2: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:51:45.34 ID:apyY2YgH0
  
 ちらり、と時計を確認する。 
  
 2013年8月1日。今日は木曜日だ。 
 得意な書類事務を片付けていたときだった。 
3: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:52:13.71 ID:apyY2YgH0
  
 「はい?」 
  
 ぼくが後ろを振り返ると、ちひろさんが嬉しそうに立っていた。 
 その端正な顔立ちには、どんな表情もよく似合う。 
4: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:52:54.40 ID:apyY2YgH0
  
 コーヒーに手を付け、カップで顔を半分隠した。 
  
 呼吸を整え、ちひろさんをみた。 
 淡い栗色をした、ゆるやかに弧を描く髪。 
5: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:53:23.00 ID:apyY2YgH0
  
 「ちひろさん!」 
  
 『プロデューサーさん?』 
  
6: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:54:17.19 ID:apyY2YgH0
  
 連れて行ってもらった先は、少し値の張るバーだった。 
  
 ちひろさんは、こういうお店も知っているのか。 
 こういうところに、1人で来るのだろうか。 
7: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:55:08.03 ID:apyY2YgH0
  
 ほどよく頬の紅潮を感じていたぼくは、すぐに家に戻った。 
  
 別れ際のあの一言。期待をしてもいいのだろうか。 
 好意を抱いてくれなくても、きっと、悪印象ではないだろう。 
8: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:55:44.87 ID:apyY2YgH0
  
 翌日、ぼくは担当アイドルに事情を話した。 
  
 すると、快く承諾をしてくれて、アドバイスをくれた。 
 デートに行く服がないのだ、と伝えると、笑われてしまった。 
9: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:56:11.32 ID:apyY2YgH0
  
 美容室というのは、どうしてこうきらびやかなのだろう。 
  
 もっと、床屋のように落ち着いていてもいいではないか。 
 背よりずっと高い鏡に映されるぼくは、少しわくわくしていた。 
10: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:56:39.38 ID:apyY2YgH0
  
 1dayのコンタクトレンズだったので、なかなかに値が張った。 
 さらにぼくは乱視だったので、助長する原因だった。 
 だが、これでメガネともおさらばだ。 
  
11: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:57:19.01 ID:apyY2YgH0
  
 そして、ようやく待ちに待った日曜日がきた。 
  
 女性と私的な用事で肩を並べ歩くことなど、ぼくは殆ど経験がない。 
 ぼくは早朝に起床し、インターネットで情報を集めた。 
12: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:57:48.69 ID:apyY2YgH0
  
 「ちひろさん、お待たせしてすみません」 
  
 『…プロデューサーさん?メガネはしていないんですか』 
  
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