分達の意思で強く強くお互いの手を繋いでいる。
離れないために。
繋いだ手を更に包帯で強く繋いでまで。
これで私達はずっと一緒に居られる。居られるはずだ。
それは私が心の底から望んだ事のはずなのに、心の底からの笑顔を皆に向けられなくなった。
私達を繋いでくれたもう一つの絆である音楽すら、心の底から楽しめなくなってきて……。
そんな偽物の希望、偽物の笑顔と偽物の音楽に溢れた日常の中で、不意に私は気付く。
ひょっとしたら、私達は手を繋いでるんじゃなくて……。
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2:にゃんこ[saga]
2012/01/17(火) 18:38:08.12 ID:mvyE/vRa0
◎
3:にゃんこ[saga]
2012/01/17(火) 18:38:41.67 ID:mvyE/vRa0
苦笑を崩さず、眼鏡を掛け直しながら和が続ける。
「昨日、書店で周辺地図を探してきてって頼んでたでしょ?
まあ、有り余るくらい食材を集めてきてくれたのは助かったけどね。
大方、律と一緒に行ってた唯が「地図よりごはんが大切だよ!」とか言い出したんでしょう?」
4:にゃんこ[saga]
2012/01/17(火) 18:39:09.01 ID:mvyE/vRa0
「でもね、律。
焦る状況じゃないし、焦ってどうなる状況でもないけれど、
打開策を練らなきゃいけない時ではある事も分かってくれてるわよね?
こう見えて私も動揺してるんだから、少しは律を頼りにさせてもらっていいかしら」
5:にゃんこ[saga]
2012/01/17(火) 18:41:25.64 ID:mvyE/vRa0
今回はここまでです。
りっちゃん視点で進む予定なので、お願いします。
あと申し訳ありません。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)[sage]
2012/01/17(火) 18:54:44.06 ID:WgmdyFLfo
ふむ・・・なかなか気になる
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/17(火) 22:07:02.70 ID:+OFrnffDO
超期待
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2012/01/18(水) 08:54:46.06 ID:rLQ6KvZR0
申し訳ないのだが、行間空けてくれないかな?
読みづらくてかなわない
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/18(水) 12:52:40.17 ID:JNMbRxJVo
前作面白かったんで今回も楽しみにしてます
10:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 18:58:21.73 ID:nNWGVWep0
◎
11:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:04:08.68 ID:nNWGVWep0
まあ、それはそれで仕方が無いか。
万が一……、いや、百が一……、いやいや、十が一……かな。
自分で考えた事ながらちょっと悲しいが、
それくらいの確率で梓が私に悩みを相談しなかったとしても、
それは梓が悪いわけじゃなくて、相談されなかった私の責任なんだ。
12:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:06:03.58 ID:nNWGVWep0
でも、そんな事で落ち込む私じゃない。
むしろ逆に燃えてきた。
連絡を取ってみると、唯達の方もかなり実力が落ちてしまってるらしかった。
これじゃ梓達を見返すつもりが、逆になめられたままになってしまう。
そうはさせん。そうはさせんぞ。
13:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:06:36.70 ID:nNWGVWep0
「あれっ? 先輩達、もう着いてたんですかーっ?」
待ち合わせの予定時刻の大体十分前、
普段より少しだけ甲高いあいつの声が周囲に響いた。
14:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:07:16.46 ID:nNWGVWep0
「やれやれ……」
呟きながら、苦笑した澪が和と視線を合わせる。
和も軽く肩を竦めながら、澪と視線を合わせて微笑んでいた。
15:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:07:51.53 ID:nNWGVWep0
不意に。
強い風が吹いた。
夏なのに春一番みたいに強い強い風。
空気の圧力が私の瞳を擦り、
16:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:09:18.67 ID:nNWGVWep0
「何……、これ……?」
大きな目を見開いたまま、呻くみたいに梓が呟き始める。
信じられないものを見たって感じの梓の表情。
17:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:10:01.42 ID:nNWGVWep0
「人が……、車も……」
梓が怯えた表情を浮かべたまま、その場に座り込んで呟いた。
唯がその座り込む梓の肩を、心配そうに強く抱き締める。
18:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:12:10.50 ID:nNWGVWep0
今回はここまでです。
前作を読んで頂けていた方も居るようで嬉しいです。
ありがとうございます。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)[sage]
2012/01/19(木) 19:21:20.03 ID:+IDj4g2Mo
うむ、先が非常に気になってよいよい
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/19(木) 20:30:19.56 ID:WFDcD/gDO
続きを楽しみに待っています。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/19(木) 20:47:06.45 ID:CThzagO5o
続き楽しみ
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