過去ログ - キリコとコブラでむせる
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11:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:19:21.65 ID:n3CjMYIK0
 ファッションモデルのようなスタイルだ。

 腰から垂れ下がった弛んだガンベルトが、美女の白い尻の辺りで止まっていた。

 コブラの視線が女の相貌を射抜く──ジェーン──女は殺されたジェーンと瓜二つだった。張り詰めるコブラの鼓動。
以下略



12:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:21:38.93 ID:n3CjMYIK0
 「賞金稼ぎ兼ボトムズ乗りってとこかしら。この星にはお尋ね者も多いし、傭兵仕事も腐るほどあるから、稼ぐには持って来いよ」
 コブラがスツールの背にもたれかかり、ヒューっと口笛を吹いた。

 「女のボトムズ乗りかあ、渋いねえ」
 突然、バーテンの笑い声がカウンターに響いた。腹を抱えてひゃっひゃっひゃと笑い続ける。
以下略



13:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:22:18.25 ID:n3CjMYIK0
 「ナチ、一杯どうだ?」
 「頂くわ」
 キリコが酒の相手をしないとわかると、コブラはナチを酒の相手に選んだ。コブラがナチを見て、溜息を漏らす。
 「はあ、しかし勿体ねえな。こんな美人だってのに、男とはね」
 「残念だったわね」
以下略



14:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:23:07.31 ID:n3CjMYIK0
 特大スクリーンの向こう側では、顔面にアームパンチを叩き込まれたスタンディングトータスが、派手に転倒した。

 変形したコックピットのハッチから、夥しい血が溢れ出す。スタンディングトータスに乗っていた奴は間違いなく即死だろう。

 「くそっ、くそっ、くそったれっ、これで有り金全部スっちまったっ」
以下略



15:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:23:37.17 ID:n3CjMYIK0
 ハンモックから身を起こし、キリコは揺りかごで眠る赤ん坊を見た。ハンモックから降りる。
 それから赤子を起こさぬように、キリコは椅子にかかった耐圧服を静かに着た。

 埃で汚れた窓から、黄金色に輝く太陽の陽射しがまばゆいている。キリコは軽い眩暈を覚えた。
 安普請な作りの宿屋の階段をおりて、食堂にいく。
以下略



16:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:24:12.73 ID:n3CjMYIK0
 赤い酸の雨が降り注いだあとの街中は、いつも嫌みったらしく空気がじめついている。
 クエント人の大男が、雨上がりの路地をノシノシと歩いていた。
 「ル・シャッコ、あんたの古い知り合いってのは、ここら辺の近くにいるのか」
 「そうだ」
 シャッコが、隣にいる男の問いかけに簡潔に答えた。クエント人は総じて寡黙である。
以下略



17:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:26:59.28 ID:n3CjMYIK0
 なめした黒革のソファーに深く身体を預け、影法師がブランデーグラスを掌で暖める。異様な風体だ。
 黒ずくめの外套を頭から被せて、全身を隠している。
 
 影法師がもう一つのグラスに琥珀色の液体をなみなみと注ぐと、カン・ユーに手渡す。
 グラスを黙って受け取ると、カン・ユーがブランデーを胃の臓腑に流し込んだ。
以下略



18:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:27:47.19 ID:n3CjMYIK0
 激しい熱気がバトリングドームを包んだ。絶叫、怒号、声援、あらゆる叫びがドーム内で反響した。
 観客達のギラつく視線が、頭上に高々と上がったパネルの文字にに絡みつく。
 「負けるなっ、コブラッ」

 「やっちまえっ、ガーランドッ!」
以下略



19:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:28:31.99 ID:n3CjMYIK0
 「コブラに三千ギルダンだっ!」
 「サラマンダーに五千ギルダンっ!」
 「こっちはコブラに八千ギルダンだっ!」
 「俺はサラマンダーに全財産賭けるぞっ!」
 「それなら俺もコブラに全財産賭けてやるぜっ!」
以下略



20:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:29:19.86 ID:n3CjMYIK0
 カン・ユーは動く標的を見極めようと目を凝らした。コブラがカン・ユーを巧みに掻き乱す。
 鼓膜を打つ甲高い衝撃音──カン・ユーの右頬を粘つく血が伝った。こめかみに浮かぶ血管が脈動した。

 体内で過剰に分泌されるアドレナリン──沸騰する血液。カン・ユーの身体が火照った。熱い。なんて熱さだ。
 
以下略



21:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:29:50.56 ID:n3CjMYIK0
 キリコの放ったバハウザーの銃弾をかわし、クリスタルボーイは獲物へと迫った。クリスタルボーイに飛び掛るル・シャッコ。
 「邪魔をするな」
 クリスタルボーイが右腕を振り払うように薙いだ。シャッコの巨体が壁に激突する。激しい衝撃にシャッコは昏倒した。

 「シャッコッ」
以下略



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